![]() | 人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書インテリジェンス) 岡野 雅行 青春出版社 2008-06-03 価格 ¥ 788 by G-Tools |
勉強は嫌いで学歴は国民学校初等科卒。10代の頃は近くにあった「玉の井」という遊郭に入り浸り、お姐さんやその筋のお兄さんに可愛がられながら世渡りのことはその時に学んだという。そんな人がこうやって世界を相手に仕事をしているのだから、学校の勉強だけができても意味がないなあ、と思ってしまう。
おそらく、昔ならそんなことは親が教えてくれたんだと思う。たとえば、「ごちそうしてもらったらその後相手に4回お礼を言う」とか、「人づきあいにお金を惜しんじゃいけない」とか、生き金の使い方や人とのつき合い方などは、何世代か前までは自然に受け継がれていたのだろう。しかし、今はそれができない人が増えている。だから、それをきちんとできる人は評価されるのだ。
ちゃきちゃきの江戸っ子口調で、自慢話に聞こえる部分もあるが、ああなるほどと思うところがとても多い。周りからこんなことを教われない人はぜひ読むべき1冊だと思う。
岡野さんは恐ろしいくらい人を見抜く目を持っていて、大企業とつき合う時も担当者を見て決めるそうだし、小さい会社だからとなめてかかってきたところには情け容赦ないというエピソードも出てくる。でも、筋が通っているので痛快だ。もちろん、それは他には真似できない技術があるからこそできることなので、やはりやりたいように仕事をするには、それだけの実力が必要なのだ、ということに気づかされる。
情報を持ってくるのも人だし、対企業であってもやっぱり人間関係がすべてを決めるのだなあと感じた。
こんな話は他の本では読めない。おすすめです。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
仕事を成功させたいんだったら、しゃべらなきゃダメだよ。
技術の説明ひとつするんだって、ヘタなしゃべりじゃ、まどろっこしくて聞いていられない。相手に合わせてポイントをかいつまんで、ちゃちゃっと説明するから、「こいつは使える!」ってことになるんだよ。
一番価値があるのは情報を持っている人間
一晩で20万円、30万円使うことだって珍しくないけど、「どのくらい発注があったら、回収できるかな?」なんてケチなことを考えたらダメなんだ。
「今日は楽しかったな。岡野のおやじ、つきあうとおもしろいじゃないか」
そう感じてもらえれば充分なんだよ。釣りでいうコマセ(撒き餌)を、
「こんだけ撒いて、鯛が3枚上がらなきゃ、元は取れないな」
なんて考えて撒くやつがいるかい?釣果は二の次、その場は損得抜きで、豪毅にパッと撒いてこそのコマセだろ。
一番価値があるのは、情報を持っている人間なんだよ。だったら、その人間にお金を注ぎ込むのは当然じゃねぇか。
何とかお金をかけないで情報を得ようなんて考えるから、最高の情報源である人間にそっぽを向かれちまうんだよ。人間を大切にする。大切にするためのお金は惜しまない。それが世渡り力の原点だな。
向こうから勝手に入ってくる情報は、
たいがいあてにならねぇもんだってことは、知っといたほうがいいよ。
人からものをもらった時は、「倍返し」するといい。
たとえば、3000円の菓子折をもらったら、6000円のものを返すんだよ。
「岡野さんは、これが好きだって言ってたから、今日持って行ってあげよう」
その気持ちがありがたいよな。その気持ちへの感謝が3000円分だ。そして、当然、品物に対しても同額をお返しする。合わせて6000円ってことになるわけだよ。
これはいわゆる義理のうちだけど、欠かさないことで、仕事にも影響してくるね。何かあれば、
「ふだんから、あんなに義理堅い人なら、仕事を任せて間違いないだろう」
ってことにもなるからだよ。
お返しの分の何百倍、何千倍ものいいいことが起きる、ほんとだから覚えておくといいよ。
百万もらったら5万か10万は返す
俺は100万円儲けさせてもらったら、必ず、相手に5万とか10万は返してやるね。全部自分の懐に入れない。それが相手の会社やその人間との関係の根っこになるんだ。
失敗から成功の糸口が見つかる
当然、最初からうまくいくわけはないよな。失敗はするさ、何度も何度もね。その失敗から成功の糸口が見つかるんだよ。俺は絶対諦めないからね。失敗するたびに、「おぅ、また、ゴールに一歩近づいたよな」と思うんだ。それで引き受けた仕事は全部ものにしてきた。失敗するほど腕は上がるんだ。
別荘と愛人は絶対持つな!
いくらお金を持っても、身の回りにはできるだけよけいなものをくっつけないで、シンプルにしとくのが、生きたいように生きるコツだってことを教えてくれたんだって気がするね。
まず基礎固め
人よりすぐれたものを手に入れるには、ガッチリ基礎固めをしておくことなんだ。基礎がグラついてたんじゃ、いっぱしの技術だなんだって言ってみても、しょせん、付け焼き刃でしかないんだよ。
*1:過去の読書日記にあると思うのですが、探しきれませんでした…