毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

本能に訴える行動科学☆☆☆

 

 

北京五輪・柔道男子100キロ超級金メダリスト石井慧選手のメンタルコーチが書いた本。他の階級男子が惨敗だったのに、石井選手が最後にきっちり金メダルを取ったのは強烈な印象を残した。この本を読むと、「ああ、メンタルトレーニングがしっかりしていたのね」と思う*1

このブログでもいろんなメンタルトレーニングの本を紹介しているが、この本ほど深いところをついてくる本はなかった。
「きれい事はいいから、本当のところはどうなの?やりたいの?やるの?」と聞かれている気持ちになってくる。

 それもそのはず、著者は本当にこうなりたい!という気持ちで今の仕事を勝ち取った人だからだ。ひとつひとつのメソッドにものすごい説得力がある。
著者は家庭的にも学校にも恵まれず、大学に行くような人は周りに皆無、高校卒業時の偏差値は37。それでも大学に行きたいという強い気持ちから上京し、何のノウハウもないところから独自にやる気や集中力を高める方法を工夫して大学に合格。東大大学院修士課程へ進み、さらに渡米してカウンセリング心理学修士課程を修了されている。その経験から、強い気持ち・モチベーションの大切さは誰よりも理解されているのだろう。


5つのステップに分け、実際にやりながら読み進める方式で、マンガも書いてあるので気軽に読める。また、事例も多く紹介されているので、具体的で理解しやすい。
基本的な考え方は同じなので、やめたい場合は苦痛に結びつけ、やらなきゃいけないのにできないことにはそれが快と結びつくようにする。ただ、その具体例がものすごいのだ。きれいごとではない。まさしく感情に結びつけるようなイメージングをするのだ。例に出てくるお酒をやめたい人や缶コーヒーをやめたい人は、二度と口にできないようになったそうだ。やるべきことと快が結びつくようにする方法も俗っぽいと言えばそれまでだが、なるほどなあと納得ところがたくさんあった。

また、大切なのは実際に行動に移すステップの前に「それが本当に必要なことなのか」を考える、というステップ。著者によると、このステップを見落としているメンタルトレーニングが多いそうだ。本当は必要じゃないのに思い込んでいるとか、問題をとらえ間違っているケースもあるのだとか。理屈ではなく感情で「やりたい!」「やめたい!」と思えるようになることが重要なのだ。

非常に具体的でやる気になれる本。メンタルトレーニングってむずかしそう、と思われている方にお勧めです。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

好循環のための4つのルール
  1. 「ちゃんとやらない」
  2. 「最後までやらない」
  3. 「効果を気にしない」
  4. 「わざわざ時間をとらない」

できない自分を責めずに済むように、イヤイヤ我慢しながらやり続けなくていいように考えられたもの。

それって、本当に本当に必要?

大切なのは「先延ばしを撃退すべきことは何なのか」をとことん洗い出し、本当に撃退すべきことだけを選りすぐり、あなただけの「先延ばしリスト」を完成させること。

「どうしたら先延ばしをやめられるか?」「どうしたらすぐ実行できるか?」というアイデアやスキルを使う前に、「自分にとって本当に必要なことか?」「本当にそれをやらないとダメか?」をはっきりさせることが大切。
なぜなら、往々にしてやる必要がないにも関わらず「やらなきゃダメなのにできていない、だからこれは先延ばしだ」と思い込んでいる場合があるからです。
「『自分にとって』『本当に』必要!!やりたい!!」そう思えて初めてやる気が出て行動に移せるし、何よりもそれをやる意味がある。完了するまで頑張れて、しかも達成感や充実感が味わえるのも、理屈ではなく感情で「やりたい!!」と思うからです。

優先順位をつける

優先順位が高いものができないうちは低いものに手をつけない、というルールを自分に課します。

ある有名なビジネスの自己啓発家は言いました。
「毎朝起きたら、仕事にとりかかる15分前にその日やることをすべて書き出し、優先順位をつけ、そしてその順位の高いものから手をつける。ひとつ目がクリアできるまでは決してその次のものに手を出すな」
この助言に従って、業績を飛躍的に伸ばした経営者もたくさんいるそうです。

ゼロベースで考える

日本人の美徳のひとつに、「始めたことは最後までやるべき」という考え方があります。
(中略)
しかし、場合によっては最後まで続けることで、結果的に「役に立たない」ものに労力や時間を注ぐことになり、本当に必要なものに注ぎたいエネルギーが奪われてしまうのです。
ゼロベース思考とは、「もしいままだ何も始めていないとしたら……、それでもこれをやりたいか?」という発想です。

