毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

才能よりも重要なのは、グリット(やり抜く力)☆☆☆

【2019/02/12UP】
アメリカでセンセーションを巻き起こし、日本でもベストセラーになった本書。長年「達成力がない」(つまり、「やり抜く力」がない)ことが悩みだった私は、何かヒントになれば、と思って読んでみた。
意外なことの連続だった。


◆目次◆
PART1 「やり抜く力(グリット)」とは何か? なぜそれが重要なのか?
第1章 「やり抜く力」の秘密
第2章 「才能」では成功できない
第3章 努力と才能の「達成の方程式」
第4章 あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか?
第5章 「やり抜く力」は伸ばせる
PART2 「やり抜く力」を内側から伸ばす
第6章 「興味」を結びつける
第7章 成功する「練習」の法則
第8章 「目的」を見出す
第9章 この「希望」が背中を押す
PART3 「やり抜く力」を外側から伸ばす
第10章 「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
第11章 「課外活動」を絶対にすべし
第12章 まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
第13章 最後に

著者はアメリカの教育界で近年重要視されている「やり抜く力」研究の第一人者であり、その研究結果をまとめたのがこの本。内容がとてつもなく濃い。

人材を評価するのに成績を使うのは常識だったが、軍隊のエリートコースでドロップアウトせずに残る人は、成績や事前のデータではまったくわからないという。
そこで、どんな指標があればそれが予測できるのか?と研究が進んでわかったのがグリット(日本語にすると「やり抜く力」に相当する)。

 人は誰でも限界に直面する――才能だけでなく、機会の面でもだ。しかし実際には、私たちが思っている以上に、自分で勝手に無理だと思い込んでいる場合が多い。なにかをやって失敗すると、これが自分の能力の限界なのだと思ってしまう。あるいは、ほんの少しやっただけでやめてしまい、ほかのことに手を出す。どちらのケースも、もう少し粘り強くがんばればできたかもしれないのだ。
「やり抜く力」が強いということは、一歩ずつでも前に進むこと。
「やり抜く力」が強いということは、興味のある重要な目標に、粘り強く取り組むこと。
「やり抜く力」が強いということは、厳しい練習を毎日、何年間も続けること。
「やり抜く力」が強いということは、七回転んだら八回起き上がること(P366)。

著者の定義する「やり抜く力」とは「情熱」と「粘り強さ」からなる。
自分が情熱を持ち続けられることを見つけるのが重要であり、それを粘り強く続けることで、初めて才能は花開くのだ。
ただ才能だけあっても、それだけでは成功しない。

 第一に、「やり抜く力」はのばせるということ。
 それにはふたつの方法がある。
 ひとつは、「やり抜く力」を自分自身で「内側から伸ばす」方法。具体的には、「興味を掘り下げる」「自分のスキルを上回る目標を設定してはそれをクリアする練習を習慣化する」「自分の取り組んでいることが、自分よりも大きな目的とつながっていることを意識する」「絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ」などの方法がある。
  もうひとつは、「外側から伸ばす」方法だ。親、コーチ、教師、上司、メンター、友人など、周りの人びとが、個人の「やり抜く力」を伸ばすために重要な役目を果たす。
(中略)
 第二は、幸福感について人生で大切なのは成功だけではない。人は誰でも幸せになりたいはずだ。幸せと成功はつながっているが、ふたつは同じものではない。
(中略)
(やり抜く力と人生への満足度の関連性を調べた)その結果、「やり抜く力」の強い人ほど、精神的にも健康な生活を送っていることがわかった。グリット・スケールのスコア(「やり抜く力」の強さ)が最も高い場合も、幸福感や健康状態とは比例関係にあることがわかった
(P356-358)。


「やり抜く力」はどうやって身につけるか、というのが読者の一番の関心だと思うが、やはり子どもの頃の経験がものを言うそうだ。どんな習い事をさせるのか、どれだけ続けさせるのか、できたこと・できなかったことに対して大人はどんな言葉をかければいいのか。環境やどんな集団に属していたのかでも大きく変わる。
ただし、うれしいことに「やり抜く力」は大人になってからでも伸ばせるという。

この本の第4章に自分の「やり抜く力」を判定する「グリット・スケール」というものがある。質問に答えてそれを数値化することで、自分の情熱と粘り強さがどのくらいあるのか、アメリカ人の平均と比較することができる*1
ただし、これは不変ではなく、人生の節目節目で判定すると変わるし、「やり抜く力」を意識して努力すれば、上げることができるのだ。


個人的に興味深いと感じたのは、「やり抜く力」と楽観的・悲観的という傾向に関連性があったこと。楽観的な人ほど「やり抜く力」は強かったそうだ。粘り強く続けるためには、悲観的な人よりも、楽観的な方が有利ということか。
楽観的に考える練習をすることで、「やり抜く力」を向上させられる、というデータもあるという。

これは前後して読んだ佐々木典士さんの『ぼくたちは習慣で、できている。』にあった、「行動することで自己肯定感が上がる」という仮説を裏付けるのではないか。自己肯定感が上がることで、より楽観的に考えられるようになるのかもしれない。


また、この本で収穫だったのは、ウォーレン・バフェットがパイロットに伝授した「目標達成法」を著者がアレンジした方法を学べたこと。
以前別の本を見て「目標を25個書き出し、自分にとって重要な5つに絞り、他は捨てる」をやってみたことがあるが、著者と同じところでつまづいたからだ。
25個の目標がそれぞれ独立していればいいが、他の目標と相互に関連していて、5個以外は切り捨てることがむずかしい。
著者は書き出した目標に「面白さ」と「重要性」という2つの指標を設け、それぞれに1~10でスコアをつけ、掛け合わせて点数を出し、優先順位をつけたという。

私もその方法でやり直してみたところ、お正月からうんうん言って考えてもなかなか定まらなかったコンパス(人生の指標)が何とか定まった。
また、目標はピラミッド式に何層にもなっているのだが(本書にくわしい説明があります)、自分が重要な目標として挙げていたものが、実際は下位の目標だったり、ひどいものはただの手段だったりしたことがわかった。著者の方法を試すことで、ずっとモヤモヤしていた目標がクリアになってとてもありがたかった。


多くのことが詰め込まれているので、人によって受け取れるものが違う本です。
ここで紹介できたことはほんの一部なので、ぜひ手に取って、自分にとって必要な情報を得てください。

最後に、翻訳者・ 神崎朗子さんのあとがきから引用します。この本の素晴らしさがよくわかります。
【参考】訳者あとがきより

 「グリット」すなわち「やり抜く力」は、「情熱」と「粘り強さ」のふたつの要素からなる。「情熱」とは、自分のもっとも重要な目標に対して、興味を持ち続け、ひたむきに取り組むこと。「粘り強さ」とは、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力を続けることだ(P371)。

 本書のもうひとつの魅力は、「やり抜く力」は自分の進んだ道で成功するためだけではなく、人生という長いマラソンを走り続けるために、すべての人にとって重要だと説いている点だ。山あり谷ありの人生を、幸福感を失わずに生きていくには、目の前の困難や挫折を乗り越えるだけでなく、自分なりの大きな目標と、興味と、希望が必要だ。私たちは何歳になっても自分自身の「やり抜く力」を伸ばし、自分の子どもや家族だけでなく、周りの人たちの「やり抜く力」を伸ばすために互いに手を差し伸べ、貢献することができる(以下略)(P374)。

私のアクション:あきらめたくなったら、「楽天家」になり切って見方を変えてみる
■レベル:破


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
book.yasuko659.com

*1:当然ですが、私のスコアは平均以下…とほほ