怖くても、逃げ出したくても、「もうやるしない」と覚悟を決めることができたのは、日々の練習があったから(P7)
コーチにいくら励まされても、スタッフに元気づけられても、「しっかり練習できたかどうか」は自分が一番よくわかっています。自分の中に「あれができなかったなあ」「もう少し真剣にやっておけば……」という思いや不安があれば、それは氷の上で出てくるのです。
氷の上にはその人の人生が映し出される(P8)
氷の上の綻びは、テクニックや技で繕うことはできないのです。
努力や準備をするのは当たり前。でも「本番になると何が起こるかわからない」と考える(P17)
だから、最後はその場で感じたままにやろうと。緊急事態には、それまでの積み重ねがモノを言います。
人より時間が多くかかるなら、「じゃあ、ゆっくり味わってしまえ」と覚悟を決めています(P17)
自分自身の人生は普通電車(鈍行といわれるもの)なのだと思います。途中で止まったり、特急に追い越されたりしています。でも普通電車だからこそ見える景色があるのです。
(中略)
ゆっくりゆっくり進むからこそ、味わえることがたくさんあるのです。
お母さんの言葉(P24)
「人よりも倍練習してみたら?10回練習してできなかったら、明日20回練習しなさい。必ずできるようになるから。人よりも努力しなきゃダメよ」
長久保コーチの言葉(P31)
「一緒に練習している10代の選手と比べたら、明子の伸びしろは半分もない。でも、ほんのちょっとだけある伸びしろに向かって明子が努力するのなら、先生は応援する。ちょっとだけある伸びしろを信じてやれるか」
ソチオリンピックの1年前に、あと1年で引退することを決める(P48)
ようやく覚悟を決め、思いを言葉にしたことによって、すっきりしました。
(中略)
競技生活はあと1年しかありません。1日1日が引退までのカウントダウンになります。……会見をしてからは「こんなに苦しい練習もこれが最後」と思ってがんばれるようになりました。やっぱり、期限を決めることは大事です。期限があれば人間はがんばれるのだと、すごい発見をした気分でした。
道しるべがないなら自分で作ればいい(P132)
競技者として掲げていた目標は明確でした。オリンピック、世界選手権、全日本選手権……その時々に、わかりやすい道しるべがありました。今はそれほどはっきりしたものは見つかりません。しかし、目の前に確かな目標があるのとないのとでは、がんばり方も変わってくるでしょう。
道しるべがないなら自分で作ればいいのです。