毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

[読書日記]習慣超大全☆☆☆☆

家族が借りてきた本。前から評判は聞いていて、書店で手に取ったこともある。
その時は、あまりの分厚さに怖じ気づき、買わずに帰ってきてしまいました…。


そんな本ですが、読んでみたらとても読みやすかった。
翻訳も自然で、スムーズ。翻訳ものの回りくどい感じがまったくありません。


内容も、新鮮で衝撃的でした。
――なぜなら、今まで習慣に関する本を読んだ人すべてが
「えぇ~っ!あれ、ウソだったの?」
と思うことがたくさんあるからです。


  • ポイント1 B=MAP 行動=モチベーション・能力・きっかけ
  • ポイント2 行動を祝福する
  • ポイント3 習慣はスキルだ



◆本の目次◆
1 行動を分析する―「3つの要素」が行動を生む
2 “モチベーション”編―「黄金の行動」をマッチングする
3 “能力”編―習慣を「簡単なもの」に変える
4 “きっかけ”編―「どの日課」のあとに行動する?
5 定着させる―祝福で脳をきらめかせる
6 小を大に育てる―変化のスキルを活用する
7 悪習をやめる―習慣の結び目をほどく
8 一緒に変わる―みんなで人生を変える
※くわしい目次はダイヤモンド社のサイトにあります
習慣超大全 | 書籍 | ダイヤモンド社

こんな本です

著者はスタンフォード大学行動デザイン研究所創設者兼所長。
diamond.jp

著者は長年「行動デザイン」の研究を続けていて、ビジネスの分野で大きな成果を上げている人。
実は、著者の授業の課題として作られたアプリのひとつがInstagramなのだそうです。
いかに「行動デザイン」が有能な考え方なのか、これだけでもわかりますよね。


著者は自身の行動を変えるために「行動デザイン」を使い始め、習慣を変えることに成功。
その方法はタイニー・ハビット(tiny habits)としてアメリカで多くの人の習慣改善に役立っています。
2020年に書籍として出版され、大ベストセラーに。


原著のタイトルも「tiny habits」。
そのまま「小さな習慣」ですが、本はタイニー(=ちっぽけ)ではありません!
ただ、分厚いですが、読めば必ず収穫はあります。


衝撃的なのは、今まで習慣化の常識とされてきたことが、ことごとく否定されていること。

「忍耐力」「数値目標」「自分へのごほうび」も不要。
さらに、「期限」を設定する必要もなし。
信じられます?すべて要らないらしいですよ。


うれしかったのは、
“失敗したら「設計」の欠陥であり、「人格」の欠陥ではない”
という言葉。

うまく行かなくても、自分を責める必要はありません。
性格上の欠点とは見なさず、アプローチの仕方を改善するのに役立つメッセージととらえればいいのです。
これはうれしいですよね。


あまりにも情報量が多い本なので、この記事ではごく基本的なところを中心にまとめてみました。
…つもりだったんですが、ものすごく長い。とほほほ。お時間のあるときに読んでください。


ポイント1 B=MAP 行動=モチベーション・能力・きっかけ

行動を変えれば人生が変わる。しかし、行動をうながすのはたった3つの変数だということを、あなたは知らないかもしれない(P48)

その3つの変数がモチベーション、能力、きっかけ。

ある行動(Behavior)が起きるのは、MAP(モチベーションMotivation、能力Ability、きっかけPrompt)が、一定の条件を満たしたときだ。
「モチベーション」はどれだけそれをしたいかというあなたの思い、「能力」はその行動に対する自分の能力の高さ(やりやすいか、やりにくいか)、「きっかけ」は行動をうながす何らかの刺激を意味する(P48)。

この3つをコントロールすることで、
「今までの苦労は何だったの?」
と思うくらい簡単に、新しい行動を身につけられるというのがこの本の主張。


著者によると、よい習慣も悪い習慣も、あらゆる行動には、共通する3つの要素が作用しているそう。
つまり、身につけたい習慣も、やめたい悪習も、同じように分析できる!


