毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

情報版“捨てる技術”☆☆☆

情報は「整理」しないで捨てなさい
奥野 宣之
PHP研究所(2009/12/16)

¥1,260

情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]*1の著者、奥野宣之さんがご自身の情報の整理法について書いた本。これがまた独自の方法で面白い。

時間を効率よく使うために、奥野さんは“不要な情報ははじめから取り込まない”というポリシーをお持ちだ。この本で紹介されているのは、すべてそのスタンスに基づく方法だ。名付けて「戦略的インプット」。その流れは次のようになる。

1.目をつくる
2.広く情報に触れる
3.使えるかを判断する
4.捨てる・拾う

ここでいう「目をつくる」とは、一般的に言う「アンテナを立てる」と同じ意味と考えていいだろう。何かに関心をもったとたん、それに関する情報ばかり飛び込んでくる。その時、自然と切り捨てられるものもあるのだ。どんな情報が欲しいのか、しっかり絞り込むことが「目をつくる」ことにつながる。

この時のポイントはふたつ。
ひとつは、必要な情報を切り捨ててしまわないためのしっかりした判断基準。
そしてもうひとつは、人と同じものは取らない、という潔さだ。

人と同じインプットではアウトプットも同じになってしまう。それでは人との差別化ができず、生き残れないという。独自性を打ち出すために、何を捨てて何を残せばいいのか?そのコツが紹介されている。さすがは業界紙の記者として活躍されてきた人だと思った。


個人的に一番役に立つと思ったのが、「同じ文書や資料を2回読まないための工夫」。
とにかくひたすら捨てまくっている。入口で選んでしまうのだからいつも真剣勝負だ。セミナーに参加しても資料は必要なページだけを残してあとは捨ててしまうそうだ。1ページでも必要な部分が少ししかなければ、それ以外のところは大きく×をつけ、必要なところだけ読めばいいように選別する。

きれいなまま保存しておくと以前読んだかどうかわからないが、そうやって×をつけたり手を加えておけば、時間が経ってもすでに読んだものだとわかり、時間の無駄が省けて一石二鳥だそうだ。

この本は情報の捨て方がテーマだが、姿勢としては『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣 (中経の文庫)』と同じだと感じた。必要なものだけを残す。要らないものははじめから入れない。これを徹底すれば、生き方まで変わりそうな気がする。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

違いはインプットから始まる(P44)

はじめの「情報収集」が大事、というのが本書のスタンスです。
ほかの行程はすべて、この土台に左右されるからです。
読んだことのない資料を分析したり、そこから考えを深めることはできないし、体験しないと出てこない発想だってあります。
いい企画書を作る条件として、アイデアや表現技法をあげる人は多いでしょう。
でも、第一の段階として、「インプット」があることはあまり言われません。
文章を書いたり、プレゼンテーションしたりすることを「情報の出口」とするなら、インプットとは「情報の入口」。ここにもっと、注意を払うべきなのです。

その場で処理する(P45)

「戦略的インプット」は、情報を大量に集める技術ではなく、よけいな情報を捨てて、使える情報だけに自分の頭で向き合うための技術です。
それも、いったん集めてから捨てるのではなく、「その場で処理する」のです。
情報に出会った瞬間、その場で、捨てる・拾うの判断をして、実際に手帳にメモしたり、書類を捨てたりという行動まですませてしまいます。

情報をため込んでから整理や分析をするのはやめる。情報と出会った瞬間、その確信をつかんで保護し、その他はもう眼に入らないよう捨て去ってしまおう(P46)

即座にさばいて捨てること(P47)

を新聞だけでなく、雑誌や書類、テレビ、会議での発言や配付資料など、あらゆる情報に対して適用すれば、その効果は、仕事の成果を変えてしまうほどの大きなものになる。
「戦略的インプット」が、ためてから整理するふつうの情報整理と大きく違うのは、この「瞬間芸」としての性格です。膨大な情報に触れざるを得ない現代人にとっては「その場で処理」がベストなのです。

人と違うアウトプットをするためには(P56)

まず
「自分にとって何が重要か」
「自分には何が要らないのか」
検索エンジンでも新聞画面の作成者でもなく自分の頭で判断することが肝心です。
次に、その判断に応じて、限られた時間や労力の範囲で、
・メモを取っておく
・スクラップしておく
・いつでも手に取れる場所に置いておく
・一定期間だけ保管しておく
・邪魔にならないよう捨て去る
といったアクションに落とし込むことが必要になってきます。

人間の能力には限界がある(P57)

