川喜田二郎さんの『発想法』で、KJ法と組み合わせて使うといいと紹介されていたのがPERT法。その解説書として挙げてあったのが本書だった。1965年に出た本なので残っているかなと心配だったが、ロングセラーらしく、今でも入手可能。一部内容が古いところもあるが、入門書としては非常にわかりやすかった。
PERTとは*1作業工程を図にすることで、問題のある箇所を見つけたり最も効率のよい計画を立てられるようにするための手法だ。『発想法』では、KJ法で決めたプロセスやその順序を整理し、実行できるプランにするための方法としてすすめていた。
見るからに理系向けの手法のようで恐る恐る読み始めたが、出てきた図には見覚えがあった。
以前、クリティカルパスという概念を『頭のいい段取りの技術』で簡単に紹介してあったが、それのおおもとがPERTだったらしい*2。
この本では、結婚式を挙げるまでの段取りなど、わかりやすい例を挙げて説明してくれているので、理系ではない人にもとっつきやすいと思う。ただ、本来PERTは建設など大がかりなプロジェクトを遂行するための方法だ。企業に導入するためのポイントや、コンピュータを使った分析の方法などにかなりのページが割かれているので、個人がちょっとやってみよう、というレベルなら前半だけで充分使えるのではないだろうか。
PERTのいいところは、計画が事前にチェックできて負荷が1か所にかかるのを避けられることと、予定が遅れた時にどこに時間や費用を集中させるのがいいか判断材料になることだろう。納期間近になってあわてて人数を投入するのはよくあることだが、PERTでチェックしていれば、計画が遅れた時でも役に立たないところに人数やコストをかけるのを避けられるという。
個人で使う場合にそこまでは必要としないが、予定を立てる時にどこがポイントなのか、どこを短縮すればもっとも効率よく作業ができるか、あらかじめシミュレーションできるのは大きいと思う。
作業効率を上げたい、仕事の無駄をなくしたい、という方には一読の価値がある本です。
私のアクション:プロセスが複数あるプランでPERT法を使ってみる
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読書日記:『頭のいい段取りの技術』
読書日記:『発想法』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ*3。
荘子のことば(P84)
「ひとが分別にとんだ行動をしようと欲するならば、どうしてもやらなければならないことだけをすべきで、どうしてもやらなければならないことだけをするのが、賢者の方法である。」