毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

“カウンターの中の人”が教える図書館活用法☆☆☆☆

「今度は図書館かー、楽しみだな」と思って読み始めたら、想像の何倍も深い本だった。


 

◆目次◆
すこし長めのまえがき なぜいま「図書館」なのか
序章 図書館の「場」としての力
第1章 「集中力」編 作業効率アップ・サードプレイス・知の空間として
第2章 「発想力」編 セレンディピティ・視点転換・拡散思考
第3章 「思考力」編 情報収集・調査・分析・意思決定・判断・集中思考
第4章 「教養力」編 生涯学習・独学・雑学・レクリエーション・スキルアップ
第5章 図書館のトリセツ もっと図書館を知り、使い倒す達人になる!
第6章 「使える図書館」を探すための7つのチェックポイント
あとがき 利用者が「使える図書館」をつくる

付録
 1枚!図書館ポートフォリオ
 ざっくりNDC一覧

一般的に「図書館は本を借りるところ」と思われているが、それは間違い。

「前から読みたかった小説があった。ラッキー」……これだけではあまりにもったいない。幕の内弁当のご飯だけを食べているようなものなのです(P10)。

奥野さんによれば、ふだん私たちが利用しているのは、図書館の機能のほんの一部だという。
――というのも実は奥野さん、何と図書館司書の資格をお持ちなのだそうだ。それも、社会人になってから、図書館を知りつくすために資格取得を決意。

……本書では図書館スタッフに頼らず「ほぼ独力」で図書館を使いこなすためのノウハウを書いています(P15)。

つまり、この本は「カウンターの中の人」が教えてくれる図書館活用術なのだ。こんなにありがたい本はなかなかない。

 

「もっといろんなシーンで図書館を使いましょう」という提案が、章ごとにまとめられている。
イデア出しや、企画書作成など、ビジネスパーソンが直面する問題にどんな風に使えるのかが例としてあげられているので、わかりやすい。

 

頭に入れておきたいのが「分類法」。背表紙に貼ってあるラベルの3桁の数字だ。日本十進分類法=NDC(Nippon Decimal Classification)という分類法が使われている。
公共図書館はほぼすべてこの分類法を使っているので、このしくみを理解しておけば、日本中どこの図書館に行っても自在に使いこなせる。
巻末には簡略化した一覧表も載っているので、自分が探したいジャンルの本にあたりをつけるのに便利。

さらに、NDCを元に自分の知りたい情報にアクセスする方法「棚見←→OPAC往復法」もはずせない(やり方は下のメモにあります)。

 

奥野さんは、図書館の棚を見ながらうろうろすることを、「インターネットの中を歩き回るようなもの」だという。

……図書館とは、いわば「歩き回れるインターネット」であり、図書館で仕事をするのは「インターネットの中に入って仕事をする」ようなものです(P51)。

思い浮かんだ「キーワード」で検索してヒットする情報は、「すでに想像できていた範囲」にとどまる。「想像の及ばないこと」は、キーワードを考えつくことすらできないので、出会うことはできない、と書いてあってハッとした。
確かに、自分の考えの外にある情報にたどり着くには、インターネットよりもセレンディピティの起きやすい図書館の方がよさそうだ。

 

また、図書館の大きなメリットは、個人契約をしたらかなり高額な有料データベース*1が、無料で利用できること。導入されている図書館なら資料と同じ扱いなので、無料で見られる。
ただ、どんなデータベースがあるかは図書館によって違うので、あらかじめ調べておいた方がいい。
奥野さんは、目的によっていくつもの図書館を使い分けていて、どこにどんなサービスがあるのか一覧できるようにまとめているそうだ。

 

また、図書館ではただ借りるだけではなく、司書やスタッフの方に相談する「レファレンスサービス」なるものもあるそうだ。
調べたい内容にたどり着けない場合や、どんな棚を見ればいいのか見当もつかない時に、頼りになるという。

 

「図書館は使い倒してナンボ」と奥野さんは言う。

 一人ひとりの利用者が、本気で「自分の人生に役立つ情報を求めて図書館に足を運ぶようになれば、提供する側のサービスも高度化し、さらに図書館が利用しやすくなる――そんな「いい循環」が起きるでしょう(P217)。

公共図書館には「利用者の求めるサービスをする」という方針があるだけで、「利用者を育てる」という発想がない。
だから利用者が図書館を育てなければ、図書館はよくならないという。
せっかくなのでこの機会に、ただ借りるだけではなくもう少し滞在時間を増やそう、と思った。

 

この本を書く時の方針として、「図書館好きのための利用法ではなく、あまり使ったことがない人に向けた利用法」というのがあったそうです。
図書館をふだんあまり使わない、という人にこそ読んでほしい本。しっかり利用して、使い勝手のいい図書館に育てましょう。
私のアクション:「棚見←→OPAC往復法」にトライ
■レベル:守

 

次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

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※図書館ごとにポイントをまとめたノートを作られている奥野さん。ノウハウはこの本で学べます

 

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※たくさんの引用が楽しい本ですが、実はその収集に図書館が大活躍したのだとか*2



*1:たとえば「日経テレコン」など

*2:本のタイトルは書かれていませんが、おそらくこの本のことです