家族が借りてきた本。齋藤先生は多作のためすべての本の情報を追うのはむずかしく、この本のことはまったく知らなかった。今年出た本で、「全技術」とつく本はこれが3冊目にあたる。
「読む」「話す」「書く」力をバランスよく鍛えるのが目的のシリーズのようだ。
かなり分厚い本だが、読み始めたらはじめに予想したより楽に読めた。これも齋藤先生の書く力によるのかもしれない。
◆目次◆
はじめに
第1章 社会人こそ「書く力」が必要な理由
第2章 書き方を変えると生き方が変わる!――「書く力」を鍛える基本練習
第3章 仕事の成否は文章力で決まる!――ビジネス文書の全技術
第4章 文章の達人になる――ワンランク上の書く技術
第5章 「読む・書く・話す」の達人になる――言葉を磨く最後の全技術
終 章 私の「書く力」を鍛えた40冊
この本では、ビジネスパーソンに必要な「書く力」をどうやってつけるかがテーマ。だから、“正しく伝わる、理解しやすい文章”といった内容なのかと勝手にイメージしていたら、まったく違った。
何しろ、いきなり「文章には人格が表れる」と断言してあるのだ。大学で小論文の選考などもされるそうだが、文章で「人となり」がわかるのだという。
齋藤先生にかかれば、エッセイと企画書には通じるものがあるそうだ。どんな文章でも、気づきや発見や新しい認識を打ち出すものがいい文章だからだ。「新しい何かを発見する力」がそこには求められる。
これまでにないほどビジネスで文章力が必要とされる現代。パソコンが普及してメールが一般的になり、SNSなどで自分の考えを表現する機会も増えているからだ。
企業や社会が社会人に求めるのは、「目のつけどころがいい」「おもしろい視点を持っている」といったポイントに加え、「段取りがうまい」「人と生産的なコミュニケーションがとれる」「新しい提案ができる」「情報を収集してうまく活用できる」といったツボを押さえた文章です(P149)。
――「文章」じゃなくて「人物」の間違いじゃないのか、と思った。ただ、こういうことが文章でできるようになれば、どこに行っても「使える」人になれそうだ。
「発見」「新たな視点」などが大切だ、という一方で、ビジネスで求められるのはやはり「透明度の高い文章を書く力」だという。
具体的には
最重要ポイントをごく簡単に最初の二、三行で書いてしまい、そのあとで時系列的に誰がどうして、こうなって、こうなって、こうなったと、事実関係をちゃんとまとめた文章が書けるようになる必要があるのです(P98)。
さすがは齋藤先生、具体的なゴールを示し、そこに至るのにどんなことをすればいいのかが書いてあるのでわかりやすい。
「読む」と「書く」は両輪なので、終章では「書く力」を鍛えてくれる本が40冊紹介されている。
今までに挙げられたものも多いが、この本では1冊ずつ丁寧に解説されているので、「すすめる意図」が明快でわかりやすい。
以前読み始めたものの、目的がよくわからずに挫折した本もあったので*1、これなら安心して読み始められそうだ。
テーマは「書く力」だが、「齋藤メソッド」の集大成でもある*2。
分厚さにひるまない方はぜひ読んでみてください。
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私のアクション:「日常の中にこそ面白いものがある」という目で見てみる
■レベル:守
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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*1:こちらの記事がその典型です→『若き数学者のアメリカ』挫折 - 毎日「ゴキゲン♪」の法則
*2:3つに絞ってまとめる、3色ボールペン、ストップウォッチ、音読など
*3:上下など、分かれているものもカウントするため48冊になっています