毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

必ず心に響く言葉がある☆☆

プロフェッショナルの言葉
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
幻冬舎 (2010/2/9)
¥1,260

NHKの人気番組で、今は残念ながら実質お休み中の「プロフェッショナル 仕事の流儀」から出た本。非常にシンプルな作りで、あとがきでは次のように紹介されている。

2006年1月の第1回放送から08年3月末まで、ご登場いただいた81人すべてのプロフェッショナルについて、取材にあたったディレクター自身が、特に印象に残った言葉を選びました(P173)。

担当ディレクターが選んでいるので、番組での発言だけでなく、打ち合わせや、飲んでいる時の言葉などもあって面白い。こんなにたくさんディレクターがいるんだ、というのも驚きだし、人によって響くポイントが私と似ていたりちょっとずれていたりして、ふだんは表に出てこない取材する側の主観が見えて新鮮だ。


私ははじめからすべて見ていたわけではないので、本や総集編で少し見ただけの人やまったく初めての人もいるが、やはり放送を見た回の人だと、内容を思い出したり、この言葉が選ばれたんだ、とさらに楽しめた。

81人すべてが現場にいるプロフェッショナル。そのひとつひとつの言葉は重みがある。人によって響く言葉は違うと思うが、きっといくつかは心に残るものがあるはず(今回もメモは取っていますが、これはあくまで私がいいな、と思ったものです)。


装丁がものすごく斬新だが*1、この装丁を手がけられた鈴木成一さんももちろん登場している。
たぶん、どの図書館にもあると思うので、ぜひ読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

竹岡広信――漫画「ドラゴン桜」のモデルになった英語講師(P48)

「受験勉強が何の役に立つのかなんて俺にもわからん。
でもギリギリまでがんばったという体験は、いつか必ずお前らを助けるんや」

荒井良二――絵本作家(P52)

「よけいなものをどんどん捨て去って大人になっていくじゃないですか。生きるために必要なものだけを残して。でも、人間、そんなに簡単にならなくてもいいと思うんです」

山口千尋――靴職人(P40)

人は結局、自分というフィルターを通して世の中とつながるしかない。しかしそのフィルターを大事に生きている人は意外に少ないのかもしれない。
山口さんは、自らのフィルターを信じて待ち続けた。イギリスで革靴を目にした時、「本物が持つ力」を確かに感じたのだと。

中村好文――建築家(P56)

実際、住宅設計は、施主の言うとおりにすればいいわけではない。施主の、言葉にできない潜在的な要望を見極め、形にするのが建築家の仕事だ。たとえば「広々としたリビングがほしい」と言われた場合、それは「広いリビング」と必ずしも同義ではない。さほど広くなくても庭に向かって大きな窓があるとか、隠し収納がたくさんあってすっきりした部屋など、いろいろな「広々」がある。

鈴木成一――装丁家(P58)

「その仕事に向いてるかどうかは、世の中の方がよくわかってる。適職なら次の依頼がくる、来ないなら、その仕事には向いていない」

上山(かみやま)博康(P72)――脳神経外科

「批評家になるな。いつも批判される側でいろ」
この言葉は、上山さんが恩師から受け継いだ言葉だそうです。批判されるのは「何か」をしている証拠。そして、「何か」をしているのは、ちゃんと問題意識を持っている証拠。

美濃邉惠一――鬼師(鬼瓦を作る職人)(P76)

「いっぺん失敗したら、それはもう一生しいひんと。
自分を甘やかしたら、最後は自分が後悔しますね」

武部聡志――音楽プロデューサー(P82)

「アーティストの血にないものはやりたくないんです。その人の内側から出るものじゃないと、人の心は動かせないと思うんです」
聴く人の心の奥深くに突き刺さり、激しく揺さぶる“何か”。それはマーケティングからは生まれないと武部さんは言います。

藤澤和雄――競馬調教師(P88)

現実の競馬でも、データはとても重視されている。レース調教のタイム、そして馬の体重。皆、数字とにらめっこしながら馬を育てレースに送り出す。
しかし、藤澤さんはデータをほとんど見ない。馬のスピードは足音で、体重は見た目で、体調は肌で確かめる。体重などの数字データと、自分の直感がずれた時、決断に迷いが生じるからだという。
「そのデータに囚われて自分の目を信じなくなるから」
それが嫌なんだ、と藤澤さんは言った。

古澤明――量子物理学者(P94)

ゴールに近づいていても失敗を認めて一から出直す勇気がなければ、決してたどり着けないゴールがある、と古澤さんは言う。
(中略)
古澤さんに秘訣を聞くと、一から出直すためにはゴール付近でとことん失敗しつくすのが大切なのだそうだ。その失敗で自分の位置を知れば出直す勇気がでるという。

木村秋則――りんご農家(P96)

「技術はよ、心が先に伴ってから、後からついてくるの。主人公はよ、りんごの木なの」

杉野英実――パティシェ(P100)

「あたり前のことをあたり前に続けることが一番難しい」
たとえば、お菓子の飾り付けに使う木いちご。1粒ずつピンセットで持ち上げて検品し、熟していないものや傷んでいるものは選り分ける。焼き時間を秒単位で守る、分量をグラム単位で守る。
言葉にすると、どれもあたり前のこと。しかし毎日数百ものお菓子を作り続ける厨房で、ひとつも手を抜かずに完璧に貫くのはむずかしい。

奥山清行――工業デザイナー(P102)

「皆、自分を諦めすぎだと思うんです。いくつになっても自分は変えていける」

高野進――陸上コーチ(P108)

「抵抗してもしょうがない時は抵抗しない。ただ、無抵抗なんだけど諦めていないというところが大事じゃないかな」

羽生善治――棋士(P124)

「直感とは、これまで積み上げたものから迷いなく浮かび上がってくるもの」

加茂克也――ヘアデザイナー(P140)

「考えることに終わりを決めるようになりました。終わりがないと進めない、それにようやく気づいてきました」
そのきっかけは、娘さんだという。家で食事をしながらデザインを考えていると、「ねえ、パパ」と遮られることがある。ある日、それがよいことだと気づいたのだ。ぐるぐる際限なく考えていると、いつまでたってもアイデアがまとまらない。娘に話しかけられて考えが中断した時、そこまでのアイデアを、ひとまず形にしてみようと手を動かす。すると、そこから新しいデザインをひらめくことがたびたびあったのだ。

加藤博義――テストドライバー(P146)

「プロはやっぱり余裕がなきゃ。余裕は持つモノじゃないよ、作り出すモノだ」

*1:81人の言葉が全面に書かれています。私は耳なし芳一かと思いました…