◆目次◆
序 章 マッキンゼーのノート術はいったい何が違うのか?
第1章 マッキンゼー流 プロフェッショナル・ノートの流儀
第2章 マッキンゼー流「問題解決ノート」の使い方
第3章 マッキンゼー流 ノートで結果を出す
第4章 マッキンゼー流 ノートで自分を磨く
おわりに
巻末付録 思考整理に役立つノート一覧
元マッキンゼーの著者が、自分の経験をまとめた1冊。
マッキンゼーと言えば、優秀な人を多数輩出しているが、そのベースにあるのがノート術だという。
マッキンゼーでは何のためにノートをつくり、ノートを使うのか。答えは、シンプル。問題解決を行うために、ノートを「思考ツール」「問題解決ツール」として使うのです(P3)。
重要なのは、何が真の問題かという「問題の定義」と、その問題を解決するための道筋を見つけ出すために「問題を構造化」すること。そのためにノートを使うのです(P8)。
つまり、「仕事が速く、クオリティも高い」と呼ばれる「仕事ができる人」に導いてくれるのが、マッキンゼー流ノート術の特徴なのです(P14)。
ノートはあくまで「問題解決」が目的であり、美しい必要はないそうだ。
また、目的別に3種類を使い分けるのがマッキンゼー流。
通称「マッキンノート」がいわゆるA4方眼のシート。他に、方眼ノートとインタビューなどに使うケンブリッジノートを使うのが基本だという。
先に読んだ高橋政史さんの『図解 頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』のベースになっていたのも、このマッキンノートのようだ*1。
仮説を立てるプロセスがくわしく紹介されているし、例もあるのでわかりやすい。
また、フレームワークもよく使うものを絞って紹介してある。「雲雨傘」と言われるフレームワークは同じく元マッキンゼーの勝間和代さんの本で知ったが、この本で初めてちゃんと理解できた。
あくまでビジネス志向なので、仮説検証の必要な仕事をしている人以外は、あまり実用的ではないかもしれない。例に出てくるのも、やはりコンサル業にありそうな事例が多いので。
いわゆる文具オタク系のノートの本とは一線を画している。
最後にノートの紹介もついている*2が、あくまでオマケと思った方がいい。
ノートに何を使うかよりも、大事なのはその書き方、考え方だからだ。
マッキンゼーでは何を教えているのか知りたい人にはうってつけの本。
ただ、この本を読んだだけでマッキンゼーのノート術が身につくか、といったらちょっとむずかしそうだ。
なぜなら、マッキンゼーの新入社員は、毎日たくさんノートを書き、それを先輩が真っ赤に添削してくれるしくみがあるからだ。
これだけを教えてくれるスクールでもあるといいんですけどね。
読んだあとに知ったが、著者は女性(下のお名前は「さちよ」さん)。
文章はとても読みやすいので、取っつきにくさはない。
自分には必要だ、と感じた方はぜひ挑戦してみてください。
私のアクション:事実と解釈を分けて考える
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読書日記:『図解 頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
「思考する」行為から「解決のために動く」という行為の間に、ノートを使って「思考を整理する」「仮説を立てて当たりをつける」という行為を挟むことが大切(P10)
「問題解決」という目標を与えることで、ゴールがわからない状態の思考に「可能性」というベクトルを持たせる(P11)
ノートに書いて「手続き記憶」にする(P27)
頭だけで覚えるのではなく、手という体の一部を使い、「体で覚える」方が、脳の活用部分が多いため思考の整理がしやすく、そのあとの記憶も定着しやすくなる。
ノートは過去の記録のためにあるのではなく、よい未来をつくるためにある(P33)
空→雨→傘のフレームワーク(P79)
空に黒い雲が広がってきた(事実)
↓
雨が降ってきそう(解釈)
↓
傘を持って出かけよう(行動)
事実と解釈を分けて考える(P80)
「空に黒い雲が広がってきた」は事実、「傘を持って出た時に限って雨に降られない」は本人の解釈に過ぎない。これを事実として一緒にグルーピングしてしまうと、アウトプットの行動がずれる。
ノートにはラベル(見出し)をつける(P80)
ノート上で「事実」「解釈」「行動」の3つにグルーピングする時は、ノート全面を使うのではなく、左端に「ラベル」という「何についての情報なのか」の目印となる見出しを書き込めるようにタテに線を引く。
ラベルは質問形式が深掘りしやすい。
ストーリーライン=起承転結(P89)
「起承転結の脚本」でイメージする、ということ。
「3の累乗の法則」(P122)
「3の累乗」で必要なアウトプットの枚数を構成・展開するということ。
空→雨→雲なら3。
3の2乗=9枚、3の3乗=27枚、3の4乗=81枚を基本にアウトプットを想定して、そこからの逆算で必要な要素を考えてブランクチャートに書き込んでいく。
なぜ3なのかは、大事なことがらが2つでは足りない、4つでは多すぎるように感じる、という人間心理から発想したもの。
最初から「3の累乗」で最適と思われる数値を設定し、その中で収まるようにする。
自分が言いたいことを主体にするのではなく、「相手が納得できること」を主体に考える(P140)
つまり、「伝える」視点ではなく、「伝わる」視点で考える。