だが、対象はもっと若い人向けの印象を受けた。
◆目次◆
1 意見
2 報告
3 確認
4 交渉
5 挨拶
6 雑談
7 説明・質問
8 その他
9 誤用例
あとがき
察しのいい方はお気づきかもしれないが、春先に「環境の激変」と書いたのは、実は社会復帰*1だった。
しばらく個人で仕事をしていたので、雇われて他の人と働くのは実は10年ぶりくらい。
いざ働き始めてみたら、カルチャーショックだった。コミュニケーションがうまく行かない。自分が夢にも思っていないことが理由で怒られる。
友人や近しい人は、何を考えているかだいたい察しがつくが、職場ではそうじゃないことも多い。
何か自分のコミュニケーションに問題があるのかも、と思っていた時にこの本のことを知り、藁にもすがる思いで読んでみた。
しかし、どうもターゲットが違うようだ。
新卒から社会人2〜3年目の人たちが読むといい内容だと思う。それに、これから社会人になる大学生くらいか。
それもそのはず、私はおそらくこの本で言う上司の年代だ。
本人がちゃんと伝えているつもりなのに、なぜか上司がムッとしている、怒られるという例がたくさん出てくるが、「そりゃあムッとするよ」というものが多い。
齋藤先生は、あとがきで次のように書かれている。
…日本語は、目の前の人との関係性についてどんな配慮をしているか、この瞬間に何を意識しているかによって、選ぶ言葉が変わります。
(中略)
…「言葉の使い方を正しくしましょう」というだけでは、社会人としての力はつきません。そういう言葉を使ってしまう背景にある「ズレ」に気づいて、その「ズレ」を修正していかなくてはならないのです(P219)。
上司をムッとさせてしまう言葉はどこがズレているのか、どういう言い方をすれば印象がよくなるのかが提示されている。目次を見ていただければわかるが、さまざまなシチュエーションごとにまとめられているので、苦手意識のあるところから読むこともできる。
若い人向け、と断言してしまったが*2、案外「ここはちょっと気をつけた方がいいかも」というところもあった。自分を再点検する意味で、上司世代もさっと目を通しておくといいかもしれない。
巻末にはよくある誤用例がまとめられているので、こちらも読めば恥をかかなくてすみそうだ。
この本はどういう「言い方」をするか、どちらかと言えばテクニックに近い内容だが、やはり『伝え方が9割』にあったように、どれだけ相手の気持ちに立てるかが基本のような気がする。そこが身についていれば、こういう失敗は半分以下になるのではないだろうか。
この本で挙げられているよくない例は、ほとんどが「自分のことしか考えていない」(たとえそう思っていなくても)という印象を与える言い方だからだ。
手っ取り早く「社会人意識」のある受け答えができるようになるにはいい本だと思う。
でも、できれば『伝え方が9割』か、相手の立場に立って考えられるようになる本と一緒に読むのがおすすめです。
私のアクション:「15秒挨拶」できるように、頭を整理しておく
関連記事
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
「ダメ出し」された場合の「受け身」を練習する(P89)
バーンと襲ってきたダメ出しを、ケガしないようにポジティブに受け止める。柔道の受け身のようなもの。「○○がダメなんだよ」と言われたら、それがどうなればよくなるのかを考えて、「○○を△△にするといいということでしょうか」と言ってみる。ダメ出しの改善策を考えて、自分から提案する。
15秒挨拶で仕事のやりとりをしてしまう(P121)
挨拶自体を簡単なビジネスコミュニケーションに活用する。短時間で済む報告なら、挨拶の代わりにさっと仕事上の報告や確認をしてしまうとよい。
15秒挨拶のためには、上司への報告・確認事項を、常に頭の中で整理しておく必要がある。相手・内容・ボリューム・緊急性をふまえて、どのタイミングで伝えるか準備しておく。
著者も大学で実践している。何人かとすれ違うごとに15秒の確認や報告をする。すると、仕事の効率がよくなるし、わざわざ人を呼び出して伝える時間もかからない。双方にとってメリット。
「いくつに見える?」は見た目より10歳若く言う(P145)
これはお世辞でも何でもなく、コミュニケーションスキル。「いくつに見える?」は、年齢を当ててくれと言っているのではなく、「どのくらい若く見えるか」の印象を聞かれている。「実際はこのくらいかな」と思う年齢の5歳下では、ピッタリ当たってしまうことがある。5歳以内は危険区域なので、10歳下にしておくと安全。
(中略)
「最近老けて来ちゃって」や「もうおばさんだから」も、しっかり否定する。「そんな風には見えないですよ」「ぜんぜん変わってないですよ」と断言するのが礼儀。
時間のめどを伝えたら必ず守る(P180)
対応してもらう内容のめどがついている時は、「○○の件について、1分ほどお時間よろしいですか」と具体的に必要な時間を提示するといい。「ちょっとお時間よろしいですか」だと、「ちょっと」の感覚が人によって違うので、具体的な方が安心。
ただし、「1分ほど」と言ったらちゃんと1分で終わらせること。
必要な答を引き出すための質問を考える(P185)
失敗する質問は、大まかに聞いてしまうこと。「○○社の△△さんって、どういう人なんですかね?」と聞いても、的確な答は引き出せない。
「△△さんから、○○の件で無理な要求をされているんですけど、普段からそういうことを言う人なんですか?」と聞けば、「めったにはないけど、上からの指示でそう言ってくることはあるよ」と答えてくれる。
遅刻の連絡をする時は、時間を少し多めに申告しておく(P191)
たとえ10分遅刻しそうでも、20分と少し多めに言っておく。実際は10分遅れで到着するので、相手は「思ったより早かった」と感じる。気持ちが焦ると少しでも早くと「5分くらい遅刻しそうです」と短めに言ってしまいがちだが、これは逆効果。