一番になる人 つんく♂ サンマーク出版 2008-08-05 価格 ¥ 1,575 by G-Tools |
「天才じゃない」と言ったらファンの方は怒るかもしれないが、「頭を使う天才」「努力する天才」なのだと思う。つんく♂さんがくり返し書いている「誰でも一番になれる」というのは、この本を読んで実際に行動すれば夢ではないと思う。そのくらい、頭を使って一番になる知恵がいっぱい詰まっている。
売れないバンドがどうやってヒット曲を作ったのか。「シングルベッド」のあの独特のビブラートは、実は計算されて歌われたものだ。しかも、有線から火がついたヒットと言われるが、それも自分たちで有線放送に電話をかけて作ったブームだったのだそうだ。
こんな風に、考えに考えて一番になってきたのだ。「圧倒的な才能」のない人が、どう考えれば抜きんでることができるのか、この本にヒントがある。
また、「自分は天才じゃない」と書かれているが、この人はやっぱり成功者だと思った。成功する人に共通のことばがたくさんあった。
なぜこの人が成功したのか、そのルーツは、乾物屋を営む祖父母の教えだった、というのも面白い。
その他大勢で終わりたくない人には必読の本。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
とことん考え抜く
何かがヒットする。そこには必ず「売れる理由」があります。
それが何かを、七転八倒しながらとことん考え抜くことができるかどうか。
天才ではない凡人が「一番になる」には、人生を賭けて「売れる理由」を考え抜けるかどうかが勝負ではないかと、僕は考えます。
人間は誰もがエネルギー業者
エネルギー業者であるのは、音楽家に限りません。
テレビやラジオ、新聞や雑誌といった、いわゆるマスコミの仕事に携わる人たちは、自分たちの発信する情報やメッセージが持つエネルギーに大きな誇りをもっていることでしょう。
メーカーで働く人たちは、自分たちが精魂込めて作った製品が消費者の生活に貢献し、潤いを与えていることに大きな喜びを見出していることでしょう。
お母さんは子どもに愛情というエネルギーを注ぎ、先生は生徒に学ぶ喜びというエネルギーを伝えているはずです。
そのように考えると、人間は誰もがエネルギー業者といえるのです。
エネルギーの扱い方次第で、人間としての徳が上がることもあれば、下がることもある。そのくらい、エネルギーを扱うには、注意が必要だと考えています。
プラスのエネルギーを発信する
おそらくどの世界においても、「一番になる人」は世の中にプラスのエネルギーを、人間としての徳が上がるようなエネルギーを発信しているのではないか。
エネルギー業者として自らの役割を極めていくことが、一人ひとりの人間に科せられた試練であり、使命でもある。
一番になれるかどうか。それはすなわち、それぞれに与えられた使命に気づき、その使命を十全に果たしているかどうかに、実はかかっているのかもしれません。
「安く売ってはいるけど、安ものを売ってはいけないんや」
じいちゃん、ばあちゃんが口癖のようにいっていた言葉の数々は、いまも、ことあるごとに頭に浮かんできます。
サービス根性
「損して得取る」という言葉がありますが、「得」ではなく、「徳」をとる。つまり、「損して徳とれ」の気持ちで、相手の期待を常に上回るサービスを提供する。それが、じいちゃんとばあちゃんからたたき込まれた「サービス根性」という精神です。
頭を下げるたびに心の貯金に変わる
頭を下げる方にしてみれば、その方が気持ちがラクだというのはわかります。そのラクだという気持ちをもう一歩進めて、いやいややるのではなく、喜んで頭を下げてみてはいかがでしょうか。
なぜなら、「頭を下げるのはタダだ、でも、本心でない頭下げはかえって反感を買う」からです。
誰かの代わりに頭を下げれば、その人に恩をひとつというか、貸しを作ったも同じで、頭を下げた方はポイントがプラスされていく。また、一度頭を下げるたびにひとつ勉強になるわけだから、さらにポイントがプラスされていく。
つまり、ビジネスは頭を下げるたびに1円、2円と心の貯金に変わると考えるのです。
これもサービス根性のひとつです。頭を下げても、下げなくても、その時は損も得もすぐにはわからない。それでも、きちんと頭を下げた人の方が長い目で見れば絶対に「徳」がひとつ上がる。世の中はそのようにできているのです。
サービスは本来タダのものです。そのタダが大きな「徳」を生むのは、そこに相手の気持ちというお金に変えられないものが入るからです。
気づいてもらえなければあいさつではない
僕はふだんから自分の会社の社員に対し、「毎日のあいさつ当たり前、1回抜けたら非常識人」と言っています。
ここで大事なのは、愛想笑い(ウソ笑い)はする必要なしということ。心もちひとつで本当の笑顔になるからです。
人が面倒くさがる仕事が
一番やりがいがあって、楽しく、報酬もでかい。得られる信用も絶大である。
自分の満足は大衆の満足ではありません。
自己満足は、自分ひとりの世界でやるべきことで、少なくともビジネスの場でやるべきではない、と僕は思います。
今日は曲を書く日だと決めたら、絶対にその日に書く
たとえそれが5小節しか書けないとしても、自分で満足できるフレーズが浮かばないとしても、とにかく曲に仕上げる。
締切だけは絶対に守る
あの経験*1を経てから、締切とは、人間の力をめいっぱいに引き出す装置だと思うようになりました。だから絶対に締切は守る。凡人は締切を守ることをくり返すことで、能力が鍛えられていくのです。
だから、どんな条件の中でも、必ず締切だけは守っていく。
「突っ込まれシロ」のある人になる
「突っ込まれシロ」の「シロ」は、「のりシロ」の「シロ」です。人と人も同じです。余裕の部分がないとうまくつながらない。
もうひとつ言うと、車のハンドルの遊びみたいなもので、これがない人間は危ないし、怖い。声をかけにくくなるのです。
ズボンのチャックが開いていて、「おまえ、チャックが開いてるで」と言われた時、どう出るか。怒ったり、恥ずかしがったり、何ごともなかったかのように振る舞うのではなく、「ホンマかあ。ワハハ」と笑える男は出世すると思って間違いありません。それは本人に余裕があるからです。人間的な幅を人に感じさせられるからです。
勝負パンツを毎日はく人になる
プロデューサーである僕自身は、つねに戦闘態勢でいます。常に勝負パンツを、心の勝負パンツをはいています。
チャンスはいつ来るかわかりません。
いつ来るかわからないチャンスを、「いや、今日は準備できてないから、またにするわ」と延ばすのではなく、「いつでもOK」という気持ちで毎日の仕事に臨むのです。
準備をしていないと、ここぞという時にチャンスカードが回ってこない
神様は準備のできている人にだけ、チャンスを一瞬だけ与えてくれるのです。