毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

『ゲーテとの対話』入門☆☆☆

齊藤孝先生の本。いろんなところでよく目にするので、図書館で借りて読んでみた。難しいのでは、となかなか手をつけられなかったが、読んでみたらわかりやすくて面白く、するすると読んでしまった。


齋藤先生がおすすめ本としてよく挙げるのが『ゲーテとの対話*1。実は、齋藤先生は20代の頃にいろんな意味でどん底を味わったそうで、その時にこの本を読んで“根本から発想転換することができた”そうだ。
ご自身がそういう経験の持ち主なので、案内人として最適なのではないだろうか。

5つの章に分かれていて、それぞれが「集中する」「吸収する」などのテーマになっている。巻末に引用箇所も出ているので、気になったものは原本でもっと深く読むことができる。


齋藤先生自身の意見もたくさん出てくるので、どこまでがゲーテでどこからが齋藤先生の意見なのか時々わかりにくいのが難点。ただ、ゲーテがどんな人で、何を求めていたのかということがはっきり示された上でそれぞれの論が展開されているので入門書としては最適だと思う。
「抽象的でなく具体的」「頭で考えるだけでなく体を使う」という齋藤先生が示したゲーテのテーマは、自分で読むだけではなかなか気づかない視点だと思うので、下駄を履かせてもらったような気分だ。
思い切って『ゲーテとの対話』に挑戦してみようかな、という気持ちになれた。


サブタイトルは「壁に突きあたった時開く本」。すぐできるハウツーではないが、ものの考え方、とらえ方を変えるヒントはいろいろと載っている。ちょっと違う見方をすれば、案外壁は突破できるものかもしれない。
突破口がほしい人、知的な本を読んでみたいけど難しいのは苦手、という人には特におすすめです。
私のアクション:自分が受け継ぐ「系譜」を見つける


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

表現手段はミニマムに、吸収の器はマキシマムに(P23)

ゲーテが勧めているのは、自分がものにする技術はどこまでも高め、それを表現したり活用する場は集約させていくということである。

本質を具体的なものの上に見る(P43)

たとえば植物学や、光の研究にしても、ゲーテは、「そもそも植物とはなんぞや」「光とはなんぞや」などとは考えない。…頭の中で考えるのではなく、実際に体を動かして調べるのだ。つまり、現象そのものを直にとらえて、その中に生命の本質を見るというやり方をする。

「人生は有限」という考え方(P51)

…「どうせ情熱を注ぐのであれば、中ぐらいのものよりもいちばんいいものに注ぎたまえ」という。いちばんいいものによって尺度を確立することができれば、時間の空費を避けることができる。

ジャンルで好き嫌いを言わない(P53)

※齋藤先生の意見
どんなジャンルでも、頂点の人たちを見ていくと、胸に来るものがある。…頂点のものには普遍性があるとわかったのである。

最高のものに取り組め(P90)

…いちばんいいものに取りかかっておくと、それは一生の資本になって自分を豊かにする。…それを身につけるのはちょっと時間がかかる作業だが、若いうち、エネルギーのあるうちに全精力を傾けて身につけておくと、一生安泰だというのだ。

「遺産」を受け継ぐ(P92)

「この世において、劃期的(かっきてき)なことをするためには、周知のとおり、ふたつのことが肝要だ。第一に、頭がいいこと、第二に、大きな遺産を受け継ぐことだ」とゲーテは言う。…たとえば、ドイツ人がイギリス文学をものにしていれば、それはイギリス文学の価値を継承したことになる。そしてそれは偉大な遺産、資本となり、それによっていい仕事ができるというわけだ。
(中略)
つまり、自分は何を受け継ぐかという意識が問題である。
何かを継承するにあたって、自分はどういう系譜に属しているかを考えることだ。私はこれを「系譜意識」と呼んでいる。系譜意識は、自分で勝手に作ってかまわない。

資本は、年をとってからでも作れる(P95)

40歳になったら40歳のエネルギーがあるものだ。40歳になった機会に何か始めようとすれば、40の手習いであっても、それでものになる場合もある。もし40からやるなら、60歳になった時にはかれこれ20年もやっていることになる。すると、それはもう使い尽くすことのない資本になっている。
(中略)
自分がやろうとしているものが底の浅いものではなくて深いものならば、生涯自分を潤してくれる。そういう源流を見つけることだ。

勝っている時はやり方を変えない(P137)

これは勝負に勝つ鉄則だ。アレンジを加えてもかまわないが、自分の基本の勝ちパターンは動かさないというのが重要だ。
…実は「勝っている時はずっとそのやり方でいく」というスタイルは思いのほか難しい。勝っていることに不安を覚えてしまい、自分でゲームを崩してしまうことが少なくないのだ。

自分の仕事に「納期」を課す(P170)

しかもできれば「前倒し」にする。期限を早めていくのだ。
特に意識の集中を妨げる邪魔が入らないよう、完成までの時期を早めに詰めてしまうことは非常に有効だ。長引けば長引くほど邪魔が入る確率が高まる。仕事を後回しにしていたらよくできたという話は聞いたことがない。

年を取ったら、より多くのことをする(P212)

年をとってエネルギーが落ちてくると、懐古的になり自分の未来を愛せなくなる。そうならないためには、年を取ったらより多くのことをして、自分自身を更新していくことが大切だ。

*1:全3巻/リンク先は上巻です