正しい時間術とは、あなたの予期と想起を調整するものである
- ポイント1 人の脳は過去も未来も認識していない
- ポイント2 時間術はどれも生産性の解決にはならない
- ポイント3 合う方法は人によって違う
◆目次◆
序章 時間術の罠に気づく ―時間の使い方について誰もが間違う3つの真実
第1章 時間の正体を知る ―あなたが時間をうまく使えない驚くべき理由
第2章 未来をやり直す ―「予期」の精度を高める13の方法
第3章 過去を書きかえる ―「想起」を正しく使いこなす11の方法
第4章 効率化から解き放たれる ―時間を“うまく使いたい”気持ちが時間不足を起こす理由
終章 退屈を追い求める ―あなたから時間の余裕を奪う最大の難敵
- ポイント1 人の脳は過去も未来も認識していない
- ポイント2 時間術はどれも生産性の解決にはならない
- ポイント3 合う方法は人によって違う
- オマケ 「クロックタイム」と「イベントタイム」を分ける
- 感想
- こんな人にオススメ
ポイント1 人の脳は過去も未来も認識していない
「私たちの認識している“時間という概念”は、間違っていますよ」という話からこの本は始まっています。
そもそも、人間の脳は「時間の流れ」を認識できないのだそうです。
人間は世界の変化率を「時間」と呼んでいる(P79)
という衝撃の事実。
時間の定義を変えなければ、“時間を効率よく使う”ことなどできません。
人間の脳は、過去と未来の変化率を高速で計算し続けており、そのプロセスを、私たちは時間が流れる感覚として体験します(P81)
言わば、映画館で静止画を続けて見ることで、動いているように認識するのと同じなんですね。
私たちが感じる過去と未来とは
未来=いまの状態の次に起きる確率が高い変化を、脳が「予期」したもの
過去=いまの状態の前に発生した確率が高い変化を、脳が「想起」したもの
だから、それを調整することが「時間術」になるわけです。
●時間の流れとはどのような現象なのか?→ものごとの変化や連なりを、それぞれの発生確率で解釈したもの
●人間は時間をどうやって把握しているのか?→実際には時間の流れなど体感しておらず、出来事が変化する確率に、「時間」という概念をあとから当てはめている
●“時間を効率よく使う”とはいかなる行為なのか?→あなたが抱く予期と想起を、目的に沿って調整すること
1.私たちが本当に気にすべきは、時間ではなく“時間感覚”である
2.時間は平等だが、“時間感覚”には個体差がある
3.個体差に合わせて“時間感覚”さえ書き換えれば、あなたは時間を有効に使えるようになる
ということで、私たちがフォーカスすべきは時間ではなく“時間感覚”です。
ポイント2 時間術はどれも生産性の解決にはならない
「時間術の真実」という恐ろしいことが書いてあります。
真実1…時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
真実2…時間の効率を気にするほど作業の効率は下がってしまう
真実3…「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある
私たちが必死で取り組んできた「時間術」は、ほとんど何の役にも立っていなかったのです。
タイムマネジメント法が管理しているのは、実は時間ではなく注意力という話。
ToDoリストが機能するのは時間を有効に使えるからというよりは、「未完了のタスク」を書き出すことで、無意識の不安が減るから。
……などなど、「時間術」と思っていたものは、ほぼ時間以外の何かを管理していたようです。
そして、さまざまな論文などを精査した結果、「従来の時間術は、どれも生産性の解決にはならない」と結論づけられています。
ポイント3 合う方法は人によって違う
じゃあどうしたらいいのか。ご安心ください、ちゃんと解決策も書いてあります。
ポイント2で出てきた真実1「時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない」は、実は平均した結果のこと。
どの方法もごく一部の人にだけ効果があり、その他大勢はほぼ効果がない。
平均するとどれも、「ほとんど効果がない」、という似たり寄ったりの結果になってしまいます。
どの方法にも、効く人はいるんです。
なぜなら、“時間感覚”には個体差があるから。
つまり、「予期の方法」(=未来)や「想起の方法」(=過去)に個体差があるなら、それを見極めてタイプを知れば、おのずと自分に合う方法は絞り込める。
というわけで、著者鈴木さんはこんな診断を作ってしまいました。
「時間感覚タイプテスト」
web.kawade.co.jp
これであなたのタイプがわかれば、合う可能性の高いやり方が絞り込めます。
注意が必要なのは、診断だけでなく、自分の感覚も大事にすること。
タスクの種類や状況によって、タイプが変わる人も見受けられるそうです。
※私の場合、テストでは想起が「悲観主義」になったんですが、おすすめの方法がどれもしっくり来ませんでした。
これは、私が「自分は時間の見積もりが甘い」と気づいているからテスト結果がそうなっただけ、のような気がします。
いまだに気を抜いたら「6畳間にベッド47個」(注:これはたとえです)みたいな予定を立ててしまいますから(楽天家過ぎる)。
――なので、テスト結果を軸に、どの方法を取り入れるかはぜひご自分の感覚も大事にしてください。
みんながよく知る方法もたくさん出てきます。
どんな方法があるかはぜひ本を読んでみてください。多すぎるから!ここでは紹介できないから!
オマケ 「クロックタイム」と「イベントタイム」を分ける
※いつもは3つに絞るんですけど、どうしてもこれも書いておきたかったので、オマケです。
時間の認識は大きく2つあります。
1.クロックタイム…「昼食は12時」「18時半から映画」など、時計表示に従って生活を組み立てる
2.イベントタイム…「お腹が空いたらご飯を食べる」「目的を達成したら会議終了」など、その時々に起きることに反応して過ごす
今の日本では、「クロックタイム」で過ごす人が多いはず。
でも、「クロックタイム」は心の余裕を失いやすいのだそうです
時計に頼ってスケジュールを組むことで、私たちは自らの行動を外部に委ねた形になってしまう…つまり、クロックタイムを使うことで、私たちの中に時計からすべての行動を命令されるかのような気分が生まれる(P263)
仕事の時や日中はクロックタイムになるのもしかたない。
でも、クロックタイムとイベントタイムをうまく使い分ければいいのでは?
もっとも大切なのは、時計の針に耳を傾けるべきときと、それを無視すべきときを意識すること(P266)
鈴木さんのおすすめは定期的に「時計禁止」の日を作ること。
時計を一切見ずに、「お腹が空いたからランチを食べに行く」「充分読んだと思ったら読書をやめる」など、自分の感覚でイベントを切り替えていく。
そうすることで、うまくふたつを切り替えられるようになるそうです。
感想
「どう時間を使うか」ではなく、「どう脳を手なずけるか」がメインテーマ。斬新でした。
めちゃくちゃ実践的な本なのに、どこか哲学的な趣も。
そもそも時間術なんて、産業革命でできた概念なのだそうです。
それ以前は、「時間も季節のように循環するもの」だったのだとか。
まだ2月ですが、「今年の10冊」にエントリー決定です。
こんな人にオススメ
「時間がうまく使えない」と悩む、すべての人に。
■レベル:離 内容が斬新すぎるので。むずかしくはありません
私のアクション:タイムボクシングを試す
どの時間術を使っても、仕事の質と量はさほど改善されず、プロジェクトの締め切りを守る確率も上がらずじまい——
— やすこ (@yasuko659) 2023年2月10日
鈴木祐『YOUR TIME』
従来の時間術で上がるのは実は満足度だけ。時間の捉え方をまず変えないと、結果は出ません(続きはブログに書きます)#読了 #本が好き #河出書房新社 pic.twitter.com/3frGnWUPEl
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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