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フィギュアスケートの採点基準がわかる本☆☆☆

家族が借りてきた本。こういう本が出版されるようになると、そろそろ次の冬季五輪も近づいてきたなあという実感が湧いてくる。
今までに読んだ本の中でも、画期的な試みの面白い本だった。

 

◆目次◆
はじめに
第1章 平昌五輪の代表を決める激闘のプロセス
第2章 試合に臨むための心意気
第3章 なぜ羽生選手は世界選手権で優勝できたのか
第4章 私が見たスケーター達の素顔(浅田真央さん/安藤美姫さん/高橋大輔さん/鈴木明子さん/小塚崇彦さん)
おわりに

中野友加里さんは、元フィギュアスケート選手。バンクーバー五輪出場を目指していたが全日本選手権鈴木明子選手にわずかに及ばず、出場を逃す。そのシーズンをもって引退し、現在はフジテレビ社員として活躍されている*1
この本では、元現役選手の経験と、引退後に取得した審判(ジャッジ)の目線からフィギュアスケートを解説している。
現役ジャッジが解説してくれる本というのは今までにない、新しい切り口だと思う。

 

第1章はオリンピックの出場資格を得るためにはどんな戦い方をする必要があるのか、グランプリシリーズや全日本選手権などについて丁寧に教えてくれる。
第2章は主に中野さんご自身の経験から、スケーターが予定のジャンプを失敗した時に何を考えているか、大きなキャリーバッグに入っている7つ道具は何か、など、親しみのわく内容。
ただし、あくまで主観なので他に人とは違うこともあるようだ。中野さんは「滑走順のベストは最終グループの2番滑走」だったそうだが、ある選手は一番苦手と話していたことがあるので、個人差も大きいのかもしれない。
第3章が、2017年の世界選手権で羽生選手が逆転優勝したしくみを、採点表を見ながら解説する、という斬新な章になっている。
第4章は、中野さんが競い合ってきた世代の人たちのエピソード集だ。

レビューに多かったのが、中野さん自身の話と、今シーズンを観戦するための解説を分けてほしかった、という意見。確かに、第4章に出てくる人とは全員すでに引退されているので、観戦のための解説本には不要、と言われても仕方ないかも。
鈴木明子さんがご自分の体験を綴った本を出せるのに、中野さんは出せないのは、やはりオリンピックに出たかどうかの違いなのだろうか*2

 

ただ、この本のメインはやはり第3章だろう。私は1、2、4章をさらっと読み、3章をじっくり読んだ。
ISUのサイトなどで試合後に公開される採点表(ディテール、プロトコルとも呼ばれる)を、ショートプログラムフリースケーティングの両方で、ショートで先行したフェルナンデス選手と、10点以上の差をつけられた羽生選手ふたりの採点表を掲載、ポイントをくわしく解説してあるのだ。
他にも、宇野選手のフリー、メドベージェワ選手のショートの採点表が載っていて、さまざまなケースを見ることで、読み方が理解できる。

今までは見よう見まねでチェックしていたものの、なんとなくしかわかっていないところや、知らなかったところまで新たに教えてもらったので、今後はもう少しちゃんと読み解けそうだ。

 

こういう本には締切があるからしかたがないのだが、オリンピック最終グループに入るだろうと書かれている男子6人中、3人がグランプリファイナルに出られない*3というのも波乱をうかがわせる。
女子は今回オリンピックに2人しか出られないので、こういう本で扱いが少なくなってしまうのも淋しい。回復途上の宮原選手以外はまだまだこれからな選手が多いので、順調に成長してほしいと思う。

「なんとなく好きで見ている」人が少し詳しく知りたい、という時におすすめです。
採点基準がよくわからない、という人にも読んでほしい本。
私のアクション:試合後に採点表を見る
■レベル:破

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

フリーの規定(P142)

・8つ(女子は7つ)のジャンプのうち、連続ジャンプを3つまで入れることができる。
・そのうちの1つは3連続ジャンプにしてもよい。
・8つのジャンプのうち、1つはアクセルが必要。
・6種類のジャンプのうち2種類までなら同じ種類のジャンプを2回ずつ跳ぶことができる。


 

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*1:今は子育て真っ最中だそうなので、働き方は少し変化しているかもしれません

*2:私はどちらの選手も好きだったので、バンクーバーの時は鈴木さんが出てうれしい気持ちと、中野さんが出られなくて残念な気持ちで複雑でした

*3:その後、ボーヤン・ジン選手も出場資格は得たもののケガのため棄権になりました。残念です