面白そうだったので読んでみたが、予想と少し違っていた。
冒頭で、小宮山氏が清宮監督のことを「清宮」と呼んでいるのを見てずっこけた。
清宮克幸さんといえば、サントリー、早稲田大学の監督を歴任された方*1。私のようなラグビーにあまり詳しくない人間でもお名前はわかる。
一方、小宮山悟氏は二浪して早稲田に入った苦労人で、ロッテ・千葉ロッテ→横浜→メジャー(メッツ)→千葉ロッテという推移を入団からほぼ知っている。筋金入りのプロ野球ファンである私にとって、“とても近しい存在”だったひとり。
何となく清宮監督の方が年上のイメージを持っていたら、実はこのふたり、大学では同年だったそうだ*2。
もともとふたりは学生時代から交流があったのか、なぜこのふたりで対談することになったのか、そういうバックボーンの説明がまったくない。
この本は最後にそれぞれの書いた短い章があるが、ほぼ全編でふたりの対談が続く。字はぎっしり。章立てになってはいるが、全体のディレクションがないのでどこに向かっているかよくわからない。
かたや監督を歴任した人、もう片方は監督経験がなく、コーチをするとしてもこれからの人。しかもラグビーと野球、という違うスポーツの話。何だか全体にかみ合わない印象だった。
いえいえ、話の内容はそれぞれ面白いんですよ。もう少しうまく編集すれば、もっといい本になるのになあ、と残念だった。たとえて言うなら、新鮮な鯛と鮭が手に入ったと聞いたから来たのに、「何でこんな料理になるの?」と“丸ごとぶつ切りでごった煮”の一皿を見てため息、という感じだろうか。
清宮監督の話では、早稲田の監督に就任後にまずやったのは「選手寮の食堂にあるどんぶりのサイズを大きくしたこと」*3というのが印象的だった。
チームを強くするにはまず環境改善から、というのはわかっていてもなかなかできない。面白い視点だった。
小宮山氏の話で面白かったのは、いろいろなチームの監督の違い。千葉ロッテのバレンタイン監督や、横浜の森監督など、選手から見たらこうだったのか、というのが楽しかった。
宝探しのようになるが、チーム作り、組織作りのヒントはあちこちにある。私は途中からほとんど小宮山氏の発言を中心に読んだが、ラグビーのわかる人なら清宮監督の選手の使い方や育て方は参考になると思う。
それにしても、齋藤先生の「目利き力」の高さには敬服した。(ほぼ)1冊読んで、一番いいと思ったのが引用してある箇所だったからだ。実は、まだUPできていない1冊も、同じく齋藤先生の引用部分に惹かれて読んだのだが、私にとってそれを超えることばはなかった。
この本を楽しめるのは、野球とラグビー両方にくわしいか、早稲田大好きかのどちらかと思われます。
当てはまる方はどうぞ。
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