し、仕事には〆切があります。なので、ただやみくもに、役に立ちそうな情報を集めていてはキリがない。情報をさばく時間や手間といったコストにも気を払っておかなければなりません。
・触れる情報が役に立つかをできるだけ簡単に判断する
・自分が使えるものだけを手間をかけずに拾い上げる
・どんなに他人が重要だと言っても、自分が使えないなら、あっさり捨て去る

「知らぬが仏」戦略(P63)

最終目的は「アウトプットする」であって、ライフワークとして研究しているのではないのだから、ノイズになる情報はあえて取り合わない――。これを僕は「知らぬが仏戦略」と呼んでいます。

人と同じアウトプットにならないために(P85)

これをあらかじめ防ぐ方法は、ウェブ検索や新聞のような誰もがアクセスする情報ソースに「自分だけの情報ソース」を加えて「二階建て」にしておくことです。
僕の例を挙げると、まず
・新刊やベストセラー
・新聞や雑誌、テレビ
・有名ブログ、サイトなど
といった誰もがアクセスするメディアから、世間で流行っていることや他の人が関心を持っていることをつかんだ上で、
・親書や文庫のロングセラー
・古典や小説
・百科事典や参考文献
・専門家の書いた入門書
・ウェブの掲示
などを読んだり、家族や別の仕事をしている友達から意見を聞いたりする。

ストレートニュース」が点なら、「まとめ記事」は点をつなげた線(P182)

ストレートニュース」を追うのは、株価を見て「上がった、下がった」と、ひとつひとつの動きにいちいち騒ぐようなものです。それより、1週間や1ヶ月の動きを俯瞰的に見て、「最近の株価にはこういう傾向がある」と把握する方が、判断の役に立ちます。「ストレートニュース」を解釈してみせるという点で、「まとめ記事」はインフォメーションよりインテリジェンスに近い*2と言えます。
(中略)
短絡的な情勢変化にまどわされないためには、どんどん出てくるストレートニュースは放っておいて、「いったん『まとめ記事』がでるまで待つ」というのも有効な方法です。

捨てる本を記録しておく(P188)

捨てる前には、並べて背表紙の写真をデジカメで撮っておきます。この画像をパソコンで見れば「探している本が見つからない!」という時に、すでに手放した本かどうか、すぐにわかります。

書類に「×」を書く(P214)

情報を「捨て去る」ためには、見ないと決めた箇所に「×」を入れるのもいい方法です。
10枚の書類のうち、最初の3枚ですべてが言い表されていると思ったら、後の7枚に大きく「×」を書く。こうしておくと、この書類の束をもう一度取り出した時、不要な7枚に時間を食われることがありません。これはその7間を捨て去るには不安を感じる時や近くにゴミ箱がない場合のやり方です。
僕は×を書く時に赤のダーマトグラフ(紙巻きの色鉛筆)やサインペンをよく使います。不安なら、間違っても消せるようまずは鉛筆でやってみてください。自分が一度でも目を通したものには、痕跡を残しておくと、再読する時の労力がぐっと下がります。

人が払える関心の量は限られている(P216)

無駄な情報を捨て去れば、それだけ自分にとって有用な情報に払える関心の量が増えるのです。

願望はメモして冷静になる(P222)

僕は「頭の中のことは、書かないと正しく認識できない」と考えています。
どんなに頭の中で「いいアイデアだ」と思っても、いざ書いてみると「あれ、つまらないぞ」ということはよくあります。
(中略)
自分の理解も同じです。よくわかっていると思っていることでも、いざ文章にしようとしてみると、まったくできなくて、愕然とすることさえあります。
脳内では、かなり自分にひいき目になっているのでしょう。書いてみると、たいていはがっかりします。
「ほしいもの」や「やりたいこと」も、頭の中にあるアイデアや考えと同じで、書くと、冷静にすぐ見つめることができます。

一番よくないのはノートにメモ/資料にも書き込み(P230)

一番よくないのはノートにメモを作った上で、資料にも書き込みをするケースです。これをやると、参照する時両方に当たらねばならなくなります。やむを得ず図版やグラフに書き込んだ時は、面倒でもその部分を切り抜いてノートに貼って、情報を一元化しておいた方がいいと思います。

本書で紹介した「戦略的インプット」は、情報を捨てることを通じて、いちいち頭を使うという「仕組み」です。

*1:『読書〜』の方は読んだんですが、まだUPしていませんでした。前後しますが、明日UPします!

*2:軍事分野では、一次情報を「インフォメーション」と呼び、それに分析や評価を加えた二次情報を「インテリジェンス」と呼びます(P134)