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立浪和義さんといえばPL学園時代の甲子園春夏連覇が印象的だし、ミスタードラゴンズのイメージも強い。ドラゴンズファン以外にも立浪選手は好き、という人は多かったと思う。
私のイメージは、走攻守揃ったいい選手で、あっさり2000本安打を達成した*1人。何の苦労もなくスイスイと記録を作ってきたような印象を持っていたが、この本を読んでそのイメージは一変した。
体が小さかったための苦労、一流選手ばかり集まるPLでの辛さ、プロに入ってからもスランプも故障もいろいろあったのだ。知らなかった。
さらに、やはり代打になってからの苦しみは初めて知った。特に、辛さを人に見せないようにいつも心配りしていたそうなので、熱心なファンでもわからなかったのかもしれない。
この本を読むと、ふだんの心がけがいかに大切かよくわかる。経歴だけ見ると華々しく、運がいいように見えるが、この人は自分でそれを引き寄せるための努力をずっとしていたのだ。それが、口には出さなかったが本当は行きたかったドラゴンズにドラフトのくじ引きで入れたり、高卒ルーキーのために球団がショートのポジションを空けてくれたり、に結びついているのだと思った。
自身でも書かれているように、“野球の才能だけでは一流になれない”ということなのだろう。
いずれはドラゴンズの監督に、と言われるのはよく知られる話だが、この本を読んで納得した。みんなに愛される人はこんなことをしているのか、と勉強になった。
ふだん野球は見ない、という人もぜひ読んでみてください。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
星野仙一監督(当時)の教え(P48)
「悔しさから逃げるな、悔しさに慣れるんじゃない」
(中略)
「悔しさをかみしめろ。失敗をしっかり反省して、そこから切り替えるんだ」
(中略)
悔しさに慣れる選手は一流になれない。悔しさを真っ直ぐ見すえ、悔しさをバネにできる選手が一流なのだ。
目標を決めて、コツコツ努力することが好きだった(P71)
ひとりだと、妥協は簡単にできる。でも、自分で決めた目標を毎日クリアしていくのが楽しかった。自分で言うのもおかしいが、計画性があったし、それを実行する粘り強さが小学生の頃からあったのだろう。
(中略)
野球が好きだった。大きくなりたかった、上手くなりたかった。「上手くなりたい」という気持ちが人一倍強かったのだろう。暇さえあれば、野球が上達するための練習を繰り返していた。
周りの人に支えられている(P155)
いかに大勢のスタッフに支えられているかは、プロ野球に入って身にしみて感じた。偉くなって驕り高ぶる人がいる。それはとんでもない勘違いだ。自分がどれだけ実績を上げても、人に接する態度が変わったらおしまいだ。実績を重ねれば重ねるほど、むしろ周りの力が重要になる。
逃げても何も変わらない(P191)
…もし、お酒で一時的に気持ちをまぎらわせても、朝起きて現状が変わっているわけではない。プロ野球は結果がすべて。打たない限り、何も打開されないのだ。悪い時にどれだけ自分の気持ちを高めてがんばれるか。1日1日反省して、自分で気持ちを切り替えながら、新たな気持ちでがんばるしかない。
いかにシンプルに取り組むか(P211)
バッティングは…この3つだけだ。だから、その時点で自分に何が欠けているかだけを見つめて、それ以外は考えないようにした。調子が悪くなると、いろんなコトを考えて、余計なことをしてしまう。向上心を持つのは大事だが、バッティングはむずかしく考えるともうきりがない。
野球をやめる最後の2、3年でわかったことは、「いかにシンプルに打つか」だ。
*1:普通は2000本近くなる頃には代打出場が多くなり、なかなか達成できないものです。私が好きだった選手は、あと10本程度になってから2シーズンかかりました…