毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

なぜ北島は「オリンピック2種目2連覇」できたのか☆☆

4052030311北島康介 夢、はじまる
折山 淑美
学習研究社 2008-07
価格 ¥ 1,260

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著者の折山淑美さんはスポーツライターで、陸上の高野進末続慎吾、ジャンプの原田雅彦他、一流選手の本も何冊も書かれている方だ。北島のことは2002年から追い続けているという。その著者が丹念に書き上げたドキュメント。文句なく面白い。

前に読んだ北島のコーチ・平井伯昌さんの著書「見抜く力」に書かれた内容を裏側から見るような面白さがあった。コーチの視線で見たことを、今度は選手の側から見ることができる。

もちろん、基本的な内容は同じで、平井コーチの言葉もたくさん登場する。やはりここでもブレがないのは素晴らしいと思った。しかし、コーチがすべてを把握しているわけではないので、この本で初めて知る事実も多かった。特に、いい時や悪い時、北島のメンタル面で何が起きていたのか、どう考えていたのかなどはやはり本人にきっちり取材して書いたであろうこの本に詳しい。

これを読んで、いわゆる「強心臓の若者」というイメージだけではない北島を知ることができた。実はとても繊細な面があることや、周りに感謝する気持ちを常に持ち、一生懸命他の選手を応援する姿など、マスコミの報道だけではわからなかったと思う。


この本を読んで思ったのは、北島の考え方が素晴らしい、超一流ということだ。ケガをした時どう考えるのか。自分の持っていた世界記録を破られた時どう受け止めるのか。その辺が普通の人とは違う。

子どもの頃の写真を見るとわかるが、本当に小さくてガリガリに痩せていて、将来オリンピックで金メダルを取れる選手になるとはとうてい思えない。確かに、平井コーチが目力の強さを見て「こいつはいける」と思った、というエピソードも紹介されているが、辛い練習も、度重なるケガやアクシデントも乗り越えられたのはやはり考え方、受け止め方だと思う。

ひとつの「できごと」は、その受け止め方でよいこととも悪いこととも取れる。無理矢理いい方向にねじ曲げるのではなく、淡々と「どう受け止めれば自分にプラスになるか」を選んでいるような印象を受けた。

生まれつきの素質がなくても、強い気持ちとさまざまなできごとに冷静に向かい合うことができれば結果が出せる、という凄さを見せてもらったと思う。


ちなみに、この本は文字も大きく、漢字にふりがなが振ってあります。子どもも読める本ですが、北島の強さをしみじみ感じられる良書だと思います。