毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

一生成長し続けるには☆☆☆

4763005235しあわせになるドーナツの秘密―大切にしたい7つのこと
Bodo Sch¨afer 山崎 恒裕
求龍堂 2005-08
価格 ¥ 1,260
by G-Tools
著者のボード・シェーファーはドイツ人で、10代でアメリカに渡り、20代で事業を興すが失敗、その後立ち直り、その経験を生かしてお金だけでなく精神面を含めた講演・執筆活動を続けている人だ。2001年に出た前著「イヌが教えるお金持ちになるための知恵*1」がベストセラーになったのでご存じの方も多いかもしれない。
私は前著が出た頃、思うところあってお金関係の本を「金持ち父さん貧乏父さん」はじめたくさん読みあさったのだが、結局手元に残したのはこの本とあと数冊だけだった。犬がお金とのつき合い方、増やし方を教えてくれるという奇想天外なストーリーだったが、物語としても面白いし、内容も心に響くものだった。

この本はその続編に当たる。出版社も翻訳者*2も装丁もまったく違い、タイトルも何の関連性もないので言われるまで気づかなかった*3


前作ではお金に関することを学んだ主人公の少女・キラ。この本では、物質的な幸せだけではなく、人間性を磨くという目に見えないものの大切さを学んでいく。その象徴がドーナツだ。目に見えるものはドーナツの部分、人間性という目に見えないものはドーナツの穴にたとえられる。ドーナツがなければ穴は存在できないが、ドーナツの輪の部分のことだけしか考えない人は決して幸せになれないという。物質的なものと精神的なものの関係を見事に言い表していると思う。

成功法則などを教えるのに、ストーリー仕立てにしてある本は多いが、この著者の本ほどバランスが取れていてストーリーとしても面白く読めるものはないと思う。訳者あとがきにあるように、それは著者の国ドイツが技術・経済ですぐれていると同時に、メルヘンや哲学の国であることによるものではないだろうか。前著に続き、子どもでも読めるようにやさしく書かれているが、非常に実践的で深い内容になっているので大人でも充分読み応えがある。
特に、ミスター・ナイスが実践している毎日テーマを変えて自分を磨く「7つの教え」はやってみようと思えた。日々成長していくために素晴らしい方法だと思う。

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

7つの教え

1.人に親切にする
・自分だけよければいいのではない。他の人も同じようによくあってほしい。そのことを切に願う。
・けっして他人を傷つけない。そのために自分をしっかりコントロールする。どんな争いにも参加しない。
・他人を尊重し、自分は謙虚であるように努める。だから、いつも自分が正しいと主張することはしない。

2.責任感を持つ
・なにかをするとき、それをどのようにするかはつねに自分が決めることだ。その決定権は自分ひとりにある。
・不当に扱われたからといって、やけを起こしたりしない。そんなヒマがあったら、自分にできること、自分がするべきことに専念する。
・人に罪をなすりつけるということは、結局はその人に力を与えることでしかない。
「オレンジの例」:オレンジから得られるのはどんな時もオレンジジュースしかない。頭に来たから水を噴きだしてやろう、などと考えることはなく、踏みつぶされても車にひかれてもオレンジジュースを出す。

3.他人を尊重する
・他人の悪口は絶対に言わず、いいことだけを口にする。いいことが見つからないときは、なにも言わない。
・できるだけ他人の批判はしない。万一それをするときは、可能なかぎり丁重でおだやかにする。
・他人を見るときは、その人のいい点、すぐれた点に目を向ける。
「光に目を向ける者は光になり、ゴミに目を向ける者はゴミになる」

4.他人を助け、喜ばせる
・自分が出会ったすべての人の幸せを願う。
・人に贈り物をするのは、ひとえに自分の好意を示すためである。
・他人に力を貸すことほど素晴らしいことはない。次はだれの力になれるだろうかと考える。こんな幸せな時間はほかにない。
「気分が落ち込んでいるとき、私は考える。自分はだれを助けることができるだろうか、だれを喜ばせることができるだろうかと。すると、すぐに気分が回復してくるのだ」

5.感謝の気持ちを持つ
・ふだんごくあたりまえと思われているものにも、感謝の気持ちをもつ。
・問題をかかえたときは、自分が感謝できるものに意識を集中させる。
・周囲の人に感謝の気持ちをもつ。その人たちといっしょの時間を努めて楽しむ。
「幸せな人間になる秘訣は、今という瞬間を奇跡ととらえ、その一瞬にこころから感謝することである」

6.学ぶ姿勢を大切に
・人間は思い上がると、もうこれ以上なにも学ぶ必要はないと思う。だから、自分はいつも謙虚でありたい。
・よい本を読み、発見ノートとサクセスダイアリーをつけ、ほかの人からできるだけたくさんのことを学ぶ。
・そのさい、自分を他人と比較しない。自分なりにできる限りの努力をすればいい。
「わたしは常に自分としてベストな人間になれるよう学ぶ」

7.人から信頼される人間になる
・成功者であるかどうかは、その人の身についた習慣を見ればわかる。
・節度と規律をこころえて努力するものは、才能に恵まれたなまけ者より、はるかに大きな成果を上げることができる。
・いつも時間厳守であること。他人との間に結んだ約束は必ず守ること。
「わたしたちの心の中には悪魔と天使がいる。悪魔はわたしたちが一度した決心をくつがえせとそそのかし、天使は結んだ約束はきちんと守れとうながす」

1週間のカード
  • 月曜日……人に親切にする。
  • 火曜日……責任感をもつ。
  • 水曜日……他人を尊重する。
  • 木曜日……他人を助け、喜ばせる。
  • 金曜日……感謝の気持ちをもつ。
  • 土曜日……学ぶ姿勢を大切に。
  • 日曜日……人から信頼される人間になる。
カードの作り方

それぞれのカードの上にひとつずつ教えを記しておく。その下に自分にとってその教えが何を意味するかを記入していく。裏にはその教えに意識を集中させているときに、自分が体験したことをメモする。それによって、その教えと自分の体験との因果関係をより鮮明に記憶にとどめることができる。

1日にひとつの教え

たったひとつのことに1日中意識を集中させていると、その行為を無意識に蓄積することができる。すると、それがわたしたちの性格に一歩前進した形で身につくことになる。

老いた職人の親方の話

あるとき彼は若い兵士にケンカをふっかけられ、口汚くののしられた。親方が悪いんじゃない。兵士が無礼だったんだ。それでも、親方はどくなにひどいことを言われてもじっとがまんした。そんな親方の対応を見ていた弟子たちは腹を立てた。どうして言い返してやらなかったのか、と口々に不満をもらした。すると親方は弟子たちにたずねたんだ。
『もしだれかがおまえたちになにかをあげると言っても、おまえたちがそれを受け取らなかったら、それはだれのものだろう?』
『もちろん、はじめからそれを持っていた人たちのものです』と弟子は答えた。
すると親方は静かに言ったんだ。『怒りや憎しみもそれとおんなじさ。わたしたちがそれを受け取らなければ、それは相手のものであり続けるんだ』

*1:私が持っているのは草思社刊ですが、現在は文庫に収録されているようです

*2:翻訳者:山崎恒裕さんは、登場人物名を前作のままにしてくださっているので違和感がありません。ありがたい心遣いです

*3:この本もメルマガ「一日一冊」で知りました