毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「図化」することで理解力を深める☆

自他共に認める齋藤先生フリークの私が、著作に☆ひとつをつけるのはたぶんはじめてだ。悪い本ではない。ただ、タイトルと内容が違いすぎていると感じた。


齋藤先生によれば、「図化」と「図解」は似て非なるもので、図化は自分が理解するためのプロセス、図解はできあがったものをただ見るだけなので頭は働かないそうだ*1
確かに、人は完成したものには手を加えようとしないが、そこに余白があると何か書き込みたくなると聞いたことがある。たとえばプレゼンなども、パワーポイントなどを使って美しく図解されているとただ見ているだけだが、図化のプロセスをそのまま見せる、つまりホワイトボードを使って書きながらやれば、プレゼンでもいろんな意見が出てさらに練り上げられるのだそうだ。

混沌とした頭や混乱する気持ちも図化することですっきりできる。
たとえば、紙の真ん中に線を引いてふたつに分け、迷っている選択肢のメリット・デメリットを書いていくのも図化の手法のひとつ。

さらに著者の得意技・3色ボールペンを使う方法や、応用編として人と話をしながら同時に図化したり、悩みを聞きながら整理するのにも図化の手法が使えるそうだ。著者は目の前に紙があってもなくても、図化することが習慣化しているので、反射的に図化して頭を整理できるという。レジュメはA4用紙1枚にまとめる、という決まりも最近はよく見るが、ここでも図化のテクニックを身につけていれば簡単に1枚にまとめられるのだそうだ。

と、いいことずくめの「図化思考法」。しかし、残念ながらこの本は図化のテクニックを教えてくれる本ではない。この本で本当に書きたかったことは「構造主義」の手法としての図化であり、著者にとっては図化=構造主義をワザ化したものなのだ。


構造主義が日本でブームになったのは70年代で、フランスのレヴィ・ストロースという人が提唱したものだそうだ。もとは言語学の手法を取り入れたものだが、文系の学問が理系に近づくような感動が当時はあったという。

この本の後半はこの“構造主義”を軸に話が展開するので、図化の方法を知りたくて読んだ人は不満が残るかもしれない。
一般に著者は本のタイトルを自分では決められないそうなので、編集者が売りたくてつけたタイトルなのかな、とうがった見方をしてしまった。
タイトルに惹かれていきなり購入しないよう、ご注意ください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

全体の構造をとらえるには図化のプロセスがベスト(P56)

図化する作業は、時間を蓄積していく工夫とも言えます。手間も少しかかるように見えますが、図にしながら考えるというプロセスを経てから文章を作る習慣をつけましょう。問題や論点のスッキリした「A4[用紙]1枚」[にまとめた資料]を書くことができるようになります。

反射的に図にするよう習慣づける(P66)

むしろ、何を読んでも、ほとんど反射的に図を描いてしまうというように習慣づけることの方が大切です。そうなると、珠算の達人が、実際にそろばんがなくても頭の中で珠をはじけるように、人の言葉を自分の頭の中で図にすることができるようになります。実際に図を描く、描かないにかかわらず、何でも図として捉え、概念の混乱を避けることができるようになるのです。
私も、もちろん紙にも描きますが、紙に描かない時も、実は頭の中でさらさらと図ができています。あるいは、キーワードに丸印をつけるだけで、文章がキーワードの図になっていきます。

違いをはっきり言うことができれば、それは「わかっている」ということなのです(P67)

松井秀喜選手の著書『不動心』より(P70)

「コントロールできないものに気を病むのではなく、(コントロール)できることを精一杯やろう」
(中略)
ニューヨーク・ヤンキースに移籍当初もそうでした。ホームランをなかなか打てず、マスコミから「ゴロキング」とけなされました。体の大きなパワーヒッターに囲まれ、普通ならマスコミの心ない報道と、自分の体格を恨むところです。しかし、松井選手はここでも「コントロールできないものを気に病むのではなく、(コントロール)できることを精一杯やろう」と考えることでファンの心をつかみ、主力選手としての地位をつかんでいくのです。

「図化」でプチうつが解消(P78)

プチうつをなくすには、かかった雲をひとつひとつどけていく作業が必要となります。それが「理解」です。理解するために区分け図、構造図を描くと、気持ちがスーッと晴れてゆきます。気持ちが晴れると、状況への対応が変わってきます。同じ状況であっても、「ああ、もうダメだ」と悲観するのと、「そこまで気にする問題じゃない」と楽観するのでは、対応力はまったく違って当然です。

フェアであることには価値がある(P85)

フェアであることは、リーダーに必須の資質だと私は思っています。
(中略)
フェアであることには価値があります。それは、自分を組織の中で押し上げてくれる力であり、有能な人や重要人物から引っ張り上げられる力でもあるのです。「フェアな人間だ」という評判は、広めようとしなくても、自然に広まり、必ず自分の力になってくれるのです。
フェアであることは、「全体が見える人だ」と言い換えられると思います。自分や自部署だけからの狭い見方ではなく、全体の視点で広く見て、他のものとの関係を視野に入れて見ているということです。「ものごとを動かしている根源的な力を見ている」とか、「広いスパンで見ている」「遠くを見ている」などとも言えます。

図と文の長所を組み合わせる(P88)

文章と図が混在するようにメモを取ると、理解も進むし、他の人にも説明ができます。記憶を定着させるにはアウトプットが効果的ですから、そのように人に説明すると、聞いた話が完全に定着します。
図だけのメモだと、細部を説明する言葉を忘れることがよくあるのです。図は空白が多いので、その空白を埋める言葉が描いてあると、理解しやすくなるのです。

真ん中に線を引き、分けていく(P102)

…常に真ん中に線を引いて、似て非なるものを分けていくことで、混乱を避けることが大切です。
そうすると、「AとBのうちAを取ろう」となった時、AがA1とB1に分かれることが多々あります。次に「ではA1を取ろう」となったら、今度はA1がA2とB2に分かれます。
それをくり返すうちに思考は明確になり、行動がはっきりしてきます。この作業が完全に整理されると、「イエス・ノー・シート」のような全体図になります。こうなると俯瞰もできますし、全体の流れが一目瞭然で理解できます。

図化で伝える力をつける(P121)

言葉では伝わらないものも、図にしたり、模型にすると伝わりやすくなります。思いが伝わらない時、私たちはしばしば相手の理解力のなさのせいにしますが、伝わらないのは伝え方に工夫が足りない面もあるのです。

*1:図解の本を紹介した次の日にこれはあんまりだと思いますが