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[読書日記]POWERS OF TWO 二人で一人の天才☆☆☆ 

POWERS OF TWO 二人で一人の天才

POWERS OF TWO 二人で一人の天才

POWERS OF TWO 二人で一人の天才

POWERS OF TWO 二人で一人の天才


この本も佐々木正悟さんの『やめられなくなる、小さな習慣』で引用されていた本。
軽い気持ちで読んでみようと借りたら、ものすごく難易度の高い本でした。


◆目次◆
序曲
イントロダクション 1+1=無限

第1部 邂逅
1. 「君を見ていると、チャーリー・マンガーを思い出す」――組み合わせと磁石
2. 双子より似ている双子――類似と相違
3. 2匹の子グマのように――2人のあいだに電気が走る

第2部 融合
4. プレゼンス→信用→信頼――融合の3段階
5. 信じる心――絆を深める最終段階
6. 「みんな消えちまえ! 」――「私たち」の心理学
7. 「どんな力も私たちを分かつことはできない」――創造的な結婚

第3部 弁証
8. スポットライトと影――主演俳優と監督
9. ボケとツッコミ――液体と容器
10. ひらめきと努力――夢想家と実務家
11. 役割の交代――生成と共鳴
12. 「すべては対照的だ」――弁証の心理学
13. 心のなかの「他人」――創造的思考の対話

第4部 距離
14. 創造的な修道僧と結合体双生児――究極の距離
15. 「いつも相手を驚かせようとしていた」――多様な距離感
16. 「ないものを求める」――距離の欲情

第5部 絶頂
17. 最も親密な敵――創造的な企み
18. ルーク・スカイウォーカーとハン・ソロ――クリエイティブ・ペアとコーペティション
19. 「誰だって力を手に入れたいさ」――明確な力と流動的な力
20. 「オーヴとやり合うのが好きなんだ」――対立
21. アルファとベータ――ヒッチコックのパラドクス
22. 「マッカートニー・レノンはどうかな?」――権力のダンス

第6部 中断
23. 「こんな状況はありえない」――揺さぶり
24. 成功のパラドクス――くさび
25. 修復不能――レノン・マッカートニーの別離
26. 終わりのないゲーム――レノン・マッカートニーは決裂したのか?

エピローグ バートン・フィンク、スタンダード・ホテルにて
謝辞、訳者あとがき、参考文献、原注、人物索引


  • 「孤高の天才」は作られた神話
  • 二人で一人=クリエイティブ・ペア
  • 「列伝」の先はなかった…
「孤高の天才」の神話は、作られたものだという。実際には一人でできることなど限られている。

名声を得た人の多くには、「パートナー」がいる。プロゴルファーとキャディー、作家と編集者、映画監督とプロデューサーなど。
ペアとして世の中から認識されている人たちもいれば、日本的に言えば「内助の功」で片づけられたり、アシスタントやサポートをする人、としか思われていないケースもあり、さまざまだ。


ひとりよりふたりの方が、刺激を受け、火花が散り、競い合い、補い合う。時にライバルとなり、支え合う。
著者はこの組み合わせを「クリエイティブ・ペア」と名づけ、実際に多くのペアを調べてこの本を書いた。
膨大な資料や本 を読み込み、さらには本人たちや周囲へのインタビューなども行っている。巻末の参考文献の多さに驚いた。


孤高の天才という神話は著者によると

17世紀後半から18世紀後半にかけての啓蒙時代に生まれ、ロマン主義の時代に広まり、近代のアメリカで完成した。そもそもの始まりから、人間は他の人間や社会から切り離された存在だという原始論的個人主義と絡み合っている(P15)。

のだそうだ。

ミケランジェロが多くの弟子や職人とともにシスティナ礼拝堂の天井画を描いたように、現代も傑出した単独アーティストというより、「制作チームのブランドを象徴する存在」と言うべき人が多くいる。


ものすごく中身が濃い本なので、うまく要約された「訳者あとがき」から引用します。

著者はクリエイティブ・ペアのプロセスを6つのステップに分けて検証している。

ペアを組むことになる相手と出会い、人間関係の化学反応が始まる(ステップ1 ・邂逅)。互いに関心を持った2人はペアという呼び名にふさわしくなり、「私」より「私たち」が前面に出てくる(ステップ2・融合)。2人の役割や位置関係が見えてきて(ステップ3 ・弁証)、さまざまなバランスを取りながら関係が発展する(ステップ4 ・距離)。やがて2人のクリエイティビティが花開くが、ペアの力学に微妙な変化も生じる(ステップ5 ・絶頂)。そして、出会いがあれば別れが訪れる。ただし、真のペアになった2人の関係は、本当の意味で終わることはない(ステップ6 ・中断)(P361)。

さらに、クリエイティブ・ペアのカギとなるのはコーペティション。

クリエイティブ・ペアが発展するためには、刺激を与え合い高め合うだけでなく、補完し合う関係が不可欠だ。2本の川が合流して関係が成熟する過程で、自分たちにふさわしい距離感や役割分担を探り、コーペティション(協力[cooperation]と競争[competition])を深めていく(P362)。

まるでタンゴのステップを踏むように、リードする側とされる側が入れ替わりながら成長していくのだ。


この本では、多くのクリエイティブ・ペアが取り上げられている。

本書に登場するクリエイティブ・ペアは、名前も功績も、数々のエピソードも、多くの人が知っている天才たちだ。ジョン・レノンとポール・マッカートニー、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホと弟テオ、キュリー夫妻、作家のC・S・ルイスとJ・R・Rトールキン、アニメ『サウスパーク』のマット・ストーンとトレイ・パーカー、心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキー、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOとシェリル・サンドバーグCOO、ライト兄弟、NBAのマジック・ジョンソンとラリー・バード、投資家のウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガー……(P362)。

それ以外にも、ちょっと言及しただけのペアも加えると相当な数になるはず*1


6つのプロセスに沿って話が進むのだが、プロセスが縦糸、それぞれのペアのエピソードが横糸になって複雑にからみ合い、面白いけど読むのに相当骨が折れる「難読本of難読本」と言ってもいい仕上がり。

はじめは読みたいペアのエピソードだけを拾い読みしようと思ったのだが、断念。
後ろに索引はついていますが、それでも困難でした。

著者はストーリーテリングの才能があり、エピソードは美しく、胸を打つものも多い。
でもねえ。興味深いけど、かなり忍耐力が要ります。


「6つのプロセスを見てきた結果、自分に取り入れるにはどうするか?」にも言及していれば、もっと面白く読めたかもしれません。
結局「クリエイティブ・ペア列伝」になっているのが残念。なので星は3つにしました。

興味を持った方は、「超高難度」に挑戦してください。

■レベル:離 読むのに骨が折れました…。
※この本のメモはありません。今回は「私のアクション」もありません。

*1:おそらく、翻訳者の方は日本で著名な人を中心に挙げられています。これ以外にパフォーマーカップルや、バレエ団主宰者とプリマ、ドラマのプロデューサーと脚本家など、かなりの紙面を割いているペアも