これで1冊の本になるのか、と思って読んでみたら、それともまた違う、よりビジネス向けの方法だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 「アクティブ リスニング」は3つのステップで、うまくいく!
第2章 「準備のスキル」で本番を最高の状態で迎える!
第3章 「本番」では「傾聴」と「問答」の組み合わせで、120%の結果を!
第4章 「フォロー」で関係をつなぎ、より大きな結果を出す
第5章 「アクティブ リスニング」を磨くトレーニングと応用法
おわりに
著者の経歴が少し変わっている。大手証券会社に入り、社内の経済キャスターに抜擢されたが、2年後会社が廃業。それでフリーのキャスターになったものの、もともとアナウンサーでもなく、訓練も受けていないので大変なスタートになったという。
この本は、そこから少しずつ試行錯誤をくり返し、作り上げた著者のメソッドをまとめたもの。
現在は経済キャスターとしてさまざまな分野で活躍されている。
インタビュアーとしての仕事も多いようで、ちょっと特殊な業種なので応用が利くのかな、とはじめは感じた。ただ、ビジネスにどう応用するかもていねいに書いてあり、ふつうのビジネスパーソンにも使える方法だ。
相手に気持ちよく話してもらい、こちらの考えもさりげなく伝え、信頼関係をつくりながら、自分の目標を実現していくのです。
これこそが、「アクティブリスニング」のやり方です(P7)。
やはり、ただの「聞き上手」で終わらない、さまざまな工夫がある。
まず、聞くを「傾聴」と「問答」に分けて考える。「傾聴」だけだと一方的に聞いて終わりになってしまうので、ここは深く掘り下げて聞きたいとか、これは伝えたい、といったこともしっかり用意する。
それには、事前の準備が大切になる。
具体的には「準備」「本番」「フォロー」の3ステップ。
ここに「貢献」の気持ちがあるのが新鮮だった。たとえ商談であっても、相手の役に立ちたい、喜んでもらいたい、という気持ちがあれば充分伝わるという。
個人的には、3ステップの「フォロー」が収穫が大きかった。
以前、齋藤孝先生の本で「年に一度くらい、その人の役に立つメールを送ってつながっている人がたくさんいる」ということを読んだが、具体的にどうすればいいのかピンと来なかった。
この本では、「別れ際に自ら宿題を課しておき、その答を報告としてメールする」という方法などが紹介してあり、参考になった(下のメモにあります)。
仕事でどんな風に3ステップをやるのか、具体例も挙げられている。プレゼン、上司との関係、取引先とのやりとりなど、すぐに取り入れられそうだ。
最後の章では、トレーニング方法も紹介されている。家族を相手にまず練習すると身につきやすいそうだ。
どこかで読んだような作りだな、と思ったら、『伝え方が9割』と同じ、ダイヤモンド社だった。はじめに1枚でまとめた表があったり、図やイラストを使ってとても読みやすくなっている。
話すのが苦手でも、この方法ならできるはず*1。
ぜひ一度、試してみてください。
私のアクション:人に会う時に目標を設定する
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
アクティブリスニングの準備3(P54)
1.目標確認――自分の目標を確認し、相手のメリットも考える
2.情報収集――目標に合わせて、相手の情報を集める
3.質問作り――質問を作ってみて、本番での流れを考える
フォローのスキル2 相手に連絡するきっかけのため、自分に宿題を課す(P180)
私はよく本番での会話を踏まえ、「もう少しこの点について考えてみます」「これを調べてみます」という風に宿題を自分で作り、相手に伝えるようにしていた。そしてもしばらくしてからその宿題を提出するという形で連絡する。
フォローのスキル4 相手の役に立つ小さなことを続ける(P186)
宿題という形で伝えていなくても、相手が興味を持ちそうな資料や役に立つような情報があれば、小まめに送るようにしている。
トレーニング1 相手が話し終わるまで待つ(P196)
「傾聴」の力を鍛えるためのトレーニング。相手が話し始めたら、とりあえずひとつの話題やセンテンスが終わるまで意識的に口を閉じている。
相づちはいいが、決して自分の意見や感想を述べてはいけない。表情に出すのも封印。
トレーニング2 よく知らない相手の長所を5つ見つける(P199)
あまりよく知らない人を選び、たとえば異動してきた新しい同僚なら1週間、時々しか会わない取引先の人なら1ヶ月といった期限を決め、その相手の長所を5つ見つけ、その理由を挙げてみる。
長所を5つも見つけるには、相手をよく観察しなければいけない。よく観察しているうちに、相手のいろいろな面が見えてくる。
また、長所だと思う理由を挙げるには、自分なりに考える必要がある。理由を挙げることで、相手への理解が深まっていく。
トレーニング3 一緒に仕事をしたい相手に提供できるメリットを5つ考える(P201)
相手に提供できるメリットを探す際、自分の強みを探す作業がベースになる。それには、相手と差別化できるところ、自分が人から求められている役割、自分にしかできないこと、得意なことなどに着目する。
*1:著者も人としゃべるのが苦手だったそうです