しかしまあ、実に生々しい本だった。本当のタイトル=サブタイトルだからだ。
ここで展開される内容は、『女は男の指を見る』とほぼ同じ。女性が無意識に惹かれるポイントは男性の遺伝子のよさを表すポイントである。優れた遺伝子=免疫力が強い。中でも、それが端的に表れるのが指であり、薬指の長さに対する人差し指の長さ=指比でそれがわかる*1という。タイトルの0.95というのは日本人の平均値だ*2。
この本がすごいのはそこから先だ。お目当ての男性の遺伝子を見定めるべく、うまいこと手のコピーを取れ(それもできれば右手)というのだ。または、ページ上部に1ミリごとの「定規」がついているので、手を誘導して測れという。
さらに、スターの指比を測るべく、浅草公会堂の前の手形を採寸して算出した一覧表まで載っている。著者は伝統芸能の世界では優れた遺伝子を受け継ぐ必要があり、淘汰が長年行われているため上位に来るのでは、と予想したのだが、まさしくその通り。1位は中村勘三郎さんで0.89*3だった。
他にも、体のつくりやサイズなどから本来人間はゆるい一夫多妻制が自然だという話や、動物行動学から考えた浮気のとらえ方など、衝撃的な話が続く。
優れた遺伝子の男性を見分ける方法も詳細に書いてあるので、正直言ってそこまでするかと思うが、見た目と優れた遺伝子の相関について研究したツバメのダニ耐性実験の結果を見ると、しっかり探さなければという気持ちになる。
それで、肝心の草食男子はどうなのか。これはあくまで著者の仮説だが、以前は他の男性の精子と競って勝ち残った者が生まれてきていたのに、近年は文化やモラルの面で淘汰される場面がなくなってしまった。すると、本来は生まれなかった精子による個体が増えているのではないか。
人間が「遺伝子の乗り物」であれば、次世代を残す行為に淡泊というのは自殺行為になるからだ。自分の遺伝子を残したがらない遺伝子、それはやはり動物行動学的には通常あり得ないものらしい。
草食男子の指比が日本人平均とどう違うのかというデータがあれば面白かったが、残念ながらそれはなかった。
これから相手を探す、という女性はぜひ読んでおくべき1冊。逆に、男性はショックを受けるので読まないでください。
関連記事
読書日記:『女は男の指を見る』