過去に費やしてきた労力や費用がなかったとして、今ゼロから始めるとしても、やっぱりやる価値があるか。トータルで考えてそれをやる意味があるか、これをその都度考えるのが、ゼロベース思考です。
(中略)
途中であっても、新たに際決断します。「やめる、逃げる」ではなく、「本当に必要な別のものを選び直す」、そんな決断です。
そして途中のものであっても先延ばしリストから外す。もったいないといって時間を費やしているほうが、本当はずっともったいないことなのです。

休む時間も機械的に取ってしまう

お勧めなのが、寝る時刻にアラームをセットすること。
朝、起きる時刻はたいてい決まっていて、会社ではタイムカードを押す、というように、朝は自分で意識的に時間を決めます。夜も同様にタイマーで自分の時間を選べるのです。
寝る時刻を朝や昼のうちに決めるのは難しいので、家に帰ってきて、一通りのことが終わったら、だいたいこのくらいに寝るというように自分で就寝時刻を決めてアラームをセットします。
(中略)
休む時間をとったら、ほかのことを何も気にせずに休むことに没頭します。これが、短時間でもエネルギーを補給し、次のよいパフォーマンスにつなげる秘訣です。

習慣化した「先延ばしパターン」を始めない

習慣化したパターンは、意識せずとも機械的に始めてしまうもの。先延ばし撃退では、こんな習慣化を断ち切ることも大事です。
そのためには、家に帰ってもテレビをつけない、つけないためにテレビの向きを変えてしまう、極端に言えばテレビのリモコンの電池を抜いてしまうなど、その習慣が始まるところを断ち切ることが必要です。
(中略)
習慣というのは、必ず連鎖しています。この番組のここだけ、この新聞のここだけと思っていても、習慣の中で次から次へと行動が進み、時間が過ぎていってしまう。
習慣を断ち切るためには、「はじめから手をつけない」ような状況設定が効果的です。

「やる」「やらない」をわける

優先順位は低くないけれど、やると言いながら3ヶ月以上、半年も1年もしていないことは、そのリストからいったん消します。
なぜなら、行動すべきは「いま」ではないから。「やりたい」と言い続けているだけだからです。
(中略)
やるなら全部をやらないとと思いがちですが、そのうち重要ないくつかをやっただけで充分な成果が得られるのなら、すべてをやってクタクタになるよりも、ずっとハッピーです。
やると決めることも大事ですが、思い切って「やらない」と決めることも重要です。

優先順位の低いものを切り捨てる

切るときは思い切って、バサッと切る。
(中略)
やりたいものをたくさん挙げて、ひとつひとつこなすことで時間を取られ、毎日毎日しんどい思いをする割には成果が出ない。
こんな状態になるくらいなら、「いまはこれを集中してやる」とひとつを際立たせる。この成果が出るまで次はやらない、と決めること。
「やりたい、やりたい」と思っているだけで何も始めていないのなら、一度思い切って断ち切って、今必要なことにエネルギーを注ぐ決意をします。
(中略)
これだと思ったことにフォーカスして、結果を出し、効率よくできるようになると、自分の能力がアップします。すると、結果的には、一度切ったものもいずれできるようになる。だから、切る勇気が必要なのです。

エネルギーのムダ使いをやめる

やらないと決めたら、リストから完全に外します。心の中で「とりあえず保留にしておこう」と思うのはやめます。なぜならそれはまだ意識を向けている状態だからです。
例えば、携帯電話のバイブレーションがポケットの中でブルブル震えている状態。それを完全に無視して、別の作業に集中できますか?
(中略)
リストから捨て切っていないものがあるということは、これと同じ。「他のことはしていない、だからこれに集中している」と思っていても、実際は100%集中できていない。
だったら、いったんバッサリ切り捨てる。マナーモードではなく、オフモードにするのです。
(中略)
もう一度先延ばしリストを見て、やりたいやりたいと言い続けてきたけれど、今はいったん切ろう、と決めたものは思い切って削除する。「やらなきゃ」と考えている時間を削除しただけで、やりたいことをする時間がプラスされます。
そして、大事なこと、肝心なこと、本当に重要なことのほうに、自分の意識とエネルギーを向けましょう。

*1:もともとの性格もあったかもしれませんが