毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

忘れることで脳に“余白”を作ろう☆☆☆☆

脳と心の整理術
茂木 健一郎
PHP研究所(2012/02/16)
¥ 1,155

家族が借りてきた本。茂木さんの本はたくさんありすぎて把握できていないのだが、比較的新しい本だ。
部屋の片づけをするように、頭の中も片づけられるのだそうで、具体的な方法が書いてある。私には有意義な本だった。


◆目次◆
はじめに―たくさんのことを忘れた猫
第1章 行動して記憶の整理をする
第2章 心を整理する練習
第3章 「今、ここ」を楽しむコツ
第4章 忘れるとは、整理されていること
第5章 脳のリセット法
おわりに―未来は何が起こるか分からない。だからこそ、希望を持って明日にのぞむ

脳は科学的にはすべてを覚えているそうだ。思い出せないのは記憶がなくなったからではなく、記憶している場所へのルートを忘れたからだ。
つまり、整理しなければ脳だって「ゴミ屋敷」のような状態になる。要る・要らないで記憶を分け、不要な記憶は蘇らないように“忘れた”状態にし、必要な記憶をより早く、確実に呼び出せるようにする必要があるのだ。

不確実なことに希望を持つためには、成長を阻害する過去のネガティブな出来事を忘れて、「今、ここ」の瞬間を精一杯生きることが必要です。(P188)。

今この瞬間に生きるためには、ネガティブな記憶は手放した方がいい。
その具体的な方法としてあげられているのが「フォーカシング」と「歩行禅」*1
フォーカシングというのは、カウンセリングなどで他者にしてもらうのとほぼ同じことが自分でできる、という画期的な方法だ(やり方の簡単なまとめは下のメモにあります)。

フォーカシングで抑圧から解き放たれる(P55)
自分の中にあるネガティブな感情を整理する方法のひとつに、フォーカシングがあります。フォーカシングとは、臨床心理学のカウンセリングの研究から生まれたもので、クライアントが自分の心の実感に触れるための技法として提唱されました。

フォーカシングの基本的な考え方(P57)
それまで苦しいがために抑圧してきた無意識の感情を、あえて意識することで自分の心の領域(感情として心で味わうことができる領域)に出すというもの。辛い思いは抑圧しているよりは、意識の中に押し出してしまった方が、そこから自由になれる。

そうやって、自分の脳を整理し、過去を手放すことで子どものように好奇心をもって生き生きと生きられる。そんな人は他者からも魅力的に映り、アンチエイジングにもなるそうだ。

 

ただ、この本はもともと「ひと晩寝たら忘れる」ような、切り替えのうまい人にはあまり必要がないかもしれない。
借りてきた本人は「別にそんなことしなくても忘れるから」と、あまり役に立たなかったそうだ。
何かあるごとに過去の記憶がよみがえって辛いとか、過去の経験にがんじがらめになっている人にはいい本です*2
私のアクション:整合性を手放す
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

人生がうまく行かないことの多くは、過去を忘れられないことにも原因がある(P2)

いろいろな物事を覚えていることが、覚えすぎていることが、幸せに生きることや人生を切り開くことの邪魔になっている場合もある。

思い切って過去を忘れることでうまく行く(P2)

忘れることで脳に空白ができ、新しいことを考え出せる余地が生まれるからだ。

これからは「圧縮力」がカギ(P30)

これからの人間の頭のよさをはかる指標は、さまざまなことをそのまま記憶しておく単純な記憶力より、どれだけ無駄な情報を捨てて圧縮できるかという「圧縮力」になるだろう。
記憶を圧縮することで付加価値がつく、そういう時代になってきている。

1日5分、今日経験したことの意味を見つける(P33)

自分の経験を単なる記憶として保管しておくのではなく、一度編集作業をして整理し直してみる。
その日が持つ特別な意味を頭の中で整理してみる。…5分でもいいので、過ぎた1日を振り返る習慣を身につけることで、毎日が特別な価値を持つようになる。
自分の経験に対して意味を見出せる人は、時間や空間を超えて人生に自分なりの価値を見出せるようになる。

何かを覚えていることそのものに価値はない(P45)

