“自転車ツーキニスト”の肩書きを持つ、疋田智さんの本。今回のテーマは「小径車」。そう、タイヤの小さいその辺をちょこまか走っている自転車である。疋田さん曰く、「これから自転車*1に乗るなら小径車」なのだそうだ。なぜ??その答はこの本を読めばわかる。
私も誤解していたのだが、「タイヤが小さい」=「たくさんこがなければならない」は間違い。
何と小径車は、正しく選べば“ロードバイクには負けてもクロスバイクとはほぼ互角のスペック”なのだそうだ。早く言ってくださいよ、疋田さん。知らないからクロスを買ってしまった…*2。タイヤが小さくとも、ギアとか何だとかのコンポーネントの部分でスピードはちゃんと出るそうだ。
確かに、この本の推奨小径車*3のひとつに乗っている人を読んだ直後に見かけたが、涼しい顔でスイスイと通り過ぎていった。早くて驚いた。
そして、もうひとつの小径車の大きなメリット、それは「折りたためること」。
折りたためるから持ち運び便利。「帰りは電車」ができるから行動半径が広がる。ロードやクロスなら、往復の距離を考えなければならないが、帰りは折りたたんで電車に乗れるので、片道だけ考えればいい。行ける距離が単純に倍になるのだ。
また、裏技として「飲み会の時はたたんで電車、またはタクシー」ができるとも。ただし、店に入る前に折りたたんでしまうのが必須だそうだ。酔っていると判断力が鈍って走って帰れそうに思うので危険だが、たたんでしまえばまた組み立てるのは面倒になり、素直に電車に乗ろうと思うという。折りたたんで店に持ち込めるサイズ、というのも盗難の心配がなく安心だ。
また、具体的なコースの紹介もたくさんある。「輪行」といい、電車や飛行機で手荷物として自転車を持って行くのだが、これも小径車なら簡単。ある町まで折りたたんで出かけ、そこで走り回るのは小径車ならではの楽しみ。疋田さんは大阪に小径車を持ち込み、あちこちを走り回ったことがあるそうだ。旅先でレンタサイクルがあれば…と思うことがよくあるが、実際にそういうことができるのだ。
内容は小径車だけではなく、初心者向けの位置づけなので、基本的なことはほぼカバーされている。もちろんそこは疋田さんなので、交通ルールはやはり熱く語っている。
小径車はふだんの服装でも乗れてハードルが低いので、これから買うなら間違いなくお勧めだ。さらに、そこから本格的なスポーツバイクに進出しても、小径車は目的が違うので併用できるという。
買いたくなるのを覚悟の上で、ぜひ読んでください。
おまけ:ある方のブログで見た、ブロンプトンの折りたたみ方の映像。これを初めて見た時は衝撃を受けた。手品かと思った。ほしくなっちゃいますよね。