だが、結果的にはこの本でよかった。シンプルでわかりやすく、初心者向きの本だったからだ。
著者は長年さまざまな学校でロジカルシンキングを教えている人だ。そのキャリアの中でポイントと思われるところだけに絞り、わかりやすく説明してくれているので、自分にもできそうな気がしてくる。著者によれば、
「これだけやれば、論理的な思考に変われる」というキモ中のキモを取り出し、まとめたのがこの本(P3)
だそうだ。
使うのはフレームワークの基本、「ピラミッドストラクチャ」のみ。これを、3ステップで自分で作れるようになる。はじめは「こんなの自分で作れるの?」と思うが、順番に課題をやっていけばちゃんとできる*1。
初心者がうんざりしないよう、工夫もたくさんほどこされている。2色刷で図もたくさん載っているし、ウサギとネコのイラストがポイントを教えてくれるなど、お堅いジャンルとは思えないハードルの低いつくり。
さらに、ロジカルシンキングにはイシュー(問い)が欠かせないが、練習問題がすべて身近な例になっているのだ。たとえば、彼女とおうちデートをしたい、家族みんなは犬派なのに自分だけ猫を飼いたい、これをどう論理展開すれば説得できるか考えてみる。
因果関係を図にする練習では、「マイバッグをもつとなぜ環境にいいのか?」「最近、自転車が人気なのはなぜか?」など、考えてみたくなるイシューが取り上げられている。
さらに、ピラミッドストラクチャをしっかり作れば、その後さまざまなツールに展開できるという。文書やパワーポイント資料、WebやA4×1枚のサマリーまで、どのように展開すればいいかがくわしく説明されているのでとても便利だ。単なる理論としてではなく、この本では「毎日使えるもの」として考えられているのだ。
私もブログの記事を書く前に簡単にピラミッドストラクチャを書いてみることにした。これで書く時間が短縮できるかしばらく続けて検証してみたい。
ロジカルシンキングが苦手な人には特におすすめです。他のむずかしい本を手に取る前にぜひ。
私のアクション:ピラミッドストラクチャで整理してからブログの記事を書く
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読書日記:『プロの課題設定力』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
イシュー(問い)を立てる時のポイント(P29)
※イシュー=疑問文で考える
疑問が頭に浮かんだら、ちゃんと疑問文にしてみること。疑問の中で似ているものがあったら、「同じ疑問なのか、違う疑問なのか」を考えてみること。さらに、その中で今一番考えたいのはどれか、考える価値があるのはどれか、絞り込む。
ピラミッドの基本は、キーラインメッセージから上に持ち上げて考える(P57)
※キーラインメッセージ=メインメッセージを支える3〜5個のポイント
「So What?=要するになんなの?」という問いが、一番重要な問いになって、なるべく下から上に考えるのが、基本のキ。そのうえで、下から持ち上げた論理展開が正しいかどうかを、時々上から下に向かって「Why?=なぜなら」で確認する(以下略)。**因果の図を作る時には(P93)
因果関係は前後(原因と結果)をよく取り違えたりするので、前後を入れ替えながら考えていくんだ。
付箋紙に情報を書いて追いいて、台紙に貼って、矢印を書きながら因果関係を考え、入れ替えたり、思いついた原因を付け加えたりしながら考えると、うまくできる。
ピラミッドストラクチャがあれば、さまざまな説得ツールに加工できる(P145)
実際にピラミッドストラクチャを使って説得ツールを作る時は、全体の時間の中で70〜80%程度を(ピラミッドストラクチャ作成に)かけるくらいがいい。
*1:もちろん、あとは日々練習しないと、本当に自分のものにはなりません