毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

[読書日記]ヘンタイ美術館☆☆☆☆ 

ヘンタイ美術館

ヘンタイ美術館

カラー版 ヘンタイ美術館

カラー版 ヘンタイ美術館

たまたまネットでこの本の紹介記事を見かけました。
一部内容をそのまま読むことができて*1、めっぽう面白かったので、さっそく図書館で借りました。

借りるのにやや勇気の要るタイトルでしたが、勇気を出して読んでよかった。


  • ポイント1 時代背景を知る
  • ポイント2 画家の人生を知る
  • ポイント3 美術史を知る



◆本の目次◆
1 ルネサンス三大巨匠―いちばんのヘンタイは誰!? ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ
2 やりすぎバロック―誰がいちばんToo Much!? カラヴァッジオ、ルーベンス、レンブラント
3 理想と現実―どっちがヘンタイ? アングル(新古典主義)、ドラクロワ(ロマン主義)、クールベ(写実主義)
4 2文字ネーム印象派―ヘンタイ王者決定戦 マネ、モネ、ドガ

こんな本です

山田五郎さんがコピーライターのこやま淳子さんをお相手に行った「西洋絵画の歴史をわかりやすく語るトーク・イベント」を本にまとめたもの。
全部で4回、一度につき3人の画家を取り上げたので、総勢12人が登場します(画家のリストは目次を見てください)。

山田さんが架空の美術館館長、こやまさんが「学芸員見習い」という設定です。


山田さんは何となく「面白いサブカルテーマの時によく出てくる人」という印象しかなかったんですが、実は西洋美術の専門家を目指していたという経歴の持ち主。

縦横無尽にキレッキレの話が炸裂します。でも、基本はちゃんと押さえてあるので、笑いながら教養が身につくと言ってもいい本です。

ポイント1 時代背景を知る

■この本を読んで初めて知ったのが、「なぜフェルメールの絵は小さいのか」(注・この本にフェルメール作品は出てきません)。

昔は、絵は依頼があって始めて描かれるものだったそうなのです。

スポンサーは他の国では教会や権力者が多かったが、当時のオランダの美術スポンサーはプロテスタントの市民。

家庭に飾れる大きすぎない作品が求められた結果、あのサイズに(だからフェルメール作品は美術館では小さすぎて人垣に隠れて見えない!)

■美術館で時々見かける、たくさんの人が描かれた絵(超有名なレンブラントの「夜警」もそのひとつ)。あれは「集団肖像画」と言い、仲間でお金を出し合って描いてもらう記念写真的なものなのだそう。

■Chapter3で登場する三大巨匠(ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ)。この中で一番成功したのは工房をつくり、弟子をたくさん取って大作をいくつも残したラファエロだそうです。今の感覚だとわからないですよね。

知らなかったことがたくさんわかって、面白い!

ポイント2 画家の人生を知る

印象派の絵が好きな私。印象派がテーマの美術展はよく見に行きます。

■クールベの作品はそういう美術展で、最初の方に数枚紹介されていることが多い(写実主義は“印象派のさきがけ”という位置づけ)。
それで風景画の得意な画家なのだと思い込んでいたら、まったく違ってました。

左翼活動の果てに国(フランス)から巨額の賠償金を請求されてスイスに亡命するという、真にアナーキーな人生。
風景画もあるけど、メインはまったく違う作風の大作(しかもあまり評価されず)。


■印象派展にすべて出品しているのに、個人的にあまり惹かれないドガ。
もちろん一般的な経歴は知っていますが、改めて読んだ人生(山田館長の想像も含む)が痛すぎる。

でも、なぜあんな作品を描いたのか、踊り子に固執したのかという長年の謎が解けて面白かった。

バラバラに絵だけを見ていてもわからないことが、画家の人生を知ることで見えてくる。
今まで損していたなあ、と思いました。

ポイント3 美術史を知る

個人的に一番面白かったのがChapter3のアングルとドラクロワのエピソード。

アングルは表紙にもなっている「オダリスク」の作者で、フランス絵画界の重鎮。

ドラクロワは教科書で有名な「民衆を導く自由の女神」を描いた画家(クールベはずっと対立していたこのふたりのどちらにも評価された希有な画家、というポジション)。


アングルとドラクロワは実は仲が悪かった、というのは「新」がつく前のテレビ東京系「美の巨人たち」で知っていましたが、それを裏打ちする内容が素晴らしくわかりやすかった。


アングルは若い頃イタリア留学までしたのに、なかなか認められなかったそうです。
何年も苦労したのち、ようやく認められて重鎮になりました。

そして、重鎮になったとたん、今まで冷遇されていたかたき討ちを始めた、というのが山田館長の説。


なぜ認められなかったのか、突如返り咲けた理由、そして、「かたき討ち」と考える根拠。
これがとにかく面白くて大笑いしながら読みました。

こういうのって、くわしい人に解説してもらえるのが一番わかりやすいんですが、この本はまさにそれ。

まとめ

■たとえ話がとにかく優秀。ツイートした「マネと印象派の関係」のほかにも、ルーベンスの逆玉結婚やマネとドガの経歴が今だとどんな感じか、画家の工房が今でいえば漫画家のプロダクションといったたとえが面白すぎます。

■西洋絵画と切り離せない、宗教(主にキリスト教)の流れも押さえてあるのでわかりやすい。

■寓意画やアトリビュートといった専門的なことも触れてある良書。


カラーじゃないのが唯一の残念なところ*2


この記事では「ポイント」なんて挙げていますが、これは雛型どおりに書いただけ。むずかしく考える必要はありません。
シンプルに楽しく読める本です。

絵画が好きな人や美術展に行き慣れた人が想定読者だと思いますが、そうじゃない人が「画家に興味を持つきっかけ」になってくれるはず。


ここでかなり中身が読めますよ↓
diamond.jp
※あくまで一部ですが、書籍では白黒の作品がサイトではカラーで見られます


私のアクション:山田五郎さんのほかの本も読んでみる
■レベル:離 突拍子もない、という意味で「離」ですが、むずかしい本ではありません


※この本のメモはありません

*1:私が見たのは三大巨匠の章

*2:Kindleは「カラー版」をうたっていますが、未確認