実際に自分が行動する時に役に立つから、記憶や知識は価値があるのだ。
記憶にも贅肉や脂肪はある。実際に行動することで、余計な贅肉を落として、筋肉質な記憶を作ることが大切。部屋の中にたくさんものがあっても、ふだんよく使うものは限られている。どれだけ多くのものがあるかよりも、どれくらい必要なものが必要なところに置いてあるかということの方が、日常生活では大切。

ネガティブな経験を忘れるには(P49)

ネガティブな回路の横に、もうひとつポジティブな回路を作るしかない。
そして、ネガティブな感情で渋滞している古い道路ではなく、隣の空いているポジティブ道路をドライブする。そこで快適にドライブできたなら、次に新しく入ってくる感情という名の車をそちらに誘導すればよい。
すると、マイナス思考の道路は取り壊さなくても、ほとんど使わないで済むようになる。

プロロングド・エクスポージャー(prolonged exposure)=「あえてその時のことを振り返ってみる」ことで忘れる(P51)

東日本大震災に遭った小学生の、逃げた体験談を紹介して
自分自身で過去を振り返ることで、心は癒され、ようやくその体験から離れることができると言われている。忘れるためには、一度その体験を思い出し、向き合う作業が必要な時もある。

フォーカシングの具体的な方法(P55)

まず胸の奥や腹の底など身体の中心部にぼんやりと注意を向けながら、気がかりになっていることを思い浮かべる。たとえば、自分が「嫌だな」と思っている職場の同僚のことなどを思い浮かべる。次に、その「嫌だな」と思う感情にぴったりくる言葉を探す。そこでぴったりな言葉を見つけられるだけでも、解放感が得られる。

さらに、気がかりになっていることに対して、何がそんなに気にかかるのか、その気にかかることの存在は自分とどんな関係があるのかといったことを自分に問う。
特に気にかかる部分に集中して意識を向けてみる。そうすると、過去にも同じような経験があったことに気づくことが多い。当時の思いを受け入れることで、かたくなだった心が解きほぐされていく。

過去の記憶は消せなくてもよい(P62)

フォーカシングをしても、その人の無意識に沈んでいた記憶は消えることがない。しかしたとえ過去の記憶は消えなくても、それを意識化することで、現在の自分の思考を変えることはできる。自分の過去と現在、未来の関係性が、フォーカシングによって変化していくのだ。

フォーカシングとは脳のメンテナンスのようなもの(P63)

生活の中で何となく気になっていることは、たいてい過去の記憶とつながっている。だから何か気になることがあったら、それと似たような感情を持った経験が過去になかったかを探っていく。
「過去のこの記憶とつなげたら、物事が整理できるな」、そう考えたら、フォーカシングは成功。こんがらがった糸がほどけ、リラックス状態になれる。

フォーカシングは、それら答のない問いを整理して、散らかってしまっている脳の中をスリムでしなやかなものに変えてくれる。

人生に空きスペースを作っておく(P83)

今持っているカード(現在の仕事、交友関係、配偶者、家族、才能、財産、趣味など)だけで未来を考えることは、自分の才能を自らつぶしているようなもので、非常にもったいないこと。そうならないためには、今目の前の出来事や時間にとらわれすぎず、人生のうちの何割かは空白にしておくことが大切。

人生の計画は立てないことが大事(P83)

計画を立てることは、その計画を立てた時点が出発点となっているので、結局は未来を現在の延長線上で考えてしまっていることになる。そうなると、結果的には自分の未来の可能性を狭めてしまう。

「今、ここ」を生きるために一貫性はいらない(P98)

生きる上で人生の整合性や一貫性は、必ずしも必要ない。いい意味でいい加減な生き方の方が、「今、ここ」の瞬間を生きていることになる。
一貫性を保とうとしすぎると、息苦しくなってしまう。そういう人はおそらく、「首尾一貫していない自分は許せない」と思ってしまっているのだろうが、まずは一貫性がなくてもいいと思うことが大切。

未来の予定を決めすぎない(P109)

