毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

涙なしには読めない、引退の真相☆☆☆

家族が次々借りてくるので読んでいますが、野球に興味のない方申し訳ありません。

昨シーズン、阪神タイガースを電撃引退した赤星憲広・元外野手の自伝。私は前にも書いたとおり今は阪神ファンではないが、たぶん阪神の中では一番好きな選手だったと思う。プレースタイルや、人柄が素敵だなと思っていた。
それが、急に引退を発表し、大げさではなく私の住む地域は激震した。たまたま引退会見をした日に夕方のニュースを見ていたので会見の生中継を見て涙、その後関西ローカルのニュース番組に順番に出演していたようで、そのひとつを見てまた涙。

この本を読んだらまた泣けてしまったのだが、それと同時に思い出したことがあった。


読むまで知らなかったが、引退は赤星さんの意志ではなく、球団の引退勧告(あるいは通告に近い)だったという事実。
「ああ、この球団はそういうことをする球団だ、まだ変わっていなかったのか」と昔の感情がよみがえった。

私は85年の優勝時はバリバリのタイガースファンだった。それが、当時のクリーンナップ、バース、掛布、岡田の3選手がいずれも不本意な形でタイガースを去ったのを機に、ファンをやめたのだ。選手を大事にしない球団が嫌になったので。

何にも変わっていなかったんだ、と思った。
赤星さんのケガは脊髄損傷なので、重症になれば半身不随や四肢麻痺の可能性もあるし、呼吸を司る神経がダメージを受ければ命に関わる。だから、選手を続けさせるわけにはいかない、という判断もわかる。だが、あれだけチームに貢献し、阪神以外のチームには行かない、阪神で選手を終えたい、と前々から公言していた赤星さんの気持ちにもう少し寄り添うことはできなかったのだろうか。この前森下裕道さんの本を読んだばかりだからかもしれないが、同じやめなければならないにしても、納得して前向きにやめるのと、心残りのあるまま追い出されるようにやめるのとでは気持ちがまったく違うはずだ。読んで憤慨してしまった。
失礼ながら、決断はしたものの、文章を読めば無理やり前向きになろうとしても揺れる気持ちがまだあることはすぐわかる。せめて気持ちよく引退させてあげたかった、と思う。

本では引退に至るいきさつはもちろん、負傷退場してからあとの体の状態や、グラウンドに戻りたい一心の執念のリハビリなどが生々しく語られている。そして、選手としての軌跡も。


野球選手としては体が小さいというハンディをどうカバーし、いかに足の速さを活かすために工夫してきたか、という話が興味深い。プロに入ってからはもちろんだが、高校、大学でも生き残りのために考え、努力し続けてきた人だった。レギュラー選手に時々感じる驕りがまったく感じられなかったのも、プロになれるとは思わなかったというところから来るのだろうか。

野球に興味のない人には☆3つの評価は高すぎるかもしれないが、自分の長所と短所を冷静に分析し、どうやれば自分を最高に活かせるか、そんな読み方もできると思う。