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脳の若さが「格差」を作る☆☆☆☆

15歳若返る脳の磨きかた

15歳若返る脳の磨きかた

  • 作者:苫米地英人
  • 発売日: 2014/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
15歳若返る脳の磨きかた

15歳若返る脳の磨きかた

 

この本を知ったきっかけは、樺沢紫苑さんの『読んだら忘れない読書術』。

その中に、

 IQの高さというのは、じつは読んだ本の数にほぼ正比例しています(P139)。

という言葉が引用してあったのだ。

この意味が知りたかったのと、「脳が15歳若返る」というタイトルに興味を持ち、さっそく図書館で借りて読んでみた。

いろんな意味で、面白い本だった。

 

◆目次◆
まえがき――若々しい脳はあなたの人生に何をもたらすのか?
第1章 脳の「若返り」とは何か?
第2章 老化した脳と若い脳は「ここ」が違う
第3章 若い脳は抽象空間を操作する能力を持っている
第4章 苫米地流ブレイン・アンチエイジングのメソッド
第5章 古武術に学ぶ脳の若返り
第6章 脳が15歳若返る習慣術
あとがき

苫米地さんと言えば、「抽象度を上げる」がおきまりのフレーズ、という印象があった。
この本でも、やはり登場した(ただし、「抽象思考をする」という表現でした)。

 

著者の言うIQの高さというのは、抽象化の能力が高いことを言う。
抽象化とは、具体化の逆で、たくさんの情報の中からシンプルな法則を発見すること。

抽象化するには、「たくさんの新しい情報」が必要なので、そのために本を読んでいることが大前提なのだ。

脳内の神経ネットワークは、使えば使うほどその結びつきが強化される(逆に、使わなければ衰える)。抽象思考すると、脳では「神経ネットワークの同時発火」が起きるそうだが、新たな知識がなければもう同時発火は起きない。
というわけで、日々神経ネットワークを強化するには、日々新たな知識が必要になる。

 

著者が勧める読書量は、何と月に100冊。しかも、速読は知識量がある程度できてからでなければ逆効果だという。なので、最初はじっくり時間をかけて読む方がいいそうだ。
さらに、知識のベースとして西洋の古典を4回ずつ読み込むべし、とリストまで上がっていた。
お金を扱う仕事に就いているなら、マルクスの『資本論』を読んでいなければおかしい、という著者の主張は刺さった。「教養」というのはこういうものなのだ。

 

著者の勧める脳のアンチエイジング法は

  1. 読書
  2. プログラミング
  3. 楽器演奏(クラシック限定*1

の3つ。

どれも一応やったことがある身にとっては、とても説得力のある説だった。
大切なのは、「大きな構造物を、情報空間に構築する」(プログラミング)「頭の中の情報空間を、具体的に物理空間に移す」(楽器演奏)など、情報空間を操作する作業をすること。

長時間考え続けることも抽象度の高い脳の使い方になるという。
日本では社会に出ると、研究職以外はルーティンワークがほとんどになり、脳を使わなくなる。すると、どんどん脳の神経ネットワークは死んでしまう。
これが脳の衰えになり、老化が進む。

 

著者によると、「過去の記憶の中に生きている人は、老化が早まり、死んでしまう」という。
明日が必要な人というのは、新しいものを見ようとする人。そのためには抽象思考が必要になる。

まえがきにあったが、これからは「脳の若さが格差を作る」そうだ。
若い脳を保つことができれば、長生きができ、人生はいつまでも楽しいものになる。
やはり、「抽象思考をすることこそが長生きの道」なのだ。

 

ここでは読書に関することに絞ったが、脳科学の話から仏教まで、幅広い話題が展開する。世の中のしくみを解く鋭い言葉があったりして、読んでいてワクワクする本。

今まで著者の本には難解なイメージがあったが、この本はとても読みやすい。
こういうジャンルに興味がある人はもちろん、ない人も抽象思考の訓練のためにぜひ読んでみてください。
私のアクション:「関節を動かすトレーニング」をする

 

 

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 ※抽象度を上げることについて、初めて読んだ本

 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
※かなり要約しています

神経細胞の淘汰のメカニズム(P90)

1.使わない神経細胞はどんどん失われ、二度と取り戻すことができない。その神経細胞の大量淘汰はクリティカルエイジを境に始まり、その人が死ぬまで続く。
2.脳の働きを回復させ、脳を若返らせる方法は、脳を使い、神経ネットワークの働きを維持、拡大させていくしかない。
※クリティカルエイジ=8〜13歳、脳の学習限界年齢のこと。この時期までに学んだことと、この時期以降に学んだことでは、身につく技能に大変な差が出る。
脳の神経細胞同士が神経ネットワークを形成するピークの時期にあたる。

「3か月ルール」で脳はよみがえる(P145)

たとえば禁煙。禁煙を始めた人の脳はドーパミンを出さなくなっている。

ドーパミンは、人間を行動に駆り立てる神経伝達物質で、これが出なくなると脳に「やる気を出せ」という司令が伝わらない。

煙草を吸う人の脳ではドーパミンの代わりにニコチンがドーパミン系に働きかけるようになっている。
このため、禁煙を始めたとたんに脳が行動を促さない状態になる。

しかし、じっと我慢すれば、およそ3か月で、脳は再びドーパミンを出すようになる。

脳は、およそ3か月でだいたい戻るようにできている。
このため、読書の習慣から遠ざかっている人も、3か月我慢して毎日読み続けていると、ふと読書が苦しいことではなくなる瞬間がやってくる。

長距離走のデッドポイントを超え、急に呼吸が楽になり、足も軽くなり、いくらでも走れるような爽快な気分になる時と同じ感覚。

自分が読みたいジャンル以外を選ぶ(P148)

読みたいと思わない分野の本を選んだ方が、知識のゲシュタルト作りが進む。
読みたいと思わない分野の本は、あなたがまだ獲得していない知識の宝庫。その本で展開される内容や主張は、あなたの考えとは大いに異なるかもしれない。だから価値がある。
著者はおそらく、これまでのあなたにはまったくなじみのない抽象思考を、そこに展開していることだろう。その思考のプロセスをたどり、理解していくことが、あなたの思考をもうひとつ上の抽象度へ導く材料になる。

*1:「五線譜を読んで演奏する」という行為が大切なので、きちんとしたスコアのあるクラシックがいいそうです