毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「市場に選ばれる人」になろう☆☆☆☆

今年2月に出たちきりんさんの最新刊。図書館で予約し、やっと順番が回ってきた。
さすがはちきりんさん、他にはない鋭い切り口で面白かった。


◆目次◆
はじめに
序   もうひとつの能力
第1章 市場と価値とマーケット感覚
第2章 市場化する社会
第3章 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
第4章 すべては「価値」から始まる
第5章 マーケット感覚を鍛える5つの方法
終  変わらなければ替えられる

サブタイトルは『「これから何が売れるのか?」わかる人になれる5つの方法』。

「はじめに」に、耳の痛いことが書いてあった。

 長く仕事から離れていたため、パートやアルバイトしか職が見つからないと嘆く専業主婦の人がたくさんいます。その一方、主婦スキルを最大限に活かし、キャラクター弁当作りのレシピ動画作成、収納のカリスマアドバイザーや、しつけや教育のコンサルタン
トとして、一般の会社員以上に成功する人もいます。
 この専業主婦と元専業主婦の違いは、価値あるスキルの差でしょうか?そうではなく、主婦業を通して身につけたスキルが、「誰にとってどんな価値があるのか、見極める能力」に、差があるのではないでしょうか?

 どんな分野であれ10年も働いたら、「自分には売れるモノなど何もない」なんてことはありえません。もしそう感じるのだとしたら、その人に足りないのは「価値ある能力」ではなく、「価値ある能力に、気がつく能力」です。

※「はじめに」にページ表記はありません


この「価値に気がつく能力」が、ちきりんさんの言う「マーケット感覚」だ。
この本では、マーケット感覚とは何か、どうすればマーケット感覚が身につくのかについて、かなり具体的に説明してくれている。
といっても、ハウツーで身につくものではないので、当然「自分のアタマで考える」ことが必要になる。


「マーケット感覚」があれば、自分の経験に「価値」=値段がつけられる。
たとえば、「目利き力」。ちょっとセンスのいい人が、友人に「洋服選んでくれる?お茶おごるよ」と頼まれるところからスタートし、自分のセンスの価値に気がついて、その能力を評価してくれる=お金を払ってくれる層にアピールすれば、パーソナルスタイリストになったり、セレクトショップを開くことができる。
これも、最初は「自分の得意なことには価値がある」と気づくことから始まるのだ。

――以前、「セールなどで服をたくさん買い、自分のセンスで組み合わせてネットで売る」という女性の記事を読んだことがある。ごく普通の主婦だったと思う。その人も、自分のセンスで付加価値をつけ、たくさんの固定客をつかんでいた。これも「マーケット感覚」が後押ししたビジネスなのだと気がついた。


一番印象に残ったのは、「プライシング能力」という言葉。価値をどう評価して、いくらなら買ってもらえるかを決める能力だ。
今までなら「コストがいくらかかっていて、それにどの程度利益を乗せられるか」で値段が決まっていた。だが、それはもう古いのだという。
商品やサーヒスに「いくらなら払ってもらえるのか」を正しく見極める能力が「プライシング能力」。
消費者側は「自分にとってどれだけ価値があるのか」が重要で、コストなんて関係ないのだ。


単純に、読んでいて面白い。世の中の仕組みはこうなっているのか、今後はこんな風になるのか、ととても納得できるからだ。池上彰さんの本に匹敵するくらいのスッキリ感があった。
でも、ちきりんさんの狙いは「読んでスッキリ」ではない。「マーケット感覚を持って世の中を渡っていける人を生み出す」ことだろう。


もともと日本人はマーケット感覚を持つ人が少なく、頭が固い人が多いそうだ*1

マーケット感覚を磨くひとつの方法は、「市場性の高い環境に身を置く」こと。つまり、コンビニやスーパーなど、人が財布を開く瞬間に居合わせることで、「どういうものに人はお金を払うのか」を目の当たりにし、マーケット感覚が磨かれるという。

ちきりんさんご自身は、学生時代さまざまなアルバイトをした経験が生きているそうだ。なので、公共性の高い仕事に就きたい人ほど、マーケット感覚を磨くためにそういうアルバイトを経験した方がいい、と書いてあった。
日本の中でも、特にマーケット感覚がないのがお役所や公的機関であり、そのため世界で競争力がなかったり、施策がどん詰まりになっていることが多い、と指摘されている。


こんな風に、主婦の社会復帰から若い人のキャリア形成、果ては日本のこれからまで、テーマがどんどん広がっていく。
今すぐ身につけるのはむずかしいが、こういう感覚があるのを知るのと知らないのとでは大きな差がつくと思う。
これからの世の中を生き抜くために、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:自分の得意なことにどんな価値があるか、棚卸しする