「明日の予定はこう」「1週間後の今日は、私はこれをしている」「1年後の私はこうなっているだろう」といった予想は、時には緊張に結びつく。なぜならそうやって未来をいつも予定しているということは、同時に「本当にそうなるだろうか」「私はそれを成し遂げられるだろうか」といつも気をつけていなければならないからだ。自分自身に課した課題に、自分のスキルがちゃんと追いついているかどうか、そのことで常に葛藤してしまうからだ。自分の身に何が起こるか、予想しすぎない方が、人生は緊張せずにリラックスして生きられる。

男性の方が「行き当たりばったり」が多い理由(P113)

…右脳と左脳の使い方のバランスが関係している可能性がある。言語中枢は左脳だが、男性は左脳の意識を司る脳の働きが強すぎるのだ。一方、女性の場合は左右の脳のバランスがいいとされており、無意識との対話が上手。

人生においてフロー状態の人は、魅力的に映る(P113)

そういう人は、他人に対しても構えておらず、どこかのんびりとしている。ボーッとしているわけではないが、自分の周囲にバリアを張っていないで、他人や物事に対して伸びやかであるという特徴がある。

曖昧でもいい(P119)

世の中では一般的に、「曖昧ではよくない。早くどちらかに決めなさい」という風潮が強い。僕たちがコンピュータを操作しようとすれば、すべてのことは自分で決めなければ先の作業に進まない。だが、人間とコンピュータは違う。…「曖昧なままではよくない」というのは、人工的なものの場合。

曖昧で宙ぶらりんの時間は、創造性を育むにはとても重要(P119)

曖昧な時間を許容することで、いろいろな可能性が広がっていくのだ。

整理をすると無駄な欲望がなくなる(P144)

脳の中を整理することは、自分の中の欲望を整理することでもある。脳の中を整理すると、欲望の仕分けができて、本当に必要な欲しか残らないものだ。

こまごました雑用をすることで、脳を整理できる(P150)

掃除や料理などの家事を積み重ねることで、日常の生活を心地よく回すことができる。そうしたこまごまとしたことをする過程で、ジグソーパズルがひとつひとつ組み合わさっていくように、脳が整理させる。ストレス解消法に掃除や料理をする人が多いのは、知らない間に脳が整理されているから。

単純作業で頭を切り換える(P163)

1日5分でも掃除をしたり、食器を洗ったり、シャワーを浴びたり、ランニングしたりといった、体を動かす単純な作業をすることで、同時に頭の切り替えも行ってしまう。単純作業は、入り込みやすく集中しやすいので、余計な記憶がワーキングメモリに入る余地がなくなる。

くよくよしそうになったら行動する(P164)

ひとつのことにとらわれてくよくよと悩んでいる状態は、「今、ここ」ではなく、記憶というシステムに乗っ取られてしまっている。記憶に乗っ取らせそうになったら、すぐさま行動に移すことが大切。

自分の中に「何人もの自分が」いてもいい(P166)

失敗してしまった自分、落ち込んでいる自分、でも友だちと遊んで楽しい自分、別のことを考えてうれしくなる自分、というように。自分が子どもだった頃を思い返そう。その頃の感覚を思い出して、僕たちも「何人もの自分」が1人の人間の中に混在していることに慣れた方がよい。

「今、ここ」を生きることは、未来へのタイムマシンに乗るようなもの(P169)

何かに没頭している時、人は時間を忘れる。パッと過去が消えて、今だけに没入する。過去の体験にとらわれないことで、これからどうなるかわからない未来が、希望という形を取って目の前に現れるのだ。

大人は、過去が増える分だけ、その過去にとらわれてがんじがらめになってしまう危険性が高い。積み重ねてきた過去が多すぎて、未来へ思いを馳せることができなくなってしまう。自分で自分の未来泥棒になってしまうのだ。

自分の人生で積み重ねてきたことは、工夫して役立てる(P171)

過去を役立てるためには、やはり過去の経験や栄光にとらわれてばかりではいけない。過去は過去として、現在の自分と断ち切りつつ、過去から学べることは充分に役立てる。その柔軟性が大切。

*1:これは、以前中野裕弓さんの『宇宙とつながる成功習慣』で「ウォーキング・メディテーション」として紹介されていたのと同じ方法です

*2:ただし、PTSDが疑われたり、日常生活に支障がある場合は、自分でやろうとせず専門家に相談してください