意外だが、著者は図書館にいるとすぐ眠くなってしまうので、学生時代から喫茶店で勉強していたそうだ。なので、今でもたまった雑用を片づけたり、頭を整理したりするのはもっぱらカフェなのだそうだ。もちろん仕事もカフェで。それは“15分あればカフェに入る”くらい徹底しているそうだ。必要ならカフェのはしごもするという。
15分しかないのにもったいない、とふつうなら思うが、空間と時間を有効利用するためにお金を払うと割り切る潔さが、生産性を上げるには必要なのだろう。
もうひとつ、なるほどと思ったのがストップウォッチの利用。時間を測り、スポーツ感覚で作業をこなすと自然に密度が濃くなるのだという。さすがは身体性が専門の著者、これで密度を上げて仕事をし、それ以外はゆったり過ごすメリハリができているようだ。
後半はカフェじゃなくてもできるよね、という話題も出てくるのでやや無理やり感がある。ただ、漫然と時間を過ごさないコツや、自分に必要な情報をキャッチするには何をすればいいのか、というテーマは参考になる人が多いと思う。
カフェの使い方は奥野宣之さんの本などにも出ているので、やっている人にとっては「なぜ今さら?」とも思うが、知らない人には役に立つ本。さらにカフェを使っていてもいなくても、著者の生産性の秘密を知りたい人にはヒントがいろいろあります。
※ビジネスブックマラソンでも紹介されていました。ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら
私のアクション:待ち合わせをできるだけカフェにする
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
仕事や勉強にも、スポーツの時間感覚を取り入れる(P26)
たった15分や20分しかない滞在時間の中で、何ができるか。スポーツの時間感覚で仕事や勉強に取り組めるのが喫茶店です。
時間の密度は、集中度によっていくらでも濃くすることができるのです。
「喫茶店タクティクス」の7つ道具(P28)
1.手帳
2.クリアファイル
3.3色ボールペン
4.A4用紙
5.ノート
6.電子辞書
7.時計、ストップウォッチ
・手帳
喫茶店に入ったらまず手帳を開きます。…3色ボールペンを持って、1週間分、2週間分、あるいは1カ月のスケジュールをまとめてチェックします。
予定を確認すると、気持ちが整います。「ここしか時間が空いてない」といったこともハッキリします。自分の時間区分をハッキリさせていくことで、生活をシンプルに整えていくのです。
(中略)
…喫茶店では手帳を常に開いてテーブルの上に置いておきます。何か「やり忘れ」に気づけばすぐに「やることリスト」に追加します。突然何か思いついた場合にも、すぐに書き込みます。
・クリアファイル
私はふだん、仕事を透明なクリアファイルで管理しています。
(中略)
その際のポイントは、クリアファイル1枚に、プロジェクトのひとつ分を入れるというやり方です。
ちょうど喫茶店で済ませたい仕事のひとまとまりが、そのクリアファイル1枚に入っている状態です。
(中略)
出歩く時は、必ず、そうした仕事の入ったクリアファイルを1、2枚は持ち歩くようにします。
(中略)
私が持ち歩くのは、必要最低限の厳選した7〜8枚です。確実に喫茶店で終わらせられる量だけを入れます。念のために持っていこう、という程度の資料は、思い切って「必要でない」ほうに振り分けます。
(中略)
たくさんの書籍や資料を持ち歩いて完璧に仕事を終わらせようとするより、喫茶店には身軽に出向き、短時間で骨格だけ押さえる、のちほど自宅や事務所でフィニッシュさせるほうが効率的です。
「ゴールデンタイム」をあらかじめ作っておく(P34)
無駄な時間を少なくするためにも、1日のメインの時間帯を「ゴールデンタイム」と決め、その部分を手帳上で囲っておくのです。すると、極端なことをいえば、その時間帯だけがんばれば、それ以外は手を抜いてもいい。ひと目で、自分の「今日のがんばりどころ」がわかります。
ストップウォッチで集中力を高め、スピードを速める(P48)
私はよく、いろいろな人から「忙しいでしょう」といわれるのですが、実際にはかなり緩やかな生活を送っています。ストップウォッチをところどころで使ってスポーツ的に仕事をすることで、人生が豊かになります。
喫茶店は自分のメンタルを整えて、もう一度フラットにする場(P62)
仕事でむきになりすぎている時はクールダウンさせる。ちょっと淀んでなにもする気が起きない時は活性化させる。
雑用をクリアファイルにためておき「雑用セット」を作る(P69)
たとえば交通費の伝票、資料のチェック、次の会議で出さなくてはいけない書類、報告書の作成など、依頼された仕事をひとつずつファイルに入れて日付を書きます。
要するに、「一番気を重くするもの」のセットを作っておく分けです。手帳には「何日までにこれをしなければならない」とメモします。
情報は新鮮なうちに冷凍保存する(P82)
本を買って一番気持ちが乗っている時に「自分のもの」にしてしまうことです。
漁船が魚を捕ったら、瞬間冷凍してから港に帰ります。瞬間冷凍によって鮮度が保てるわけです。喫茶店を、本の「冷凍処置」の場所として使うのです。
弱点とは向き合ってしまったほうが、実は楽になれる(P99)
原因がよくわからないままうまくいかなかったり、失敗ばかりが続くほうが自分を追い込むことになるからです。
間違いの原因を自分で視覚化することで、同じ間違いをしなくなります。
問題はできるだけ細かく分類して整理していくのがコツ(P113)
ひとつずつつぶしていくと、「案外大丈夫なものだ」という気分になってきます。
いやなにおいが発生する時は、必ずそのもとになるようなものがあります。それをごまかしてフタをしても問題は解決しません。つぶさなければならないものは、つぶすしかないのです。
機会があったら聞きたいことを常に用意する(P115)
たとえば手帳に「赤ちゃんのいる人に、何となく聞いてみたいこと」といった、漠然とした思いつきをメモしておくと、情報収集の範囲がグッと変わってきます。
ふだんからそうした情報整理ができていることが、仕事をしていく上で大切です。その整理の段階を喫茶店でするのです。喫茶店は、これから起こりうる状況に対してシミュレーションをし、「情報の海に漁をしに出ていくための網を作る場所」です。
(中略)
自分の中に課題や懸案があれば、ふとした瞬間に、こうやって雑談がてらでも充分に情報収集ができるわけです。
(中略)
「自分が今関心を持っていること」「今何が気になっているのか」と、自分を見つめ直す時間が必要なのです。
(中略)
心に引っかかっている懸案事項を整理することで、情報社会の中をただ泳ぐのではなく、自分専用の網を持って漁に出かけることができます。
つねに5つぐらいの懸案フックをリストアップしておくと、いろいろな人に対してコミュニケーションをはかることができるでしょう。