毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

習慣のしくみを知れば、人生は変えられる☆☆☆☆

 

 

メモをしなかったので忘れてしまったが、最近読んだ本の中で、この本が紹介されて興味を持ったのが読んだきっかけ。少し前の本だが人気があり、図書館で予約してしばらく待った。

以前参加したセミナーで、「悪い習慣はやめることができない。いい習慣に置き換えるしかない」と聞いたことがある。この本は、それを裏付けるデータや研究がぎっしり詰まっている。
著者は「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者。綿密な取材*1と圧倒的な筆力で、すごいボリュームの本なのに面白くて一気に読ませる。

 

◆目次◆
プロローグ
第1部 個人の習慣
 第1章 「習慣」のメカニズム――行動の4割を決めている仕組みの秘密
 第2章 習慣を生み出す「力」――ファブリーズが突然大ヒットした理由
 第3章 習慣を変えるための鉄則――アルコール依存症はなぜ治ったのか

第2部 成功する企業の習慣
 第4章 アルコアの奇跡――会社を復活させた、たった一つの習慣
 第5章 スタバと「成功の習慣」――問題児をリーダーに変えるメソッド
 第6章 危機こそ好機――停滞する組織をいかに変革させるか
 第7章 買わせる技術――ヒット商品を自在に生み出す秘策

第3部 社会の習慣
 第8章 公民権運動の真相――社会運動はどのようにして始まるのか
 第9章 習慣の功罪――ギャンブル依存は意志か習慣か
エピローグ
付録――アイデアを実行に移すためのガイド

この本は3部構成になっている。
第1部は「個人の習慣」、いかにして新しい習慣が作られ、古い習慣が変わっていくかといった、「習慣の形成」を神経学的に掘り下げている。
第2部は「組織の習慣」、成功している企業や組織の習慣を分析している。
第3部は「社会の習慣」、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアたちが起こした公民権運動が成功した要因などを「習慣」の面から追求していく。

 

たったひとつの習慣を身につけるだけで、人生を変えることがあるという。
たとえば、運動をする習慣。それを身につけると、勉強をする、間食を減らして体にいい食事する、クレジットカードの利用額が減るなど、直接関係のないところにまで波及効果があると、さまざまな研究で明らかになっている。
それを「キーストーン・ハビット」と呼ぶ。
この本では、「キーストーン・ハビット」を身につけるための方法を、たくさんの実例を挙げることによって学べるようになっている。
ただ、HowToものではないので、あちこち話は飛ぶ。

 

習慣を変えるには、まずそのしくみを知ることが重要だ。

 ここで扱う習慣とは、専門的に次のように定義される――ある時点で意図的につくり、やがて考えなくても毎日、何度も行うようになるもの。私たちはどのくらい食べるか、職場に着いたなら何をするか、週に何回酒を飲むか、いつジョギングに行くかといったことを、ある時点で意識的に決めている。やがて決定をしなくなり、その行動は無意識のものとなる。それは神経学的には自然の結果だ。そしてこれがどのようにして起こるのかを理解すれば、自分の好きなようにパターンを作り直すことができるのだ(P10)。


簡単には「きっかけ→ルーチン→報酬」という流れになり、「きっかけ」「報酬」はそのままにして、「ルーチン」だけを変えるというのがスムーズだという。
ただ、自分にとって何が「きっかけ」や「報酬」なのかは、注意深く向き合わなければ、わかりづらいようだ。
習慣というのは無意識化されていて、きっかけに気づくことはほとんどないからだ。

このあたりは、著者の実例が参考になる巻末の「付録」を見ながら自分でも試せる。

 

実例の中にはマイケル・フェルプスのメンタルトレーニングの話があり、興味深かった。
金メダルを取るまでの一連の流れを頭の中にビデオテープのように繰り返し再生し、その中にスモール・ウィン(小さな勝利)と呼ばれるものをいくつか埋め込んでおく。
当日はその通りにやれば、小さな勝利を積み重ねていけば自動的に金メダルにたどり着くようになっているのだ。
フェルプスにとって「金メダルを取ること」は当たり前のことになっていて、スモール・ウィンを積み重ねた先にある「当然のゴール」であり、そこにプレッシャーも焦りもないという。

 

「成功するには、まず小さなことを習慣にするといい」という話はいろんな本で読んだ。たとえば、「玄関で靴を脱いだら必ず揃える」といった、ささいなことでいい。それを無意識にできるようにする。
これが、「スモール・ウィン」なのだ。
今まで、いろんなところで読んだり聞いたりしたことが、この本1冊で結びつき、しっかり理解できた。

 

後半はだんだん大きな話になっていくが、企業のことにも個人で使えるヒントがあったりして面白い。
マーケティング行動経済学、社会運動から依存症の克服まで縦横無尽に語られているので、人によって興味を惹かれるところは違うはず。

翻訳ものが苦手な人にはお勧めしませんが、自分の習慣を変えたい、新しくいい習慣を身につけたい、という人には一読の価値ありです。
私のアクション:「付録」を使って、今困っている“悪い習慣”を変える
■レベル:破 文字がぎっしりの翻訳ものなので、ボリュームのある本に慣れた人向きです。

 

次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

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*1:「何百という学術的研究、300人を超える科学者や企業幹部へのインタビュー、何十という会社が行った研究をもとにしている」そうです