毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

時間を軸にした成長戦略☆☆☆

このところ続けて読んでいる京大教授・鎌田先生が5年前に書いた本。プロフィールの著書一覧に出ていたので読んでみた。 ====


タイトルを見て「時間管理の本かな」と思ったが、時間管理がテーマなのは第1章だけ。いわゆる「時間術」を期待すると肩すかしかもしれない。時間を軸にした成長戦略、と言った方が正しいと思う。
教養、読書法、人間関係の育て方、フレームワークと著者のキーワードが詰まっている。最近出ている本の基本がこれ1冊を読めばわかるので、入門としていいと思う。


中でも面白かったのはスペシャリストになるための時間を見すえた戦略(第2章)と、無意識からのひらめきをいかにキャッチし、有効利用するかを説いた第7章。これは鎌田先生の他の本でも、それ以外でもあまり見たことがないので非常に新鮮だった。とくにスペシャリストの話は、これからキャリアアップをしていく20代にはぜひ読んでもらいたい。


自分を成長させてくれた人物として、よく最初の職場の先輩の話が出てくるが、この本にも詳しく書かれている。それを読んで感じたのは、著者の成功のポイントは“素直さ”だったのでは、ということだ。
先輩から学ぼうと必死なその姿を見れば、引き立てたくなるだろう。いいと勧められればすぐに取り入れ、実践してみる。食事でも飲み会でも野球でも、できるだけ先輩と行動を共にしたそうだ。なかなかできることではないだろう。

著者のすごさを垣間見た気がする。


ひとことで言えば「20代のうちに読んでおきたかった!」に尽きる。あてはまる人はぜひ、後悔しないうちに読んでください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「活きた時間」は体で覚える(P21)

スポーツではトレーニングを怠ると、たちまち技術が低下する。同じように、活きた時間も意識することをやめると、あっという間に元の木阿弥になってしまう。だから、活きた時間を持つことは、体で覚えるスポーツに近いのだ。スポーツ同様、コンスタントな努力が必要なのである。毎分毎秒、活きた時間についてたえず認識していなくてはならない。

「活きた時間」を有効に使うために(P28)

要は、自分の頭の状態と働き具合を、常に注意深く観察していることである。調子がよかったら、決して中断してはいけない。走れるところまでは速度をゆるめずに走る。しかし、頭脳活動がピークを越えたのを感じ始めたら、止めるタイミングをはかる。だらだらと頭を酷使してはいけない。
この「だらだらした感じ」を敏感に受けとめる訓練も大切だ。常に意識して、効率が落ちたことを感じ取る癖をつけるのである。これが、時間に対する感受性である。

仕事には2種類ある(P41)

仕事には…コツコツと時間をかければ誰でも達成できる仕事と、才能、センスが必要なものとがある。天才型と努力型と分けてもよい。大事なことは、特別な才能が要求される仕事と、根気だけで何とかなる仕事を、最初から峻別しておくことなのである。
スケジュールを立てておく段階で、この両者をバランスよく配置してみる。頭脳をフル回転する仕事の次には、ルーチン作業だけしていれば完成する仕事を用意する。頭のすきま時間の活用とでも言おうか。こうすると、どんな時間も無駄にはならないのである。

英語に親しむ戦術(P46)

英語のヒアリングには、ふたつの異なる聴き方が必要だ。ひとつ目は、しっかりと集中して聴くこと。ネイティブスピーカーがニュースなどを、自然な速度で読むのを聴く。内容を充分に把握し、単語にも注意しながら、何回も繰り返して聴くことである。
ふたつ目は、ボーッと英語を聴く時間を持つことだ。他のことをしながらでよい。英語を聴きながら、リズムや抑揚に親しむのである。夕食後に英語のCDを流して、英語独特の感覚に耳を慣らすようにするという方法もある。注意を向けて聴くのとは違った効果があるので、試していただきたい。
さて、英語の勉強で大事なことは、余裕のあるうちに英語を磨いておくことである。(中略)ふだんからコツコツやっておけば、いつの間にか大きな達成量となる。こういう地味な努力が、いざという時に力を発揮するのだ。

いきなりオンリーワンを目指さない(P51)

確かに、はじめからその分野でオンリーワンを目指すという戦略もある。しかし、誰もやらない分野で認められるというのは、実は至難の業である。(中略)まずは誰もが認める専門家になることを、最初の目標とする。ステップを一段階増やし、狭い分野から広い分野へ、活動の場をじりじりと広げてゆくのである。
すると次第に、専門領域を拡張したことが、認知されはじめる。新しい仕事の意義が理解されるのだ。こうなると、専門以外の分野から声をかけられるようにもなる。一介の専門家からオンリーワンへのシフトが順調に進んだサイン、新たなステージの幕開きである。

人間関係のポイントは「可愛げ」と「律義」

良好な人間関係を築くキーワードとして…「可愛げ」と「律義」という言葉があるだろう。文芸評論家の谷沢栄一は、ベストセラー『人間通』の中で、こう述べている。

(略)可愛気の次に人から好まれる素質、それは、律義、である。秀吉は可愛気、家康は律義、それを以て天下の人心を収攬した。律義なら努めて達し得るであろう。律義を磨き上げれば殆ど可愛気に近づくのである。
谷沢永一『人間通』新潮選書

教養がある人が最後には勝つ(P123)

教養は、人生全体の戦略を練る上でもきわめて重要なものである。教養にどれだけ投資できるかで、人間の器が決まると言ってもよい。最終的な人生の勘定では、教養があった方が必ずプラスになるのだ。人物の広さは教養の深さと比例するとも言えよう。

教養とビジネス(P124)

国際人として信頼を得て尊敬されるためには、仕事ができるだけでは不十分なのである。仕事ができるのは当たり前。それに加えて、幅広い教養と人間的な魅力が必要なのだ。両方があってはじめて、総体的に能力を発揮できるのである。
個人のキャリアアップの過程においてもそうだ。スペシャリストからジェネラリストへの転換の中で、教養は重要な働きをする。人柄と幅の広さがポイントになるのだ。世界に通用するエグゼクティブは、みなジェネラリストである。仕事と人物の両方で合格していなければならない。

地球物理学者の故竹内均東大名誉教授のことば(P195)

「理想の人生とは、自己実現ができる人生である」
ただし私のいう「自己実現」は、(1)好きなことをやって生きる、(2)それで食える、(3)それがまた他人によって高く評価される、ことである。(中略)理想の人生を生きるためにはまず夢を持たねばならない。
竹内均の科学的人生論』竹内均 同文書院