毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

やった人だから書ける勉強法☆☆☆☆

最短で結果が出る超勉強法 (講談社BIZ)

最短で結果が出る超勉強法 (講談社BIZ)

著者は29歳で脱サラして弁護士を目指し、2年で司法試験に合格した人だ。しかも、ごく普通の高校から現役で東大に合格した経験の持ち主で、娘も著者が監督した結果、準備が遅かったにもかかわらず中学受験を突破している。いったいどんな方法でそんな結果を手に入れたのか、と興味津々で読み始めたら本当に面白く役に立つ本だった。

著者は勉強法マニア(?)らしく、勉強法と名のつく本はほとんど買って読んでいるそうだ。この本の中にも世の中に出回っている勉強法の本の分析が出ているが、とても的確だと思う。そんな人が書いているので、机上の空論も無駄もゼロ。確かにこれなら結果が出せるだろうな、と思うことばかりだった。


「全体を短時間で把握する」ことが何より大事と考え、そのための方法を教えてくれる。なるほど、と思ったのは始めから細かくやっていくのではなく、ざっと内容を押さえることを何回も繰り返す*1こと。短時間でポイントを頭に入れるための「2段階マーキング法」、長期記憶に定着させるための工夫、さらに計画倒れにならないための「マトリクス計画表」など、すぐにやってみたくなることばかりだ。

しかも、司法試験対象の話だけではなく、娘を合格させた経験から中学受験の本も出されているので、書いてある内容がより一般的な受験や検定試験の役に立つと思う。
他にも、使いやすい道具の話や仲間との勉強会、聴覚を使った勉強が効果がある、などどれも本当に実践していなければ書けないことだと思う。


書いてあったことのひとつに「試験を受けろ」というのがあり、なるほどと思ったので11月の仏語検定受けようかな、と思い始めてしまった。受験を控えている人や検定試験の予定がある人にはぜひお勧めです。

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

すべての情報を基本書の余白に書き込む

自分の「ホームグラウンド」となる基本書が決まったら、「その本に有益な情報を集中させる」という作業を行います。
(中略)
私の場合は、過去問に限らず、他のテキストや演習書で「なるほど!」と思ったことや、模擬試験で出題されたけれども基本書には詳しく書かれていない情報を、どんどん基本書の余白に書き込んでいきました。
こうして1冊の基本書に重要な情報を集中させると、「この問題、前にどこかで見たことがあったなあ、どこだったかな……」となったときに、受けた模試の問題用紙や他の参考書などを、あれこれ探し回る必要がなくなります。テキスト1冊を調べればそれで全部すんでしまうのです。
これは大変な時間の節約になるので、ぜひお勧めします。

また、他の参考書などから転記した場合は、その出所を明らかにしておくとさらに便利です(本のタイトル略語とページ数をメモしておく)。

帰納的な読み方」の絶大な効果

基本書となるテキストの読み方には大きく分けて2通りある。

  • 演繹的な読み方――最初からページ順に、テキストの論理的な説明に沿って読んでいく方法
  • 帰納的な読み方――問題を解いているときや、模試の復習をしているときに、基本書の該当箇所に戻る方法

要するに帰納的な読み方とは、問題や試験と基本書を、マメに照らし合わせることによって密接にリンクさせ、理解や記憶を深めようという読み方。

問題をやっていて、仮に正解にたどり着けたとしても、少しでも理解があやふやだったり、間違っていたりした場合は、必ず基本書の説明をチェックしましょう。これが、常に基本書に帰っていく「帰納的な読み方」なのです。
基本書にしっかり書いてあったのに、問題ができなかった場合は、「基本書の読み込み不足」です。あるいは、その内容がそもそも基本書に書いてなかった場合は、新たな情報として基本書に書き込むことができます。
こうやって有益な情報をどんどん基本書に集めていくと、次のような絶大な効果が生まれます。

  1. 基本書を何度も開くことによって、その内容や構成が自然と頭に入る。特に重要な部分は何度も開くので、それだけでかなりの程度まで覚えてしまう。
  2. 「すべては1冊の基本書にある」という安心感があると、試験の直前にも「これだけを読み返せばいい」ということになり、記憶を呼び起こすのに役立つ。本試験は、模試のように範囲が限られていないので、前日に全範囲を一通り見返せるだけで、非常に有利になる。
  3. 出所が異なる複数の情報を統合することにより、1つの事項を、格段に深く、正しく理解できるようになる。
1日5分間の「黄金の作業」

「1時間=1単位」と決めて勉強を進め、1単位を終了するごとに、その1時間で何を学習したのかを頭の中で「反芻する」癖をつけていた。これが大いに役に立った。具体的には、「勉強した部分を一通り記憶から呼び戻し、覚えていない部分はテキストや問題集に立ち戻って確認して、もう一度頭の中で繰り返してから学習を終える」という作業。時間はせいぜい5分くらい。しかし、この5分間の反芻が「黄金の記憶保持作業」だった。

