毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「見た目」を変えれば評価が変わる☆☆

4062152983「見た目」で選ばれる人
竹内 一郎
講談社
2009-03-18

価格 ¥ 1,260

by G-Tools
刺激的なタイトルで話題となった『人は見た目が9割』の続編に当たる本。

「見た目」というのは実は非言語コミュニケーションのことで、それは次のような実験のデータが根拠になっている。
アメリカの心理学者A・マレービアンが行った実験*1で、被験者にある言葉を示す。そしてそれに矛盾するようなイントネーションで発語する。たとえば、「好き」という言葉を嫌がっているイントネーションで発語する。矛盾した場合、どちらの情報により重きを置くか。
また、「好き」という言葉と同時に、たとえば怒った顔の写真を見せる。この場合、被験者はどちらの情報に重きを置くか。
このように、言葉の意味、イントネーション、表情と矛盾した情報が与えられた時に、人はどの情報に重きを置くか、という実験である。その結果、

  • 言葉の意味――7%
  • イントネーション――38%
  • 表情――55%

となった。
言語情報が10%以下、非言語情報=“見た目”が90%以上なので、「見た目が9割」というタイトルになったのだそうだ。

ところが、実際には「見た目」=ビジュアル、つまり外見の美醜と取られてしまったため、さまざまな苦労もあったようだ。その後日談なども面白い。なにしろ、著者自身は正反対と言ってもいいような考え方をされているからだ。

私は、自分の“見た目”を30年かけて磨こうではないか、といいたいのである。20歳から、しっかりとした生き方が表情、立ち居振る舞いに表れるように工夫して、50歳からの30年間を充実させようではないか、と。

私の意見はこうである。30年かけて、変化する表情を手に入れよう。表情の変化を抜きに、美醜は語れない、と。“見た目”はそんなに簡単なものではない、と。50歳からの30年間は、20歳からの30年間より、よほど大切だ、と。

なので、美醜ばかりに評価が偏りがちな今の風潮や、中学生が整形に走る世の中を著者は憂えている。もっと大切なことがあるよ、と教えてくれるのがこの本だ。


著者は元は俳優を目指していた人で、演出家、劇作家、マンガの原作も手がける。さらに福岡にある短大の演劇学科で教えたことがきっかけで、非言語コミュニケーションの研究をはじめる。その後「非言語コミュニケーション」の論文で博士号を取っている。
というように、当時あまり日本では重要視されていなかった「非言語コミュニケーション」の第一人者だ。

その第一人者が語る「見た目」論、この本ではさまざまな切り口から書かれているので散漫な印象もあるが、ひとつひとつの話がとても面白い。演出家ならではの話あり、表現者としての視線で語られる話あり、やはり実践してきた人の言葉には重みがある。


特に、初対面の人のどこを見るか、という話が面白かった。

私たちは、第一印象でパッと人を判断する。最初の情報に“統一感”があれば、センサーは働かない。“ズレ”を感じとるセンサーが重要なのだ。
初対面の相手には、違和感を与えない服装、しゃべり方、名刺のデザインも気を遣ったほうがよい。

このように、人は一瞬の間に相手の非言語情報をキャッチし、いろいろなことを考えるのだ。私の場合、最近意識しているセルフイメージにつながるので、いいヒントになった。
美醜ではない「見た目」をよくしたいと考えている人必読です。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「後ろ姿」を磨く

イメージとしては、ピアニストやホテルマンをイメージして、その背中の感じを真似てみると上手くいく。「背中を美しく見せよう」としている人は、後ろに眼がついているのと似た気の持ちようになるのではないか。

『らしく』しなさい。『ぶる』んじゃないよ

自分の細胞から生まれるもの

おそらく、杉村(春子)さんの演技は、杉村さんの生き方固有の細胞(美意識)から生まれ、演劇人生を通じて発酵してきたのである。そのしぐさを“マニュアル”のように学んでも、「似ているようで似ていない」ものしかできないのではあるまいか。自分固有の細胞から生まれ、発酵したものと、他から結果だけを学んだものでは異なる。

自分の感覚はあてにならない

笑顔を作っているつもりでも、泣き顔にしか見えない人もいる。ひょうきん者を演じているつもりでも、冗談の通じない人にしか見えない人もいる。役者は、自分の感覚が予想に反して、あてにならないことに気づく。そういうレッスンをすることで、まず「人の意見を聞くことが大事」という気持ちが生まれる。