『天才の読み方』に比べて文章が硬く、読みづらい気がしたのは、「自己プロデュース」というテーマがしっかりあって、いわゆる“遊び”のようなものがないせいだろうか。もしかしたら、4人に対する私の興味が前著ほどないからかもしれない。
この中で読みたかったのは何と言っても美輪明宏さんだ。今でこそ美輪さんのような男性はたくさんいるし、テレビに出たりいろんなことが自由にできる。だが、美輪さんの前にそんな人はおらず、美輪さんが戦い続けて勝ち取ってきたものなのだ。
美輪さんのすごさはその「ポジション」を自分で作り上げたこと、と齋藤先生は書かれているが、その意味がよくわかった。
「前例がない」「誰もやったことがない」という理由で反対されたり、苦労している人は、美輪さんの生き方にヒントがありそうだ*1。
他ではガンジーが面白かった。ガンジーといえば質素なインド綿の服を身にまとった、静かな聖人のイメージがあるが、実はこれはすべて戦略だったのだという。戦略というと聞こえが悪いかもしれないが、インドのために最善の方法を考えて、あの姿は作られたのだそうだ。
確かに、この4人はいずれも自分をどう見せるかをよく考え、それが成功した人だ。計算ずくでやっていなかったとしても、やはり「自己プロデュース」=「自分をどう見せるか」は大事な戦略のひとつだと言える。
そのままそっくり真似するのはむずかしそうだが、「自己プロデュース」の意識を持つだけでも違いはあると思う。
ピンと来た人は読んでみてください。
私のアクション:自分独自のポジションを考えてみる
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読書日記:『自己プロデュース力』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
自分の独りよがりに陥らない(P7)
独りよがりなものを提示しても、世の中は受け入れてくれない。そこで、自分と社会とをいかに上手くすり合わせるかがポイントになる。時代や周りの人間のニーズを肌で感じ取って、そこに自分を投じていく。
あるポジションを確立すること自体が自己プロデュース(P73)
それを確立してしまえば、何を言っても、何をしても、存在自体がある角度を持った独特なものとなる。
美輪明宏は「美」をひとつの重要な価値としている(P84)
しかし、それは自らにおいては、容色の衰えとの終わりのない戦いを意味しているのだ。生まれつき綺麗だからというだけではなく、その美しさを人々に見せ続けるにはそれをどう維持するか、あるいは衰えた時に、自分をどうサバイバルするかを、つねに考え続けてきた。
決断する時には「腹で考えろ」(P114)
「頭が胸で考え思ったことをひとまとめすると、今度は、一度どっしりと腹におさめて、腹で考え直すことです。そうして出た結論は、けっして死ぬ間際にあって後悔するようなことにはなりません。腹をくくるとはこのことです」(『人生ノート』からの引用)
美輪明宏に学ぶ自己プロデュース力の伸ばし方(P117)
1.人の真似できないポジションに立つ
2.マイナス体験を心に深く刻みつけてエネルギー源にする
3.人にエネルギーを分け与えることで、自分を元気にする