- 作者: ジョージレナード,George Leonard,中田康憲
- 出版社/メーカー: 日本教文社
- 発売日: 1994/03/01
- メディア: 単行本
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だいぶ前に図書館に予約していた本。おそらくトム・ピーターズが著書で紹介していたので読んでみたくなったのだと思うが、手にとって目次を見ただけではよさがわからなかった。「何でこんな本読みたかったんだっけ?」というのが正直な第一印象。
しかし、読んでみるととても面白く、役に立つ本だった。新しいことを学び成長するには、またその道の達人になるにはどうすればいいのかを教えてくれる。
著者は米国で合気道を学び、現在は道場を持っている人で、この本に書かれた考察のほとんどは合気道を通して得たものだ。
達人になるためにはまず達人への道へ一歩を踏み出さなければならない。しかし、ほとんどの人はその道に出ることすらできない。著者によると「達人になれない生徒」には3つのタイプがあるそうだ。
進歩や成長が実感できる瞬間は、実はちょっとしかないそうだ。ほとんどはプラトーと呼ばれる停滞期、成長が実感できない時期になる。その時に黙々と続けられるかどうか、それが達人になれるかどうかを決める。なので、「どうすれば達人になれるか」ではなく、「どのように生きれば達人への道を歩めるのか」が正しい質問になる。でも心配は無用、誰でも今日からでも達人の道に入れる。
著者によれば、現代社会は結果を求めすぎ、刺激を求めすぎなのだそうだ。今すぐ○○とか、プロセスはいいからとにかく結果を出せ、というような風潮は達人の道を遠ざけてしまう。非日常が素晴らしいのではなく、日常をいかに楽しむかが淡々と続けること、つまり達人への道につながる。
問題はどうやれば飽きずに黙々と続けられるかだが、そのカギのひとつが「ホメオスタシスを知ること」だそうだ。
ホメオスタシスとは簡単に言えば「環境が変わっても体の状態を一定に保とうとする働き」のことだが、新しいことを始めようとした時これが働いてブレーキをかける。たとえば、長年不摂生な生活をしていた人が一念発起してジョギングを始める。すると、体が今までと違う状態になることに対してホメオスタシスが危険信号を発するのだ。新しいことが実は体にいいことであっても、ホメオスタシスはその良し悪しが判断できない。そのため、新しいことを始めたい時に「変化を嫌う抵抗勢力」になってしまうのだ。
ホメオスタシスへの対処法もいろいろ紹介されているが、一番はブレーキがかかった時に「これはホメオスタシスが働いているからだ」と認識することだそうだ。3日坊主になりやすいのは実はホメオスタシスがブレーキをかけていたのか。それを知っただけでもこれからの行動が変えられると思う。
ハードカバーだし字の大きさなどもあり少し読みづらいが、内容の濃い本だと思う。勝間和代さんが「ハードカバーの本の方がいい本が多い」と書かれていたことに改めて共感できた。
また、私にとって取っつきにくい本が読めたのはやはりなんちゃってフォトリーディングのおかげだと思う。一度全体を見るのでハードルが低くなることを実感した。
この本によると「独学はたいていの場合うまく行かない。よい教師を選んで習う方がよい」そうなので、ちゃんと講習を受けた方がいいな、と思った。