毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

カメだってウサギに勝てる!☆☆☆☆

今シーズンは解説での出演も多く、活躍されている。鈴木さんの演技が大好きだったが、まさかここまでの活躍(出版・講演や、試合中継以外のテレビ出演など)をされるとは、失礼ながら思っていなかったのでうれしい。

なぜなのか、その理由がこの本を読んだらわかってきた。


 

◆目次◆
第1章 リンクを離れてわかったこと
第2章 私を支えてくれた言葉
第3章 はじめの一歩
第4章 ラストダンス
第5章 今をがんばることで未来が生まれる
あとがき

この本は、夕刊ゲンダイの連載を元にまとめられたもの。
前半はおもに競技人生を振り返る内容で、先に読んだ『ひとつひとつ。少しずつ。』よりもさらに詳細に書かれている。
記憶がない、とよく言われている拒食症発症のあたりも、きっかけや経過が克明に書かれていて驚いた。

また、ソチの前に足の状態が悪くて大変だったことや、翌月の世界選手権まで引退を延ばしたいきさつなども初めて知った。
当時はそこまでくわしく報道されていなかったので。

 

タイトルも、この人らしい。

 本書に『笑顔が未来をつくる』というタイトルをつけたのは、フィギュアスケートが笑顔で滑る競技だからです。4分間の競技の後半は本当に苦しい。ジャンプを跳び、ステップを踏み、スピンをして、最後は息をするのもやっと……でも、フィギュアスケーターは笑顔でいなければいけないのです(P165)。

 長く生きていると、ずっと笑顔ではいられません。苦しいときでも笑えるほど、私は人間ができていませんでしたし、残念ながら今でもそうです。でも、だからこそ、少し無理してでも「笑顔でいよう」と考えています。
 つらいときでも、笑っていれば楽しくなれます。
 だから、みなさん、笑いましょう。
 笑顔が未来をつくるのですから(P166)。


読んで感じたのは、「この人は、自分のよさも弱点もしっかりわかっている」ということだった。演技だけでなく、人生においてもそうだ。
長期プランが立てられる人なのだ。

 私は、自分の将来を考えたときに、「今をがんばろう」と思いました。コーチたちからも、「自分のキャリアが次の世界につながるよ」と言われました。オリンピックに出ることもメダルを取ることも、自分が今後やりたいことの可能性を広げてくれるもの。プロスケーターになるための、プロの振り付け師になるための、ある意味、「就活」です。
 自分の未来は、「今をがんばること」でしか見えてこない。プロのスケーターになりたければ、ショーに呼んでもらえるスケーターにならなければならない。もしコーチになりたいなら、コーチをしてほしいと思われるような選手にならなければいけません。今後の活動を考えて、残りの選手生活で「これをやろう」と決めれば、より可能性は広がるでしょう(P161)。

現役生活を送りながら、ここまで将来のことを冷静に見据えられる人、将来の計画のために今何ができるか考えられる人はなかなかいない。
正直言って、最近引退した中でも現役時代の実績は鈴木さん以上の人もいる。
でも、鈴木さんはすんなり中継の仕事や解説にも携わるようになっているし、念願だった振付師としてのキャリアもスタートさせた。
そこには、この長期的視点があったんだ、と感心した。

 

言葉は悪いが、カメの逆襲だなぁ、と思った*2
カメだって自分のよさを知りつくして最大限活かせば、ウサギに勝てるのだ。
もちろん、ウサギに勝つのを目的にしていたわけではないはずだが。
改めて、自分を知ること、自分の強みを活かすことの大切さを感じた。

 

フィギュアスケートに関する記述もやはり面白い。
試合に出るために「級」があることや、プログラムの振付を作り上げるプロセス*3など、初めて知ることもいろいろあった。

 

フィギュアスケートファンはもちろん、あまりよく知らない人にもおすすめできる本です。生き方のヒントがもらえます。
私のアクション:「できなかったら、できるまでやる」と言い聞かせる
■レベル:守

 

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

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*1:今月、さらに2冊新刊が出ています→『「等身大」で生きる―スケートで学んだチャンスのつかみ方 (NHK出版新書 475)』『プロのフィギュア観戦術 (PHP新書)

*2:すみません、鈴木さんはご自身のことを「自分は(新幹線ではなく)普通列車だ」と書かれているので、お許しください

*3:紹介されていたのはシェイ=リーン・ボーンさん