サブタイトルの通り、作家・村上春樹さんの1997年から2009年にかけて行われたインタビューをまとめたものだ。
この本が出ることを知ったのは、実はビジネスブックマラソンだった。ビジネス書じゃないのに?と思ったが、“一生取っておきたい本となった”と書いてあり、そんなに評価が高いのか、と思ってうれしかった。
探書リストに昨年書いたままになっていたのを先日発見し、読んでみた。
土井さんが書かれているように村上春樹ファンじゃなくても楽しめると思うが、やはりファンにはこたえられない1冊だ。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら
12年にわたるインタビューで、日本だけではなく、海外(台湾、中国、アメリカ、スペイン、ロシアなど)のものも収録されているので海外での評価やとらえられ方などもわかって興味深い。
とはいえ、やはり深いところまで突っ込んで聞いているのは日本でのインタビューだ。特に、村上春樹ファンを公言する作家・古川日出男さんが聞き手の、最後に収録されたものが一番面白かった。タイミング的には『1Q84』が完成し、発売を待つばかりという時だ。
私もファンだと言いつつ、知らないことがずいぶんあった。村上さん本人も結末は知らずに書いていること。ひとつひとつの長編に、それぞれテーマを決めて書いていたこと*1。
日本や東アジアと、欧米での受け入れられ方が違うこと。また、海外ではデビュー作と第2作*2が入手不可能となっていること*3。
一番面白かったのはやはり日々の過ごし方や、短編〜長編の書き分けのリズムだろうか。こんなストイックな生活をしている作家は地球広しといえども、村上さんの他にはいない気がする。
毎日何時間、と決めて机に向かい、きっちりそれだけの間執筆する。そしてそれを長編なら1年以上続けることもあるそうだ(手直しを綿密にするので)。
まるで修行僧のようだと思うが、体を鍛えることも含めてご本人は好きでやっているそうだ。
これだけのことをやっているから、あれだけの結果が出せているのだ、という当たり前のことを再確認した気がする。
実は私は『ねじまき鳥クロニクル』(3部作)を最後に、ほとんど村上さんの作品を読んでいない。一番大きな理由は“住環境が変わって、ハードカバーを出るたびに買っていたら大変なことになる”という間の抜けたものなのだが。
この本を読んだら、長い空白を埋めたくなった。
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メモは取りましたが、個人的な好みが反映していると思われるため、今回はUPしません。ご了承ください。
土井英司さんの「赤ペンチェック」はなかなか面白いところを選んでいるな、と読了後改めて読んで思いました。興味のある方はそちらをどうぞ(上のビジネスブックマラソンの紹介記事に出ています)。