とても説得力のある内容だった。
◆目次◆
はじめに
1章 「結果が出ない」から「努力する」の図式は通用しない
2章 本番に強い選手はココが違う
3章 才能だけでは「成功」にたどりつけない
4章 休むことも仕事のうちである
5章 一人ではできないことを成し遂げるために
終章 キャリアでつまずいたときに心がけること
おわりに
著者は名門・ACミランで長年トレーナーをつとめてきた人だ。一流のクラブには、当然超一流の選手ばかりが集まる。
著者が見た、「一流とは何か、一流の人はそれ以外と何が違うのか」が語られている。
……ベッカムやマルディーニ、コスタクルタたちはどうしてみんなが認めるスーパースターになれたのか。
それは、当たり前のことを普通の人以上に当たり前にこなす、そして継続することができたからです。華やかなスーパースターこそ、見えないところで普通のことを地道にこなしているので。それが、一流の全体条件と言えるでしょう(P127)。
意外なことに、一流の人は「当たり前のことを当たり前に続けられる人」なのだそうだ。えっ、それだけ?と思うが、なかなかできることではないという。
たとえばある名選手*1は、必ず試合前後の5分のストレッチを欠かさなかったそうだ。たかが5分。しかし、それをずっと続けられる人はほとんどいない。
著者によるど「半歩でいい」そうだ。一度に2歩進むと大変なので、半歩をコツコツ続ける。
これは、継続するためでもあるし、「大きく変えない」という意味もある。
何かを変えようとする時、つい一気に変えたくなるものだが、一流の人は大きく変えないのだそうだ。
さらに「自分を信じている」ことが重要だ。自分を信じられるから、考えすぎないし、自分以上を出そうと無理しないという。自分を信じられれば、自分をきちんと出せばいいと思えるが、自分を信じられなければ、「自分の実力以上を出さなければ!」と焦ってしまい、かえって成功から遠ざかってしまう。
自信というのはこんなにも大切なのか、と改めて感じた。
自信があれば、結果が出ない時でも、報道で酷評されても、考え込んだりせず自分がいいと思うことをコツコツ続けられる。
自信がないと、どうしても周りに翻弄されてしまうのだ。
さらに、よく言われていることだが、やはり「いざという時に備えていつも準備を怠らない」選手が一流なのだそうだ。
今日は先発できないとわかると手を抜く若手と、いつ出場機会が来てもいいように、とアップをくり返すベテラン選手、監督が使いたいのはどちらか。
さらに、構想から外れて試合に出られない、冷遇されている時も練習やコンディショニングをコツコツ続けていると、不思議に運が巡ってくるのだ。
著者がこの本で一番言いたかったことは「考えられる人になれ」ということだろう。
どう練習するか、監督の意図は何か、どう動けば監督の意図を実現できるのかなど、実は考える機会はとても多い。
日本では練習のための練習のようなところがあり*2、考えて動ける選手が少ないのでは、と著者は危惧している。
これはサッカーやスポーツ選手に限らず、すべての人に当てはまることだと思う。
また、著者がACミランで働くようになったきっかけ、認められて試合に帯同できるようになるまでのプロセスなど、著者自身の話も興味深い。著者自身が、考えて動き、コツコツと見えないところで努力を続けてきた人だからだ。
欧州サッカーファンはもちろん、サッカーはよくわからなくても何かを変えたい人にはぜひ読んで欲しい本。一流に近づくきっかけになります。
私のアクション:朝晩のスキンケアをコツコツやる
関連記事
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
結果が出ない時、いつもと違うことをしない(P22)
ミランの選手達は不振に陥ると、むしろひと息ついて、何が問題であったかを考える。そして、今までやってきた行動に対しての改良を少しだけ加える。
(中略)
超一流の選手ほど、これまでやってきたことを変わらずにくり返す。これまでのやり方を否定することはしない。
(中略)
結果が出る、出ないにかかわらず、目の前の仕事に真剣に臨んでいるならば、大切なのはそれ以上にがんばろうとすることではない。むしろ初志貫徹でやり続けること。
自分の力以上を出そうとしない(P59)
それは彼らが「自分の力を心の底から信じている」ということ。そして、「自分の持っている力をそのまま発揮すれば、結果は必ずついてくる」と信じて疑わないこと。
自分自身の「得意」のない選手は、自らをポジティブに考えることもできず、マイナス思考でプレッシャーに負けてしまう(P68)
自分の得意を完成させ、磨き上げることが、絶対の自信を築き上げ、さらなる向上につながる。
一流のアスリートにとって、運は向こうから「やって来るもの」ではなく、「呼び込むもの」(P101)
そのために可能性を捨てず、ベンチスタートでもいつでも出られるよう、準備は怠らない。
「相手と同じ土俵で勝負しない」という視点を持つ(P154)
そうすれば、自分にぴったりあった効果的な解決策が見えるもの。
大切なのは「チーム練習で自分は何をすべきか」の意識(P194)
チームが決めた時間や、同僚の選手が何をやっているかは関係ない。今日の練習で自分は何をしたいのか。100%のコンディションで準備できているのか、が大切。
(中略)
一流のサッカー選手が決められた練習や試合でベストなパフォーマンスをするために、自分に何が必要であるかをまず考える。そして、かかる時間を考え、結果、練習場に到着する時間を決める。練習終了後のケアや補強トレーニングも納得いくまで行う。2時間かかる日もあるし、すぐに終わってシャワーを浴びて帰る日もある。
重要なのは主体性であり、その基準は「時間」ではなく「自分の納得度」。
勝負すべき時、勝負できると思った時はわがままになる(P203)
「わがままは悪」ではない。「わがまま」はある意味では、自信のバロメーター。自信のない人は、何年経っても自信がないままで終わってしまう。
「結果が出なかったから、今やっていることは間違い」とは考えない。