この本との出会いも不思議な流れだった。きっかけは岡田斗司夫さんの『あなたを天才にするスマートノート』の読書日記を書くため検索をしていて、たまたまヒットした個人のブログ。スマートノートに関する記事の次に「あな吉式手帳術」という見出しがあった。あな吉式って何?と思って読んでみたら、これがすごく面白そうだった。そのブログの方*1は、“あな吉さん”の講座に通い、この手帳術に移行して半年以上経った記事でもいろんなことがうまく回るようになった、と絶賛されていた。
手帳大好きな私として、これは見過ごせません。さっそく図書館で借りてみた*2。これが本当に「かゆいところに手が届く」手帳術だったのだ。
著者・あな吉さんこと浅倉ユキさんはゆるベジ料理研究家。教室名「アナザーキッチン」から、通称「あな吉さん」と呼ばれているのだそうだ。
この手帳術は家事も育児も料理教室も、とフル稼働するご自身の試行錯誤から生まれた方法。教室の生徒さんから「あな吉さんは何でそんなにいろいろできるんですか?」と聞かれて説明しているうちに、「手帳術の講座」に進化したという。
なので、全編主婦目線だ。でも、子供があってもなくても、今仕事をしていてもいなくても、家事全般を引き受けている人なら誰にでも当てはまる大変さを軽減してくれる手帳術だと思う。
その1:主婦の仕事は、突発的なことの連続である!
その2:主婦の仕事は、終わりなきルーティンワークである!
その3:主婦の仕事には、さしせまった締め切りがない!
その4:主婦の仕事は、効率的な流れを作りにくい!(P45)
実際に、仕事のスケジュールはちゃんとできていたのに、主婦になったとたんうまくいかなくなった人や、「みんなちゃんとやっているのに、自分だけなぜこんなにできないんだろう」と自己評価を下げている人が多いのだそうだ。私もこのタイプかも、と読んで思わず涙してしまった。
でも、ビジネスとは考え方を変えて、主婦向き(というか家事向き)のやり方を取り入れればいい。特にむずかしいことはない。一番大切なのは“発想の転換”だ。
実は私には、何年も前から試行錯誤していたことがあった。こういうスケジュール管理ならうまく行きそう、と考えていたのは
- 付せんを使い、終わったらはがす
- やるべきことを1週間単位で管理し、一目見てわかるようにする
の2点。それと、スマートノートの本を読んで以来「頭をからっぽにする」ことの大切さを改めて感じ、いい方法はないものかと思っていた。
あな吉式手帳術は、これが全部クリアできる方法なのだ。
基本的には
- A5サイズ、6穴のバインダーを使う
- マンスリー・ウィークリーを両方使う
- 付せんにやることをすべて書き出し、効率のいい手順を考えながら段取りを決める
- 携帯用6穴パンチで、すべての情報・資料をファイルする=一元管理
というやり方。
手帳=あなたの脳みその外部記憶装置(P104)
なので、必要なことは全部手帳にあるわ、と安心して目の前のことに集中できるようになる。
もうひとつの大きな特徴は、この手帳術を使えば、「夢が叶う、近づける」という点。大きな夢でも、チャンクダウンし、締め切りを決めて今できることからやっていけばあら不思議、叶ってしまうのだ。
あな吉さんはご自身が辛い経験をされていたからか、とてもやさしい。タイトルにもある「がんばらなくても続けられる」が他の手帳術との大きな違いだと思う。
そしてこの本の最後に、ハッとすることが書いてあった。
大人というのは、いつも自分で、自分をゴキゲンに保たなくてはいけない。それが、大人の責任である。わたしはそう思っています(P230)。
そのためにも、やりたいことをやって、毎日少しでも進んでいる、という実感が必要なのだという。
このブログのタイトルと似ているのは偶然だが、深く心に響いた。
近々、プロジェクトとしてこの手帳術をやってみることにしたので、興味のある方はもう少しお待ちください*3。そんなの待てないよ、という方はぜひ読んでみてください。
私のアクション:実際にやってみる!
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
手帳は暮らし方のレシピ(P25)
実は手帳術とは、いつもの暮らしのあれこれを、遠回りせず、ムダなく行うために、「暮らし方をレシピ化すること」なのです。今日1日をいきあたりばったりで過ごすのではなく、「このとおり動けばラクだよ!効率的だよ!」と、あらかじめ書いてあるものが、手帳です。
手帳=紙製のノートパソコン(P76)
わたしはこの手帳を、「大きめの手帳」ではなく、あらゆる情報が詰め込まれた「軽い紙製のノートパソコン」だと思っています。だって、これさえ持っていれば安心、どんな情報も引っ張り出せる。それくらい便利なものなんですから!
「主婦のための手帳術」3つのポイント(P102)
その1…フセンの徹底活用(=材料)
その2…週間スケジュールページの徹底活用(=手順)
その3…すべての情報を手帳に一元化(=失敗しないコツ)
すべてをフセンに書いて手帳に貼る(P108)
情報を書いたフセンはすべて手帳に貼って、ひとつにまとめておきましょう。なんでもすべて「フセンに書く」→「手帳に貼る」という習慣をつけておけば、大事なメモをなくしたり、家に起きっぱなしにして困ることはありません。
家のあちこちにフセンとペンを置いておく(P118)
わたしもキッチン、寝室の枕元などにフセンとペンが置いてあり、思いついたらすぐにメモ!書いたものは、あとで手帳に貼っておきます。1日10〜20枚は当たり前。とにかく頭をよぎったことはみんなフセンに書いて、これをすべて、手帳の「やることシート」に貼りつけていきます。
自転車に乗っていても、ひらめいたら書く(P118)
私は自転車に乗っている時でも、何か思い出したり、ひらめいたりしたら、サッと自転車を道の端に寄せて、手帳を開いてパパッとフセンに書きつけるようにしています。
(中略)
…頭が何かをキャッチしたら、逃さない。すぐにフセンに閉じ込めちゃうことが大事なんです。
1日の段取りを決めるポイント(P129)
1.月間スケジュールと週間スケジュールをリンクさせて、「スキマ時間」を見つける
2.週間スケジュールに「やることフセン」を落とし込んで、1日の段取りを立てる
フセンの山を片づけるためのポイント2(P164)
1.まずは「やるべきこと」と「いつかやりたいこと」に仕分けする
2.次にフセンを細分化する
細分化が充分かどうか、見分けるポイントは「時間」(P180)
…細分化が充分になされているかどうかは、…時間を書き込んでみればわかります。
もし「使わないキッチン用品を処分する」に時間が書き込めなかったとしたら、細分化が足りない証拠です。「使わない皿を処分する」…「使わないキッチン小物を処分する」…など、ひとつひとつの時間が想像できるようになるまで、さらに細分化を繰り返します。
気がのらないフセンは「事前準備」と「実行」に細分化(P181)
例)ボタンをつける→「服とボタンと裁縫箱をテレビの前にセットする」
大人は自分をゴキゲンに保つ責務がある(P230)
常にどうやったら自分が幸せになれるかというのを、段取りしていかなきゃいけない。食べたいものを食べて、行きたいところに行って、読みたい本を読んで、つらい仕事も細分化してちょっとずつ片づけていって、そして10年先の自分を見据えながら、そのために今できることに少しずつ手をつけていく。どんなに忙しくてもパニックを起こさずに、自分で段取りを決めて前に進んでいく。