齊藤孝先生の『質問力―話し上手はここがちがう』でこの対談が絶賛してあったので、興味が湧いて読んでみた。
想像していたのとちょっと違っていた。
周防監督は生粋のスワローズファンだそうだ。
著者名は古田さんが先になっているが、実は「はじめに」も「おわりに」も周防監督が書いている。メインはおふたりの対談だが、中に草野球をされている周防監督の球を古田さんが受けるドキュメントのページがある。また、対談には新旧多くの選手名が出てくるので脚注がついているのだが、この内容も周防監督自らが大幅に加筆したという。これは「周防監督のスワローズファンブック」とでも呼ぶべき本ではないか。
確かに対談は面白い。でも、そんなの当然でしょうと思う。長年スワローズを見ている人がスワローズの選手と対談しているんだから。
対談では、古田さんがプロ野球選手になろうなんて夢にも思っていなかったエピソードや、キャッチャーミットにまつわる考え方*1をはじめ、古田さんのあまり知られていない話を引き出しているのはさすが長年のファンだけある。
しかし、ご自身があとで反省されているように舞い上がっているところが多いのだ。それを人間らしいと思うか、うーん、と思うかは個人差があるだろう。私はちょっとお腹いっぱい、と思ってしまった。
10年強、という時間が中途半端なのかもしれないが、引き出しているエピソードは面白いのに、あとに残らない本だなと思うとちょっと残念。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
コツを探す(P196)
(古田)よくボールが止まって見えるとかいう人がいるじゃないですか。彼らには、実際止まって見えるかもしれないですよ。でも、僕には、決して止まって見えない。何万本も打つ練習をして、そう見えるような感覚になれるくらいの努力をするのも大事なんでしょうが、僕はすぐ数以外にコツがあるんじゃないかと思ってしまうタイプ。…コツがあると思わないと、やっていけない。
*1:確実に球を受けるためにできるだけ大きくした話や、構え方を工夫したら一般的な縦ではなく横に構えるようになった