「1063人の収入を60日間で41%アップさせた」という枕詞でおなじみの、マイケル・ボルダック氏の昨秋出版された本。今回は“拒絶される恐怖”を消す、というテーマだ。
読んでみて、非常に実践的で役に立つ方法だと思った。
著者によれば、“拒絶される恐怖”の原因となっているのは実は「両親のしつけ」なのだそうだ。それにより、ほとんどの人は自己否定になったり、親に受け入れてもらうために完璧を目指すようになるという。
しかし、「拒絶」を理解し、うまく利用することもできる、というのがこの本で紹介されている方法だ。
たとえば、NOと言われることに慣れ、あえてNOと言われる数を目標にする。外資系保険会社のトップ営業・川田修さんの『かばんはハンカチの上に置きなさい』でも紹介されていた方法だが、これには根拠があるのだ。
それは、YESの前には必ずNOと言われる必要があるから。どんなに成約率の高い人でも、100%YESと言ってもらえる人はいない。ちなみに、著者で約50%だそうだ*1。ということは、著者の場合5人の人にセミナーに来てほしければ10人に声をかけ、5回NOを言われなければ目標を達成できないのだ。
普通は10人に声をかければ1人はYESと言ってくれるそうなので、そのためには9回NOと言われる必要がある。
こう考えれば、NOと言われる回数を目標にするのも意味のあることだとわかる。
とは言っても、やはり拒絶されるのは怖い。後半には7つのステップで恐怖を消す方法が紹介されている。翻訳者*2によれば半年はこのプロセスを続ける必要があるそうだが、この本に書かれた内容をしっかりやることで、恐怖は消せるという。もっと速く結果を出したい人にはセミナーもあるが、肝心なところを書かずにセミナーを案内するような本が多い中、非常に良心的だと思う。
ほとんどの人が持っている「拒絶される恐怖」。しかし、成功するかどうかに深く関わってくる。ここを乗り越えれば人生が大きく変わるはずだ。営業職の人はもちろん、拒否されることで傷つくすべての人に必要な本。私も買って取り組みます。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
拒絶に対する恐怖を克服するためのおまじない(P34)
「私は失敗するのが好きだ!」
(中略)
失敗は重要なのです。私は失敗するのが好きです。拒絶されることも好きです。『ノー』という言葉が好きです。
それを声に出すことで肯定してあげるのです。
「ノー、ノー、ノー、ノー、オーノー!」を喜ぶ(P35)
そして『ノー』という言葉を聞いた時に、空中にジャンプしてメチャクチャに喜ぶのです。こうすることで『ノー』という言葉と喜びをリンクさせられるようになるからです。
受け入れてもらう前に成し遂げる2つのこと(P45)
第1は、相当拒絶されなければならなかったこと。
第2は、成功するためのフィードバックを元に、絶えずアプローチの方法を変えなければならなかったことです。
まず手始めにしなければいけないのは、何が目標なのか特定すること(P47)
彼ら[=(ロッキーの映画化を断られ続けた)シルベスター・スタローンと(チキン調理法のフランチャイズを断られ続けた)カーネル・サンダース]には、欲しいもの、ワクワクさせてくれるものについてひとつの理想像がありました。
それがあるから、彼らはどれだけ拒絶されても、成功まで至ったのです。
(中略)
なぜその最終目標を達成したいのかについての理由に、説得力があればあるほど、拒絶に対する恐怖を克服する力も大きくなります。
「結果」は目標にしない(P50)
最終目標を叶えるために始めなければいけないことは、週1回、『ノー目標』『今週のノー目標』を設定することです。
それは1週間あたり何回の拒絶獲得に取り組むかということです。
(中略)
私が何より重要だと思っているのは、結果ではなく自分の行動を評価するということです。
…より多くの結果を得るためにしなれけばいけないことは、ある行動を取ること、つまり拒絶の克服が必要なのです。
拒絶は成功の前提条件(P54)
どれだけ成功しているとしても、関係ありません。
拒絶されます。
大きく成功している人は、これを知っています。
(中略)
彼らは『イエス』を獲得する前にある程度の拒絶を受ける必要があるとわかっているのです。
必要な『ノー』の数を計算する(P56)
まずは、何を達成したいか、というところから手をつけましょう。
そして、成功率を特定します。
わからなければ推定します。
…どんなことでもたいてい、少なくとも10人のうち1人は『イエス』といってくれると思います。
ここで、みなさんの成功率、そして『イエス』と言われるまでにどれだけの『ノー』が必要かを特定あるいは推定したら、みなさんの望む成功を得るために必要な『ノー』の数の目標が設定できます。
自分の許容量を知る(P58)
みなさんが処理できる適切な程度の量を設定するようにしてほしいのです。
1週間にどれだけの拒絶を処理できますか?
人は先が見えない、計画がないものにいつも恐怖を感じることになる(P67)
精神状態がピーク状態の時に最高のパフォーマンスが生まれる(P70)
恐怖と感謝はお互いに共存できない(P72)
ヘンリー・フォードのことば(P76)
「あなたが、自分にできると信じようと、あるいは、自分にはできないと信じようと、どちらにしても、あなたは正しいのだ」
ねぎらうことを覚える(P86)
ねぎらうことを学ばなければならないのは、どんなものであれ、ねぎらうことで行動が習慣になるからです。
いずれにしても、拒絶されたことは、あなたが原因ではないと思ってよいのです(P92)
拒絶を乗り越えたらすぐ行動する(P93)
というのも、考えを集中させて次の…行動を起こしていれば、あの過去の拒絶を考えている時間などなくなってしまうからです。
実際、拒絶など存在しないのです(P98)
それはすべてあなた自身へのフィードバックです。
拒絶ではなく、フィードバックだということをよく理解しておいてください。
従って、拒絶をそういう観点から考えて、拒絶から何を学べるかではなく、フィードバックから何を学べるかと考えましょう。
(中略)
相手の反応をよくするために、どのようなコミュニケーションの仕方をしたらいいのだろうかということです。
拒絶体験からいつも何かを学んでいれば、感情を害することはないはずです。