さらに就寝前に、その日にやった内容をリラックスしながら20〜30分で見返して1日を終えていた。
これは「その日に勉強した内容すべての記憶を喚起する作業」で、短時間でできる復習になる。
そして、次に同じ科目のテキストを読むときは、「前回」ではなく「前々回」にやったことを一通り復習して記憶の定着を図る。前回ではなく前々回というのがポイント。(ちなみに、ラジオの語学講座は前々日の復習をする習慣をつけると、記憶の定着がよくなる

英単語の覚え方(50個程度覚える場合)
  1. まず単語と日本語訳を見て、一通り音読する。
  2. 日本語訳を隠して、英単語を見ただけで訳が言えるかどうかを確かめ、言えなかったものにチェックを入れる。
  3. チェックが入ったものだけを一回りさせ、それでも訳が言えなかったものにさらにチェックを入れる。ここでチェックがついたものをさらに回す。
  4. この作業を繰り返し、チェックがたくさんついたものもスラスラ訳が出てくるようになれば第一段階終了。
  5. 次に、逆に英単語の方を隠し、「日本語訳だけを見て英単語を思い出す作業」をする。先ほどと同様に、思い出せなかったものにチェックを入れて何回も繰り返す。
  6. この先が「ダメ押し」の作業。一通り覚えたら、単語の順序を入れ替えて同じ作業をする(単語カードを作っておくとシャッフルが容易)。

高校生の頃、暗記事項は単語カードに書き込んでいた。覚えられたものは机の左に、覚えられなかったものは右に置いていき、すべてのカードを左に置くことができるようになるまで確認作業を繰り返した。その後、カードをシャッフルして、順序を変えて同じ作業を行い、またすべてのカードを左に置くことができるようになるまで繰り返した。
どうしても覚えられないカードは別のリングにまとめておき、試験直前に集中的に見られるようにした。
ここまでやると順序が変わろうと、英訳だろうと和訳だろうとその時点でほぼ完璧に暗記できる。
さらにダメ押しとして、就寝前にもう一度すべてのカードに目を通して寝た。睡眠中は忘却率がきわめて低くなるため、寝る前に暗記事項を確認するのはとても効果的だ。

2段階マーキング法

法律書で言うと「定義」「結論」「理由」「凡例」などを述べた箇所に、それぞれ別の色でアンダーラインを引き、その中でも特に覚えておかなければならないキーワードを「ひとかたまりの言葉」ずつ蛍光色のラインマーカーで塗りつぶす。
このようにテキストをビジュアル的に加工することで右脳に定着しやすくなる。また、テスト前にマーキングしたところを繰り返し見ることで重要なポイントだけを無駄なく覚えることができる。

マトリクス計画表の作り方
  1. まず、試験日までなど決められた期間にやりたい教材を集め、それをこなすために必要な時間を算出する。たとえば、100ページある問題集を1時間で10ページこなせる場合、その問題集を終えるには10時間が必要。
  2. やっておきたい教材をすべてこなすために必要な時間を出したら、合計して「総必要時間」をはじき出す。
  3. 次に自分の「処分可能時間」を算出する。まず、ルーズリーフなどに期間内の日付を縦に書き込む。次にすでに動かせない予定を書き込み、その時間を引いて「自分で自由に処分できる時間=処分可能時間」を割り出す。この時、週に最低半日程度は空白時間を設けておく。その週に不足のアクシデントが発生した場合、それに取られた時間を補うための「補欠時間」。
  4. 「第1のふるいがけ」こなしたい課題の中で優先度が低いものを削る。
  5. 再度「総必要時間」を計算し、それでも処分可能時間を上回っている場合、「第2のふるいがけ」でさらにカットする。
  6. 厳選したやるべき課題を、毎日の時間内に振り分ける。それぞれの課題を先ほどの予定表の横軸に列記する。日付を記した横の区割りと課題を並べた縦の区割りがクロスしてマトリクス的なスケジュール表ができる。
  7. 振り分けるポイントは、「同じ課題や同じ作業を1日に集中させすぎない」こと。
  8. こなした課題はラインマーカーで塗りつぶしていく。こうすることで進捗状況がひと目でわかるし、塗る作業そのものに達成感があるので「自分に対するご褒美」になる。
「3回転勉強法」の効用

計画を立てるときは、原則として「少なくとも勉強を3回転させるような計画を作る」ことを考える。理想は「長期」「注記」「短期」で3回転させる計画。もし3ヶ月で勉強するのであれば、「長期回転」の期間を2ヶ月、「中期回転」の時間を3週間、残りの10日弱マイナス1日を「短期回転」の期間として、内容を通して勉強するのが1つのパターン。そして、試験前日にもう一度見直しをする。

  1. 記憶ががっちり保持できる
    とにかく3回転させれば、記憶したことが脳の中できっちりキープされる。
  2. 相互理解作用が生まれる
    頭に入れなければならない内容が広範囲に及ぶ科目でも、期間を決めて3回転させれば、その科目の全体像が把握できると同時に、バラバラに頭に入った知識を体型的に組み立て治せるという効果がある。

*1:著者はそれを「回転」と読んでいる。何回転させるかが勝負