このブログを昔から読んでくださっている方は、私が以前「カツマー」だったことはご存知かもしれない*1。
ずいぶん遠ざかっていたが、去年、勝間さんが実は一時期「汚部屋」に住んでいて、経済理論を使ってそこから脱出した、という記事をネットで読んだ。その記事がとても面白かったのだ。
この本があることもわかったので、読んでみたいと思って図書館で予約、ようやく順番が回ってきた。
私にとって背中を押してくれる、とてもいい本だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 私が「断捨離」に目覚めた理由
第2章 捨てて得られる現世ご利益
第3章 まずはマインドを変える!
第4章 成功のための基本ルール
第5章 何を残して、何を捨てるか?初級篇
第6章 何を残して、何を捨てるか?中級〜上級篇
第7章 リバウンドしない生活習慣
第8章 汚部屋脱出で、行き詰まった人生も回りだす
おわりに
付録 勝間式 汚部屋脱出プログラム書き込み式シート
勝間さんはほぼひとりでお子さん3人を育て、家事も仕事も完璧にこなしていたイメージだったので意外だったが、片づかなくなってきたら「引っ越すことで強制的にものを減らしてリセットする」をくり返してきたのだそうだ。
今のお住まいはすぐに引っ越したくない事情があるそうで、そうこうするうちに片づけの“ティッピングポイント”を超えてしまったそうだ。
――こんな風に、さまざまな経済学や心理学といった専門用語で説明されているので、そういう分野が好きな人にとっては理解しやすい。
勝間さんによれば、捨てられない心を作る「3つの罠」というものがある。
- 「ものぐさの罠」
- 「バッチ処理の罠」
- 「サンク・コストの罠」
「ものぐさの罠」は、「ラクをしたい」というものぐさな気持ちから、「便利グッズなどを買うだけで満足して何もしない」*2という、ものが増えるだけのパターンに陥ること。
「バッチ処理の罠」は、「まとめてやった方が効率的で経済的だ」と思い込んでいること。
「サンク・コストの罠」は、使っていないのに「買った時高かったから」という、購入時点の価値に縛られて手放せないこと。
私に一番刺さったのは「バッチ処理の罠」。
バッチ処理というのはシステム用語で、もともとコンピューターの性能が低かった時代にその都度処理することができず、まとめて処理していた方法だという。
CPUの性能が上がった今は、逐次処理(=リアルタイム処理)が当たり前になっている。
片づけでも買い物でも、実はその都度サッとやってしまった方が速いし効率的だ、というのが勝間さんの主張。
今はやりの「買い物は週に一度まとめて」というのも、本当に買ったものをすべて使い切っているか疑問だという。検証してみたら、実は廃棄しているものも多いのでは、と書かれていた。
確かに、まとめてやろうとすると大変でうんざりするし、だんだん手が回らなくなって放置、という悪循環を招きやすい。食材のまとめ買いも苦手なので、そういう考え方もあるんだ、とホッとした。
勝間さんは洗濯も食洗機をかけるのも、まとまった量になるのを待たず、すぐにやってしまうそうだ。
逐次処理することによって、数を持たなくてすむ、というメリットもある。
片づける場所の順序も独創的だ。「簡単で効果実感が高い場所から」がいいそうだ。
つまり
- 自分が長く過ごす場所、目につく場所(=効果を感じやすい)
- 目的のはっきりしている場所(=ものの要・不要の判断が簡単)
- もの自体が少ない場所・狭いスペース(=すぐに終わるので簡単)
という、3つの条件を兼ね備えた場所から優先して始めるとうまく行きやすいという。勝間さんは寝室から始めたそうだ。
この本の「2週間」というのはあくまで目安で、「1日目にここ、2日目にはここを片付ける」といったワークブックのような作りではない。
それは、人によってかけられる時間も気になる場所も違うからだ。
ただ、こんな風に具体的な順序も提示してあるし、ルールとおおまかなガイドラインは書いてあるので、自分なりに工夫しながら取り組める。
基本はとてもシンプル。
とにかく、やることはひとつで、
・活躍しているものたちには、もっとお金とスペースを配分し
・活躍出来なかったものたちは、捨てるか、活躍先を探す
という当たり前のことです(P27)。
印象に残ったのは、精神面の効用。
汚部屋にいると、自己肯定感が下がるそうだ。
汚い部屋に住んでいる最大のリスクは、「自分を信じられなくなる」ことだと思います。要は、自己管理が出来ない、という事実を常に目の前に見せ続けられるわけです。これは、象さん(感性)に毎日、毎日、じわじわ効いてきます(P158)。
※ここでいう象さんとは無意識のことで、「象使い(=意識)が象さんをコントロールしているが、象使いは象さんのすべてをコントロールできるわけじゃない」というたとえと思ってください。
なので、片づいた部屋に住み、思い立ったらさっと家事ができることで、幸福度が上がるという。勝間さんご自身は2割ほど上がったと感じるそうだ。
収入を2割上げるのは大変だが、きれいな部屋にいて家事がストレスなくできるようになるだけで、幸福度は簡単に上げられるのだ。
久しぶりに読んで思い出した。勝間さん、なんとなく理屈っぽいイメージ(すみません)なのに、実は文章はとても読みやすい。しかも、ご自身のことも偉ぶらずに素直に書かれているので、読んでいて楽しかった。
やはり体験から書かれた本は説得力が違う。これならできそう、と思えた。
合理的なことが好きな人にはきっかけになる本。ピンと来た方はぜひ読んでみてください。
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■レベル:離
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
※メモは近日中にUPします