HSPに関しては、武田友紀さんの本で満足していたんですが、『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』も読み直したことだし*1、この本も読んでみました。
さらっと読めて、タイトルどおり「具体的なヒント」が得られる本でした。
他のHSP関連本と重なる内容も多いのですが、私がこれいいな、と感じたものを3つご紹介します。
※この記事では「HSPは~」という書き方をしていますが、それは私が「内向的」にあまり当てはまらなかったため。
本では内向的な人、敏感な人を特に分けずに書かれています
- 刺激を避けるのではなく、“自分に適したレベルを見つける”
- 争うのをやめることでエネルギーを節約する
- 罪悪感と向きう合う練習をする
◆本の目次◆
巻頭付録 あなたは敏感な人?内向的な人?
プロローグ “敏感な人”と“内向的な人”の特徴
1 過度な刺激から自分を守る
2 堂々巡りの不安を断ち切る
3 日々に喜びや意義を見いだす
4 不快なコミュニケーションを回避する
5 自分に正直な選択をする
6 自分の個性を快く受け入れる
こんな本です
これもタイトルそのままですが、内向的とHSPの両方を扱っています。
巻頭にテストがついていて、「敏感度」と「内向的か、外向的か」を別々にチェックできるのが新しい。
ただし、定義は研究者によって違い、これはあくまで著者の考える定義とお考えください。
内向的な人の多くは、HSPです。でも内向的な人がみな、HSPなわけではありません。…HSPは全人口の15~20%しかいないと考えられる一方で、内向的な人は30~50%もいる…“内向的だけれど、HSPでない人”がいることは明らか(P46)
このふたつは似ている面もありますが、まったくイコールでもないし、内向的な人の一部がHSPというのでもなさそう。
実際、我が家では家族が超内向的だがHSPの傾向はほぼなし、私は逆にバリバリのHSPだがやや外向的という、正反対の結果になりました。
著者自身は「内向的でHSP」だと書いています。だから、両方のことをよく理解した内容になっているんですね。
テストで自分の傾向をつかんだ上で、実際にどんな風に考え、どう対処するかを知ることができます。
ポイント1 刺激を避けるのではなく、“自分に適したレベルを見つける”
「過度な刺激から自分を守る」ことが大切です。これは、どんなHSP関連の本にも書いてあります。
ただし、何が刺激になるのかは人によって違います。
そこで、自分が苦手なものを知り、刺激にならないよう工夫する必要があります。
本の内容でも、自分に当てはまるところと、それほどでもないところが出てくるはず。
たとえば「ニュースも過度な刺激になりやすい」そうです。
著者は「仕事に集中する必要がある時はニュースを一切見ない」とありました。
ふだんも、いつ見るかが重要。
ダメージを受けやすい朝や、夢に出てきやすい寝る前は避け、午後1回だけにするのが、著者にとってのベストだそうです。
こんな風に、自分の傾向を見つけて上手に取り入れることで、刺激になりすぎないよう接することができます。
また、受けた刺激を自分の中で処理するのに時間がかかるのも内向的/HSPの特徴。
そのために意識して時間をとる。その時、新たな情報が余計に入ってこないよう気をつけることが大切です。
何でも瞬時に処理できる方が有能で頭がいい、というのが世の中の定説。
自分はバカなんじゃないかと思ったことがあるHSPは多いと思います。
でも、それは能力が低いのではなく、特徴です。「深く処理する」のは、長所にもなるんですから。
著者が日常的に行っている「情報を自分の中で処理する方法」も紹介されています。
ポイント2 争うのをやめることでエネルギーを節約する
「必要以上に多くの争いに関わらないようにする」ことを勧めています。
著者は少額のお金やささいな事柄について争うのを放棄したそうです。
その理由は、正しさを求めて争うよりも、自分にとって大事なエネルギーを温存する方が賢いから。
「争いには2人必要。でも争いをやめるのはひとりでもできる」と著者は書いています。
争いから降りるのは弱虫とは違います。それは賢明なことで、余裕のある証拠です。人生のなかに、思考や感情を費やす価値のあるものは、ほかにもたくさんある(P117)
こんな風に言えば、争いから堂々と降りられます。
「私はそうは思わないけど、そのことであなたと争うつもりはない」
「あなたの計算の仕方はいいと思わないけど、ケンカしたくないから、お金は譲る」
「約束と違う気がするけど、そのことについて議論するのにエネルギーを使いたくないから、それでいいわ」
こう口に出すことで、あらゆる形の不公平や悪行に耐えなくてすみます(P117)
自分の考えはサラッと主張してガス抜きはしつつ、ケンカせずに降りる。
これができればエネルギーや時間をかなり節約できそうな、いい方法。
HSPは「出来事」の後にも、気持ちの切り替えに時間がかかりますから。
ポイント3 罪悪感と向きう合う練習をする
3つめは、「罪悪感」の扱い方です。
気の進まない集まりに参加しなければならないのは、実は「参加しないと罪悪感を覚えるから」かも。
そのような場合、「エネルギーを搾り取られるような会に参加し、大事な時間を費やすことによって罪悪感を払拭しようとするのではなく、その罪悪感を受け入れるようにしてはどうか」と提案します(P146)
しかも、私たちが抱く罪悪感の正体は
実際には“他の人からネガティブな感情を向けられることへの恐怖”である(P151)
といいます。
著者によると、「不安や恐怖と向き合えるのと同じく、罪悪感とも向き合える」そうです。
著者は、「自分の望みを優先し、相手の望みや期待に応えずノーと言う」練習をすることを勧めています。
初めは断ると1日嫌な気持ちになるかもしれません。
しかし、少しずつ罪悪感に耐える練習をすれば、自分の望みを満たすことに慣れることができます。
「罪悪感を覚えた時は、自分自身にこう言ってあげよう」とありました。
「もう十分、罪悪感は抱いてきた。でも、何にもならなかった。罪悪感に慣れようとしてきたおかげで、他の人の思いより、自分にとって正しいと思えることを優先できるようになった」(P154)
自分の人生です。自分の許容範囲を超えてまで、相手のために自分を使う必要はないのです。
まとめ
内向的/HSPの人が、それを特徴・あたりまえのものと考えて行動できる、いいヒントがもらえます。
深く掘り下げる本ではないので、先に基本的な本を読んでからどうぞ。
武田友紀さんの本で言えば、100人以上の繊細さん(HSP)のアンケートをまとめた『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる! 「繊細さん」の知恵袋』が近いです。
自分の傾向を欠点ととらえ、カバーしようとしてきた人に特におすすめ。
自分に正直に生きるきっかけになりますよ。
私のアクション:「自分の価値観リスト(=大事なことリスト)」をつくり、そのリストから外れることはやらない
■レベル:守
私たちが孤独と感じるのは、一人の時間が原因ではない…孤独を最も感じるのは、自分の考えや価値観を信じることよりも、他の人の意見に合わせて行動することを選んでしまい、自分自身をなおざりにする時——イルセ・サン『敏感な人や内向的な人がラクに生きるヒント』#読了 #本が好き #ディスカヴァー21 pic.twitter.com/his8PLsyPA
— やすこ (@yasuko659) 2021年6月2日
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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*1:読書日記は最初に読んだ日付でUPしています。リンクはこの最後にあります