毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

本質をとらえるための考え方☆☆

佐藤可士和の超整理術』に続く、アートディレクター佐藤可士和さんの待望の新刊。著者の考える“クリエイティブ”の磨き方と、その実例がたくさん紹介されている。

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“クリエイティブ”と聞くと、センスが必要な限られた仕事だけのもので自分には関係ない、と感じる人が多いと思うが、佐藤さん曰く誰でも磨けば身につけられるという。もちろん、たとえばテニスをする人の中にもプロのプレーヤーから趣味で楽しんでいる人までいろいろなので、自分のレベルに合った使い方をすればいいのだ。そう考えれば案外気が楽になる。

そして、その内容が斬新だ。およそ“クリエイティブ”のイメージとは違うものがたくさんある。たとえば、コミュニケーションスキル。コミュニケーション能力がクリエイティブに必要、と言われてもピンと来ないが、実はクライアントさんの真の要望を形にするには、きちんと聞き取ることがとても大切なのだそうだ。

そして、やはり整理すること。前著の整理術とも通じるが、どんどんそぎ落としていっていかに本質をつかめるか、そこからが勝負なのだろう。


佐藤さんの本を読んでいて感じるのは「本質」の大切さだ。その、コアな部分をつかむ能力は仕事の種類を問わず必要なものだと思う。あとの表現方法はそれぞれだと思うが、ここだけでもつかめれば、この本を読んだ価値はあるはず。

本では実際のCMやブランディングした企業をはじめオーケストラ・幼稚園の写真も出ており、こんな考え方をした結果どんな作品が生まれたかを見られるので理解が深くなる。


実は録ったままで見ていなかった、NHK「仕事学のすすめ」の佐藤さんの回(2009年12月・4回)をこの機会にまとめて見たら、とてもよく頭に入った。実例もいくつか出てくるので面白い。残念ながらDVDにはなっていないようだが*1番組のムック本が出ているので、興味のある方はぜひ見てください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

クリエイティブシンキングの原点(P16)

まずは常識とされている事柄に疑問を抱き、冷静沈着な眼でさまざまな角度から観察し、検証してみること。

コミュニケーションスキルをあげるコツ(P20)

  • 人の話をちゃんと聞く
  • 話の本意を読み取る
  • 自分の考えを正確にまとめる
  • 相手にわかりやすく伝える

時代のキーワードは“リアリティ”(P65)

暮らしを取り巻くあらゆる環境が目まぐるしく変化する現代においては、表層的で飽きられやすいトレンドではなく、より本質的で現実の生活にフィットした感覚で、消費者の心を自然に捉えることが求められていると感じています。多くの人が「そうだよね」と共感できるリアリティを提示することが、強く魅力的なコミュニケーションにつながるのではないでいしょうか。

コラムニスト・天野祐吉さんのことば(P127)

「外見と中身を分けて考えている人がいるが、外見は一番外側の中身なんです」

追求することで本質に近づく(P160)

純粋に好きなことを極めようと追求していった結果、意外なものが見えてきたという感じですが、それぞれとことん深堀りしたことで一線を突き抜け、本質的なことに触れることができたのではないかと思っています。
(中略)
一度にあれもこれもと浅く広く手を伸ばすのではなく、ひとつのことにフォーカスして入り込むことが大切だと思います。
(中略)
本質的なものというのは時代の流れに左右されないコアなものですから、いろいろなことに応用でき、考え方のベースを大きく広げてくれる可能性があるのです。

身体感覚=センサー(P164)

センサーというと脳にあるものと思いがちですが、身体感覚と脳の感覚は直結しているので、身体を通して感じたリアリティは情報としても非常に質が高く量も多く、バーチャルな情報から得た知識と比べると、説得力が格段に違ってきます。

*1:ぜひDVD化してほしい。4回じっくり話を聞いているからかもしれませんが、聞き手の藤巻幸夫さんがもともとお知り合いだからか、とてもリラックスしていろんな話が出ていました