著者はこれを「フォッグ行動モデル」と名づけ、「行動曲線」のどこに位置するかですべてが説明できる、としています。
f:id:yasuko659:20211201190426j:plain
※本にも出てくる図ですが、こちらのサイトよりお借りしました
www.oricon.co.jp

習慣として根を下ろす行動は、行動曲線よりも常に上に位置する。
習慣化したければ、行動曲線よりも上に行くように3つの要素を調整すればよい、というのが基本の考え方です。


さらに驚きなのが、「モチベーション、能力、きっかけの3つのうち、最も簡単なのはきっかけを作ること」。
P→A→Mの順に取り組むといいそうです。

問題を解決するときは、モチベーションから対処してはいけない76
各ステップを順番に試し、うまくいかなければ、次のステップに移る。
1.行動をうながす「きっかけ」があるか確認する。
2.実行する「能力」があるか確認する。
3.実行する「モチベーション」があるか確認する。

「モチベーションに頼るのは危険」だと本の中で何度もくり返されています。

ポイント2 行動を祝福する

祝福とは、自分が決めた行動を取った直後に、自分の中にポジティブな感情をわきあがらせるための手法です。


こちらも著者の経験から生まれたもの。

著者はとても追い込まれていた時期、毎朝の日課であるフロスをしたあとに、こう思ったといいます。

「今日、何もかもうまくいかなかったとしても、まったくダメってわけじゃない。少なくとも歯を1本、フロスしたのだから」
私は鏡に向かってにっこりし、「勝ったぞ!」と自分に言った(P251)。

この時、重苦しい圧迫感が消えて、気持ちが落ち着いただけでなく、少し力が湧いたような感覚を味わったそう。


この体験が「祝福」のきっかけ。
歯を1本フロスしたら鏡の向こうの自分にほほえんで、「勝ったぞ!」と言う。

その後もフロスをするたびに勝利宣言をした。

どんなことが起きていても、私は毎日、心地よい瞬間を生むことができた(P252)。



いい気分になることが習慣を身につける最高の方法だと著者は書いています。

感情は反復で形成されるのではない。「感情」が習慣を作るのだ(P261)。

私は独自の研究を深める中で、習慣はその行動に「強いポジティブな感情」がともなっていれば、ごく短期間で、多くの場合わずか数日で形成されることを突き止めた(P262)。

「祝福することで自分をいい気分にできる」=「習慣化が早くなる」のだとか。


祝福は、習慣を保つためにこまめに補給が必要だそうです。

  1. 何らかの事情で、しばらくその習慣を行えずにいた時
  2. 習慣に変化を加えてむずかしくした時

(例:いつもは2回の腕立て伏せを試しに25回に増やした時)

苦痛を感じると、脳はその習慣を避けるように回路を書き換えてしまうので、思い切り祝福して苦痛を相殺するのがポイント。


なお、
「祝福は行動の直後にやらないと意味がない。あとで映画を見るなどはインセンティブであり、祝福にはならない」
そうですよ。

ポイント3 習慣はスキルだ

著者はピアノの練習にたとえています。わかりやすい!

変化のスキルの習得の仕方は、他のさまざまなスキルの習得と同じだ。一流のピアニストになるには、楽譜を読み、テンポを保ち、メロディーを表現し、暗譜し、指を巧みに動かせるようになる必要がある。適切な方法で練習すればするほど、自信も実力も柔軟性も高まる。

一夜にしてピアノの名手にはなれないように、習慣の達人も一夜にしては誕生しない。だが、すぐに始め、スキルが高まっていくのを目の当たりにすることができる(P331-332)


印象的だったのは、「リハーサルが効果的」であること。
きっかけから祝福までの一連の行動を7~10回、リハーサルとして繰り返します。


すると、実際にその場面になった時、脳がその行動をうながすそうです。
脳の中では、すでにそれが「当然やること」として定着しているから。


イメージトレーニングとか、メンタルリハーサルなどとよく聞きますが、習慣にするのにも有効なんですね。

まとめ

習慣化の本を読みあさった人は、初めは知ってることばかりだから要らないかも?と思うかもしれませんが、ぜひやめずに読み進めてください!

最初のお試しが「歯を1本だけフロスする」と「ダークチョコを一口食べる」なので、どちらもすでに習慣になっている私は「はぁ?」と思いましたが、そこでひるんではいけません。


しかも、今まで読んだ本も無駄にならない。
「あれはこういうことか!」という科学的裏づけが得られます。


今まで私たちが習慣にしようとエネルギーをさんざん使っていたのは、実は「仏作って魂入れず」だったのかなーと思いました。
本当に大事なのは「自分の心に寄り添い、祝福すること」。
「人は心地よく感じるときに変化できる」という言葉がすべてです。


習慣化できなかった経験のあるすべての人に読んでもらいたい本。
この本も「今年の10冊」ノミネート決定です!


【参考】この本に出てくる「マウイ習慣」について、著者がTEDで講演した動画がありました。
ミニマリストの筆子さんがご自分のブログで紹介し、抄訳をつけてくれています
minimalist-fudeko.com
2014年のものですが、タイニー・ハビットにも言及しています。
私のアクション:TPOに合わせて祝福を10種類考える
■レベル:守 読みやすく、すぐに試せる内容なので


次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
book.yasuko659.com

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