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[読書日記]Think Smart☆☆☆☆

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』の続編。家族が気に入ったらしく、こちらも借りて来たので便乗して読ませてもらいました。

この本の方が心理学の要素が多かったからか、気楽に読めました。


  • ポイント1 スリーパー効果にご用心
  • ポイント2 「曖昧さ」に耐えよう
  • ポイント3 決断のために情報は少ない方がいい



◆本の目次◆
1 新年の抱負が達成できないわけ【先延ばし】
2 「理由」がないといらいらしてしまうわけ【カチッサー効果】
3 比較しすぎると、いい決断ができなくなってしまうわけ【決断疲れ】
4 「自分は大丈夫」と錯覚してしまうわけ【注意の錯覚】
5 自分でつくった料理のほうがおいしく感じるわけ【NIH症候群】
6 労力をかけたものが、大事に思えるわけ【努力の正当化】
7 第一印象が当てにならないわけ【初頭効果と親近効果】
8 ボーナスがモチベーションを低下させるわけ【モチベーションのクラウディング・アウト】
9 「ありえないこと」を想像したほうがいいわけ【ブラック・スワン】
10現状維持を選んでしまうわけ【デフォルト効果】
…など52章
※目次抜粋はサンマーク出版の紹介ページにあります

こんな本です

「ふるまいの誤り」をいかに避けるか、がテーマ。

この本では、「幸福」を手に入れるのではなく、「不幸」を避けようと説いています。
「思考や行動の誤りを排除すれば、よりよい思考や行動が自然にできる」というのです。


もとは神学の「否定の道」という考え方だそう。

「神がなんであるかは言いあらわせないが、何が神でないははっきりと言える」という「否定法」で神を語ろうとしたのだ(P2)

言い換えれば

「何が成功をもたらすかは言いあらわせない。だが、何が成功を妨げたり、台無しにするかははっきりと言える」(P2)

ただ、間違いを減らしさえすればいいのだ。「否定の道」を行けば、よりよい結果に結びつく(P4)

そのための「思考の道具箱」。この本でも、前作と同じく52の考え方が紹介されています。
この記事では、印象に残ったものを3つ、ご紹介します。

ポイント1 スリーパー効果にご用心

「プロパガンダの影響は時間とともに強くなる」ことをスリーパー効果と呼びます。
「スリーパー」とは、行動すべき時が来るまで敵国に潜み、一般市民として生活する工作員のこと。


プロパガンダ映画(第二次世界大戦中、兵士たちの士気を高める目的で作られた映画)に大金を投じていたアメリカが、本当に費用に見合うだけの効果があるのか調査した。
すると、「映画は兵士の戦意高揚には少しもつながっていない」という結果になりました。


ところが2ヶ月後、ふたたび兵士たちの調査をしたところ、前回とは違う結果に。
2か月前に映画を見ていた兵士は、見ていない兵士と比べ、戦争に対して高い共感を示したのです。


効果は時間が経ってから現れた。
「スリーパー効果」というのは、「来たるべき時まで潜伏している工作員」のようだ、と名づけられたものです。


その効果は昔の戦争に限りません。
アメリカ選挙戦のCM(相手候補を中傷するものが多い)でも同様の結果が出ているそうです。

「なぜ、あんなバカみたいな広告/CMに踊らされるのか」と思っていても、いつの間にか自分の中で評価が変わっているのだとしたら怖い。


その理由は「情報源」は早く忘れるが、「情報そのもの」は残るから、と言われています。
時間が経つと、その情報が信頼できる記事だったのか、その辺で目にしただけの広告だったかがわからなくなってしまう。


「スリーパー効果」を阻止するには、どうすればいいのか。
著者のおすすめは

  • 自分から求めたわけでもない助言は、役に立ちそうに思えたとしても受け入れない
  • 広告にひどく汚染されていると思われる情報源からはできるだけ距離をおく
  • 何らかの主張に出くわした時には必ず「情報源」を覚えておく

こと。


「誰が何のために主張しているのか?」
「この主張は、誰の利益になるのか」
を考えてみるといいそうです。

ポイント2 「曖昧さ」に耐えよう

私たちは確率がわからないものよりも、確率がはっきりしているものを好む。
心理学の実験結果がいくつか示されています。


冷静に考えればおかしな判断でも、「確率がはっきりしているもの」をつい選びがち。
それは、私たちが「曖昧なもの」を苦手にしていて、「はっきりしたもの」を求めてしまうからです。


世の中には、経済予測のように「不確かな領域」も多い。
確率を明確に出せる領域はほんのわずかだといいます。

しかし、実際には根拠のない「○パーセントの確率で上昇」といった文言に操られてしまう。


軽率にまちがった判断をしないためには、「曖昧さ」に耐える必要があります。

実は、「不確実さ」にどれだけ耐えられるかは、扁桃体次第。
個人差が大きいのだそうです。


とはいえ、何の根拠がなくても「確率」などを示されると弱い、という前提を頭に入れておき、「曖昧な状態」に慣れていった方がよさそう。
それだけで失敗の確率は下げられるからです。

ポイント3 決断のために情報は少ない方がいい

情報が多い方が決断できると思いがち。
実は逆なのだそうです。


ある実験結果が象徴的です。
「サンディエゴとサンアントニオでは、どちらの街の人口が多いか」
という質問の正答率は、アメリカの大学生が62%だったのに対し、ドイツの大学生は100%だった(正解はサンディエゴ)。

その理由は、「ドイツの大学生は、サンディエゴは知っていたが、サンアントニオの名前を聞いたことがなかったので、単純に知っている方を選んだ」から。
アメリカの大学生はどちらも知っていたために、間違えたんですね。


「無価値な情報でも集めたくなる」という衝動に駆られる人は多い。
残念ながら、追加情報は決断の質を上げる役には立ちません。


情報を集めることについ熱中してしまう人(私も含む)は、以下のやり方がお勧めです。

最低限の情報で生活するよう心がけよう。そうすれば決断の質は上昇する。知らなくてもいいことに価値はない。それを知ったところで無価値なものは無価値なままだ(P242)

まとめ

失敗のリスクを避ける思考法がずらりと並んでいます。
世の中のからくりを知ると、その罠に落ちる確率を下げられる。


心理学が好きな人には、すでに知っているものもたくさんあるはずですが、きっと自分の弱点が見つかります。
弱点を補強するだけで、「失敗のリスク」が避けられ、結果的に成功・幸福に近づける。

前著と同じく、つるっと読みやすい本です。気になるところからどうぞ。


※実はもうひとつ、「ニュースをやめる」も印象に残りました。
これは次の本『News Diet』がスタンバイしているので、こちらを読んでから書きます。

私のアクション:得意分野とは違う思考モデルを身につける
■レベル:破



次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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