毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

マーケティングの基礎が新書で学べる☆☆☆

著者は流通科学大学学長で、マーケティングに関する著書をたくさん出している。新書としてはかなり分厚いので、むずかしいかなと思いながら読み始めたが、リテラシーのほとんどない初心者の私にもとても読みやすかった。


大きな特長は、最新の実例が豊富に紹介されていることだ。アート引越センターや『星野リゾートの教科書』にも出てきたスカンジナビア航空をはじめ、ファブリーズの戦略やボールドとアリエールの差別化など、身近なものが次々出てくるので飽きずに読めるし、理解を助けてくれる。

それぞれのテーマごとに大まかな説明があり、最後の章ではまとめられているのでわかりやすい。まるで教科書のようなていねいさだ。こんな本を新書で1000円弱で読めるなんてありがたいと思った。

最近マーケティングに関する本を続けて読んでいることもあり、さらに理解がしやすかったのかもしれない。これからマーケティングを学ぶ人はもちろん、専門書は要らないが基本的なことを知りたい、という人には特にお勧めです。

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

事業のミッション(P22)

事業を定義する上で、「誰のために、何をしたいのか」という問題が重要だ。企業経営者に「あなたの事業の目的は、何ですか?」と問うと、「慈善事業ならともかく、私たち企業の事業目的は利益を上げることです」という答が返ってきそうだ。だが、「誰のために、何をしたいのか」と問うと、少し答も違ってくる。「誰のために、何をしたいのか」、これは事業のミッションと呼ぶにふさわしい。

誰に、何を、どのように(P55)

細分化とターゲティングとを顧客層の選択としてまとめて理解すると、「誰に向けて、どういう価値を、どういうオペレーションあるいは技術で提供するのか」という形で整理できる。

お客さんのニーズは(P91)

お客さんが購入する製品(コンピュータやコピー機、あるいはコーヒー)にあるのではなく、「その製品・サービスが果たす機能」にあるのだと言い、自身の事業は顧客のその本当のニーズに応えることにあるのだと宣言する。生活社内誌は顧客の深い理解に立った事業の定義は、単にコンピュータを作って売る会社、コピー機械を作って売る会社、あるいはコーヒーを提供する会社に比べて、より深く生活者のニーズに迫っている。
ゼロックス…「コピー機械を売るのではなく、コピーサービスを売る」
・IBM…「IBMは、コンピュータ機械を売る会社ではなく、コンピュータが果たすサービス(solution)を売る会社だ」
スターバックス…「満足を味わうひととき」

商品の見方を変える(P190)

コカ・コーラは最初は現役をソーダで割って飲む希釈飲料だった。そして、「胃がムカムカした時によい」という効能を重視した時代もあった。その後、「リフレッシュ」そして「食事の時にコカ・コーラ」と、商品の新しい意味、新しい見え方を提案した。コカコーラが何兆円ものビッグビジネスとして育ってきたのは、「商品の見方を変える」コミュニケーションの力以外ない、と言ってよいくらいだ。

デイビッド・アーカーが提唱したブランド・エクイティ(P107)

※David A. Aaker…カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院名誉教授(マーケティング戦略論)。ブランド論の第一人者。
1.生活者がこのブランドでなければならないというロイヤルティを持っているかどうか。
2.ブランドの名前が知れ渡っているかどうか。
3.そのブランドから高い品質がイメージされるかどうか。
4.ブランドから質のよい連想が生まれているかどうか。

ブランドの細分市場/三ツ矢サイダーの場合(P200)

1.嫌いな層…素材の確かさ、安全、伝統の訴求
2.知っているが、飲まない層…購入へのきっかけ作り
3.ライトユーザー層…飲用シーンの訴求
4.ヘビーユーザー層…ブランドの哲学、思想の訴求
分類されるタイプの数は、4つか5つか、状況により違ってくる。大事なことは、タイプごとに、ブランドに対する生活者の利害・関心がはっきり異なるように、あるいはブランドと生活者の関係が異なるように、細分市場を分類することである。

自分のブランドの目指す層を定める(P203)

訴求すべき層が決まれば、やるべきコミュニケーションの目的と内容の指針は比較的簡単に決まるだろう。大事なことは、自分のブランドの目指す層を定めること。そしてそれに合ったコミュニケーションのやり方は無数にあるというものではないはずなので、オプションとしてあらかじめ準備しておくこと、である。この課題ならこのやり方という形で準備する。

マネジメントは「予期して備える」(P231)

マネジメントとは、将来起こりうることを予期して、それに備えること。「予期して備える」である。何が起こるかわからない市場に対して、組織が生き延びていけるのは、「予期して備える」装置を持っているからなのだ。