毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

日本という国を貫くもの☆☆☆☆

小飼弾氏の『空気を読むな、本を読め。』で紹介されていた本。
著者の名前はいろんなところで見かけるが、著書を読んだのは初めて。とても読みごたえがあり、深い満足感を覚える本だった。


もともとこの本のベースは、NHK『人間講座』で8回にわたって放映された「おもかげの国・うつろいの国」だという。ふたつの章が新たに加えられ、加筆訂正削除*1も施されているが、もともとがテレビの語りなので、すうっと頭に入る文章だ。


内容は「おもかげ」と「うつろい」という言葉を鍵にして、日本の古代から現代に至るまでをほぼ年代順に見ていくというもの。
こんな風に知的興奮を感じる本は久しぶりだった。今まで自分の中でばらばらだった歴史のできごとが、著者の手にかかるとひとつに連なるのだ。古代の中国・韓国と関係、中世の権力と文化の移り変わり、幕末と維新の本当の意味など、流れが見えてくる。
事実の丸暗記だけでは面白くないが、こんな風に歴史や文学史の授業をやってくれればいいのに、と思った。


驚いたのは、語られているほとんどに出典が書いていないこと。歴史関係の本は根拠が必要だとして書籍や論文を注釈にあげるのが一般的だ。それが、この本には「誰々の何という本にはこう書かれています」と一部言及しているものの、ほとんどが著者の言葉でそのまま語られている。
出典がないというのはすでに“自分のものになっている”からだろうし、自分の考えとして責任を持てるということでもある。

読みながら、池上彰さんの書かれていたことを思い出した。専門家ほどやさしい言葉で説明できる、大胆に簡略化できるという意味のことを確か『<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)』で読んだのだが、まさしくこのことだ、と思った。

ブクログでは途中で挫折した、むずかしかったという感想も多かったので、人を選ぶかもしれないが、読みごたえのある本を求めている人にはぜひ挑戦して欲しい本。
文中で触れられていて興味を持った、著者の『フラジャイル』を次は読む予定。
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*1:あとがきにこうありました