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

マーケット感覚とは、その市場で取引されている価値が何なのか、感覚的に理解できる能力のこと(P22)

必要なのは論理思考+マーケット感覚(P30)

世の中は論理だけで動いているわけではない。「論理的に正しいはずの策」が、現代社会ではまったく通用しない例も。

こうした落とし穴にはまる人に足りないのは、論理的な思考力でも経験でも資格でもなく、マーケット感覚。

資金調達に成功するには「どんなストーリーを語れば、お金が集まりやすいか」(P99)

だから寄付を募る側は、一生懸命「私こそ、寄付を受けるのにふさわしい人物です!」とアピールする。そういう人と、私的援助をしたい人がマッチングされる。これはまさに市場。

寄付が集まりやすいものにもお国柄があり、日本では教育が人気で、欧州ではイルカや鯨などの「ほ乳類」や「環境」、アメリカでは「人種」や「アート」。寄付を集める際には、こういったことを理解しているかどうかで、結果が大きく左右される。

例)寄付をする人の中には「教育費なら寄付してもいいが、生活費に消えるなら寄付をしたくない」という人もいる。
国連WFP(World food program)では「途上国では給食が出るから、子供たちは学校にやってくるのです」と、寄付獲得競争において競争力の高い「教育」というキーワードを前面に出し、寄付の集まりにくい食費を集めることに成功している。

社会や人が動く根源的な仕組みを理解する能力がマーケット感覚で、その仕組みを活かして、何らかの目的を達成するための手法がマーケティング(P104)

マネタイズにはこだわらない(P110)

新しいビジネスアイデアについて、すぐに「それでは儲からない」という人がいるが、ここでの「儲からない」とは、たいていの場合、マネタイズが難しいという意味。
だが、ちきりんさんはマネタイズにはあまりこだわらない方がいいという。
重要なのは儲かるかどうかではなく、「価値があるかどうか」。

マーケット感覚を鍛える5つの方法(P146)

1.プライシング能力を身につける
2.インセンティブシステムを理解する
3.市場に評価される方法を学ぶ
4.失敗と成功の関係を理解する
5.市場性の高い環境に身を置く

「相場」よりも大事なのは「自分にとっての価値」(P151)

相場とは「みんなが払っている値段」なので、「相場の範囲で買えれば満足」というのは、「みんなと一緒の値段で買えるなら、それでいい」という意味。しかし世の中には、相場的には割高でも、自分にはそれだけの価値がある、というものもあれば、相場から見れば格安でも、自分には不要というものもある。それなのに「相場の価格」にこだわっていると、本当に欲しいものは手に入らず、反対に、たいして欲しくもないものを高い値段で買ってしまうことになりかねない。

何かに対して「金のためだろう」という思いが頭に浮かんだら(P172)

もう一度、よく考えてみること。自分なら本当に「金のために」そんなことをするだろうかと。そして、お金以外に動機があるとすれば、どんなものがあり得るかと。
そうやって「人間が動く理由や仕組み」、すなわちインセンティブシステムについて、日々ほんの少しだけでも深く考える癖をつければ、市場の動き方についても、少しずつ理解できるようになっていく。

自分の欲望に素直になろう(P173)

成功しているビジネスパーソンはみんな、自分の欲望にとても正直だし、かつ、ストレートにそれを表現する。「アレがやりたい!」「コレを実現したい!」と、突拍子もない希望を次々と表明する。
こうして自分の欲望に素直に向き合うと、自分の中にある欲望センサーの感度が高まり、他者の欲望や、人間全体に共通するインセンティブシステムについても、理解が進む。そうすると、市場で人がどう動くかもわかるようになり(=マーケット感覚が鍛えられ)、結果としてビジネスも成功する。

世の中の動き=そこに生きている人間の動きの集合体(P180)

それぞれの人が何を求め、どんな気持ちがどんな行動につながるのか想像する力を鍛えないと、社会がどちらの方向に動いているのかもわからないし、マーケット感覚も身につかない。

成果を出すための2ステップ(P203)

1.「正しい方法を習い、反復練習で覚える」
2.「学んだことを実践し、現実的な環境下で成果が出せるよう経験を積む」

「フィードバックを得ることが目的」と考える(P209)

「これでは売れませんよ」という市場からのフィードバックを得、商品や売り方を改善するために「売ってみる」。つまり、成功するためではなく、成功に必要なヒントを得るために、市場と向き合うのだと考えればよい。

*1:日本人と見るや高く売りつける海外の土産物屋に怒る人は多いが、これはマーケット感覚で言えば当然のことなのだそう